米iRobotは5月31日(現地時間)、Genius Home Intelligenceプラットフォーム(2020年リリース)を進化させた「iRobot OS」を発表した。ロボット掃除機などスマートホーム機器の競争が激化する中、ソフトウェアで競合との差別化を図る。

iRobotのロボット掃除機の最新モデル「Roomba j7/j7+(ルンバ j7/j7+)」は、PrecisionVisionナビゲーションを搭載し、AIを利用して、細い家具の脚やペットの排泄物といった目の前にある障害物を認識して対処する。ユーザーがデータを共有することで、世界中のユーザーから提供された障害物認識のデータがクラウドに構築され、それによってRoombaの障害物対処能力が向上している。

iRobot OSとRoomba j7/j7+の組み合わせは、4,300以上の障害物を検出して80種類以上を認識可能。ペットの水皿の周りを掃除しないようにキープアウトゾーンに設定したり、抜け毛シーズンに合わせた掃除スケジュールなど、ペット向けの機能が充実している。また、Alexa(Amazon)、Google Assistant、Siri(Apple)の約600のコマンドに対応。例えば、「コーヒーテーブルの周りを掃除して」というように特定の場所を掃除するように音声で指示できる。

しかし、そうした機能自体はすでにRoomba j7/j7+で実現している。発表時点においてiRobot OSは既存のRoomba j7/j7+ユーザーに新機能を提供するようなアップデートではなく、iRobot OSに移行しても既存ユーザーが変化をすぐに感じることはできないが、その意義は次世代のスマートホームを見据えた新基盤の提供にある。

iRobotのCEOであるColin Angle氏がThe VergeとのインタビューでiRobot OSの将来について説明している。それによるとiRobot OSは将来的にロボット掃除機だけではなく、iRobotの他のデバイスのOSにも採用され、AIとクラウドを活用してより深くホーム環境を理解し、より高いレベルの顧客体験を提供する。同社は昨年、空気清浄機のAerisを買収した。クラウドをハブに家庭にあるiRobot OS搭載家電が連携し、例えば居住者が自室にいる時を見計らって、居間の空気清浄機がターボモードで動作するといったことが可能になる。

iRobotは、同社のデバイスの間で共有されるホームマップや障害物のデータなどを他のスマートデバイスとも共有できるようにし、さらにスマートホーム規格「Matter」でも対応するデバイスがコンテキストを利用できるような連携の実現を思い描いている。