アップルが、最新のM2チップを搭載するMacBook Airを発売します。M1搭載MacBook Airのユーザーである筆者が実機を試して、“やっぱり買うしかねえ”と感じたM2搭載機の「3つの魅力」と、購入を検討する際には気に掛けたい「3つの注意点」を解説します。
薄さ11.3mm! スリム&フラットなデザインに魅了された
筆者は、6月にアップルが開催した世界開発者会議「WWDC22」で、M2搭載MacBook Airを初めて見て、触りました。当時のファーストインプレッションの報告「M2搭載MacBook Airに触ったM1ユーザー、“すぐに買う”と決めたワケ」もあわせてご覧ください。
今回、発売前の実機に触れる機会を持ち、WWDCの取材で感じたM2搭載MacBook Airの印象がさらに良くなったところと、少し理解が深まったところがあります。
ますます好感度がアップした点は「デザイン」です。
筆者は、仕事のメインマシンはMacBook Airをひとすじに貫いてきましたので、WWDC取材からの帰国後も、Air伝統のウェッジシェイプデザインが変わることの寂しさを拭いきれずにいました。
ところが、新しいMacBook Airを手に取り、感触を確かめていたら、少しずつわだかまりが解けてきました。なんといっても、本体の高さ(=厚さ)が1.13cm(=11.3mm)という「薄さ」は強力なトレードマークです。M1搭載Airは最も厚い部分が1.61cmあるので、比べると新しいAirの薄さはインパクトがあります。折りたたむと全体がフラットになるデザインも美しいと思います。
筆者は、MacBookの本体にキズが付くことが嫌なので、基本は“ケースを付ける派”ですが、M2搭載Airは買ったらケースを付けずに使いたいです。代わりに、MacBookをまるごと収納するスリーブタイプのケースが良さそうです。
ファンクション、電源キーが操作しやすくなった
バックライトを搭載する「Magic Keyboard」は、機能や構造については新旧MacBook Airの間で大きく変わっていません。ただ、ディスプレイのサイズを13.3インチから13.6インチに拡大して、奥行き(=縦幅)方向に寸法が2.6mmほど伸びたことから、ファンクションキーとTouch IDを内蔵する電源キーが大きく、押しやすくなりました。これはとても魅力的です。トラックパッドは約2mmほど狭くなっていますが、操作性に問題はないと思います。
キーの打鍵感は、人によって好みが細かく分かれると思います。筆者は、新しいM2搭載MacBook Airの方が、ほんのわずかにキーの沈み込みが浅い感じがしました。
M2搭載Airは、底面に配置する4つのフットがM1搭載機よりも大きく、設置面積が広くなったことから、デスクトップに置いた時に重心が安定します。キーボードを打鍵した時に指に返ってくる反動も少ないので、長時間タイピングを続けても疲れは気になりません。
音像定位が鮮明! 4スピーカーサウンドシステムの迫力
エンターテインメント再生は、新たに搭載する「4スピーカーサウンドシステム」に注目しました。2つのトゥイーターとウーファーにより構成されるシステムの音は、やはりステレオ再生や空間オーディオ再生の分離感が鮮明になり、サウンドの情報量もM1搭載Airに比べて増えています。
Apple Musicによる音楽再生は、ボーカルや楽器の定位が鮮やかに伝わります。バンドやオーケストラの演奏は、プレーヤーの位置関係が的確に捉えられます。
空間オーディオ対応の動画作品とも非常に相性がよく、ダイアローグ(セリフ)が中央に力強く描かれます。さらに効果音の回りこみや、音の移動感も正確に再現されるため、とてもリアルな立体音楽体験が味わえます。
M1搭載Airも力強くエネルギッシュなサウンドでは引けを取りません。キーボードの左右にステレオスピーカーシステムの開口部を配置しているので、耳もとまで音が一息に迫るような瞬発力、インパクトの鋭さが特徴です。
M2搭載Airはディスプレイとキーボードの間に、内蔵スピーカーの音が出るポートを複数配置しています。本体ディスプレイの角度を90度以上、しっかり開かないと音がややこもって聞こえる場合がありました。音楽やラジオも含むエンターテインメント系のコンテンツを再生する際には、パネルを十分に開いた状態にセットアップすることが前準備として大切です。
ストレージ容量は多めが吉
ここからは、M2搭載MacBook Airの購入を真剣に検討する段階で、カスタムオーダーができる項目などを決める際に気をつけたい「3つのポイント」について、筆者の見解を述べたいと思います。
まず「ストレージ」は購入予算が許す限り、容量を多く積んだ方がよいと思います。M2搭載Airがクリエーションやエンターテインメントなど多彩な用途に使えるモバイルPCであることから、ストレージ容量は多めに確保しておくべきだからです。
M2搭載MacBook Proと同じく、本機にも動画ファイルの処理に特化する「メディアエンジン」が搭載されています。iPhone 13 Proで撮影した動画をつなぎ合わせて10分前後のムービーをつくり、iMovieを使って高画質設定をキープしたまま動画ファイルを書き出してみました。M1搭載Airは約3分50秒、M2搭載Airは約2分1秒で処理を完了しました。
動画の編集・加工がサクサクッと楽しめるM2搭載Airの快適さにハマってしまうと、いつのまにかストレージが大容量の動画作品で埋め尽くされているかもしれません。
M1搭載Airよりも本体の基本販売価格が3万円アップしているので、カスタムオーダーの追加にも思い切りは必要です。せめてプラス28,000円で512GBに容量をアップしておきたいです。
ふた口USBアダプターは便利。急速充電は67Wアダプターから対応
M2搭載Airも、内蔵バッテリーによる連続駆動時間はM1搭載Airと同じ最大18時間です。バッテリーをフルに充電した状態から、仕事やコンテンツ鑑賞に丸1日使い倒しても残量が十分に持つ手応えがあります。
今回は、新しいMacBook Airと同時期に発売されたアップル純正の「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」を試しました。ふた口のUSB-Cポートを搭載しているので、MacBookを充電しながら、同時にiPhone、iPadやApple Watch、AirPodsなどさまざまなガジェットの充電に使えます。充電専用のアダプターなので、iPhoneを接続してもMacにデータは伝送できません。
すでにマルチポートを搭載するUSB電源アダプターを使っている方は、あえて純正品を買い足す必要はないかもしれませんが、10コアGPUを搭載するストレージ容量512GBのカスタムオーダーを選択すると自動的にこのアダプターが付属します。
MagSafe対応電源ケーブルを使わなくても、Thunderbolt/USBポートからの充電/給電は従来通り可能です。出張時の荷物を少しでもコンパクトにできる選択肢として、デュアルポートのアダプターを使うことと一緒にMacBook Airの給電テクニックとして覚えておくとよいでしょう。
なお、新しいMacBook Airの高速充電機能を活用するためには、67W以上のUSB-C電源アダプターが必要です。
カラバリは慎重に選びたい
最後に、新しいMacBook Airの「選ぶべき本体色」を考えてみましょう。筆者が試したのは新色の「ミッドナイト」です。ブラックとネイビーの中間にあるような深みのある上質な色のボディは、光を浴びると濃紺の輝きを放ちます。掛け値なしにカッコイイです。
筆者も買うならばミッドナイトで決定だよね、と思っていました。ところが、本機を試用中のある晴れた日、屋外に少し持ち出してみたところ、ミッドナイトが太陽光を吸収しやすい色であるためか、短い時間にもかかわらず本体がとても熱くなりました。MacBook Airを外に持ち出す場合、基本はPCケースやバッグに収納することになると思います。野外でMacBookをよく使うことが想定されている人は、新色の「スターライト」や伝統の「シルバー」を選んだ方が、熱によってマシンにかかる負担が少しでも抑えられるかもしれません。
新しいM2搭載MacBook Airは、同時期に発売された13インチのM2搭載MacBook Proにも肩を並べるほど高いパフォーマンスを獲得した「まったく新しいMacBook Air」です。コンテンツクリエーションやエンターテインメントなど、マルチに使い倒せるモバイルPCとしてさまざまなユーザーに選ばれそうです。