その結果、ビリルビン、アルギニン、オルニチン、アシルカルニチンがひきこもり者で変化していることが判明したとするほか、男性では血清アルギナーゼが高値であることも確認されたとする。
また、血液成分と臨床検査値を加えた情報に基づいた機械学習判別モデル(ランダムフォレストモデル)を作成。ひきこもり者と健常者を高い精度で識別できることが示されたともする。
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今回の研究の概要図。血液メタボロームと臨床データを使い、ひきこもり者に特徴的なバイオマーカーの探索が行われた。機械学習アルゴリズムが作成され、健常者とひきこもり者の分類、ひきこもり者の重症度予測、およびひきこもり者の層別化を高い精度で実施できることが判明した (出所:九大プレスリリースPDF)
さらに、部分最小二乗法(PLS)-回帰モデルによって、ひきこもりの重症度を高い精度で予測することにも成功したとする。加えて、ひきこもり者の臨床像に基づく層別化(クラスター分類)に寄与する血液成分として、尿酸値とコレステロールエステルが新たに同定された。
今回の研究の最も重要な点は、ひきこもり研究外来において、厳密な評価に基づくひきこもり者の血液検体が収集され、未服薬の被験者のメタボローム解析を含む血液バイオマーカーを報告したことにあるという。
なお、ひきこもり者を特徴づけるいくつかのバイオマーカーについては、今後、栄養療法などの予防法・支援法の開発が進むことが期待されると研究チームでは説明しているほか、ひきこもり者とうつ病患者をはじめとするほかの精神疾患との相違点の解明など、生物学的な理解が進むきっかけになることが考えられるとしている。