兵庫県尼崎市の全市民46万人の個人情報が入ったUSBメモリ紛失問題。6月23日に発覚し、6月24日になり紛失していたUSBメモリが見つかったはいいが、そのドタバタ劇に世間は騒然となった。下請け業者の管理体制や、「泥酔」による紛失もお粗末だったが、ネットで最も糾弾されたのが、問題発覚の6月23日に開かれた尼崎市による緊急記者会見の内容だ。

  • 尼崎市の46万人USB紛失に騒然、記者会見が「パスワードのヒント大会」 ずさんな顛末

    USBメモリ紛失を報告する尼崎市のホームページ

その記者会見、何がこんなに炎上したのかというと、会見に臨んだ市の担当者が、紛失したUSBメモリにセキュリティとして設けられていた暗号化のパスワードについて、例えば桁数や文字種別といった、パスワード解読のヒントになりかねない情報を公開してしまったのだ。記者からの質問に答えるかたちで、つい話してしまったという様子であったが、ネット上では既に会見中からツッコミが殺到。出されたヒントからパスワードを推測する人も続出し、その日のツイッタートレンドに「amagasaki2022」や「英数字13桁」が入ってしまう事態にすらなった。

  • 「英数字13桁」がトレンドに。ほかには、「amagasaki2022」なども。これでもし本当にパスワードがamagasaki2022だったとしたら……喜劇だ

問題の経緯をおさらいしておくと、ことの発端は6月21日、臨時給付金支給事務の受託業者の下請け会社社員が、尼崎全市民のデータを記録したUSBメモリを、市の許可を得ずにカバンに入れて持ち運び、データ移管作業を行っていた。その作業ののち、社員は飲食店で3時間ほど飲食をし泥酔、帰宅途中に路上で寝てしまう。起きた時には、USBメモリ入りのカバンを紛失。近くに交番へ遺失物届を提出し、尼崎市へUSBメモリの紛失を報告したという。USBメモリには、尼崎市の全市民46万517人分の性別・氏名・住所・生年月日などの個人情報が記録されてたとのこと。

そして尼崎市が記者会見を開くのだが、市の担当者は「パスワードに関しましては、英数文字を含めた13桁のパスワードを設定している。」などと、USBメモリのパスワード解読のヒントを提供する発言をしてしまう。また会見では担当者が「私、専門ではないんですけど。かなり(パスワードの)解読は難しいのかなと。」とも説明している。昨今、この手の会見で言われがちな、「専門ではないのですが」系の前置きは、「免罪符」ではなく、もはや「わからないので、皆さんにまっとうな対応をするつもりはないんですが」という意味にしかならないのでは?

ネット上では「情報事故の詰め合わせセットで笑うw」「人間だから仕方ないけどヤバいやろ」「流石に記者会見でパスワードの桁数を公表するなんて事例は見た記憶がないぞ」「マジで新入社員向けの研修で見る事例で草」「偉い人から『我が社のUSBメモリの管理はどうなってる!?今すぐ調べて』と言われ苦しむ人が続出する予感」などの声が寄せられた。