TVS REGZAは、薄型テレビ「REGZA」のハイエンドモデルとして、新映像エンジンを搭載した4K有機EL「X9900L」シリーズと、ミニLEDを採用した4K液晶レグザ「Z875L/Z870L」シリーズを6月中旬から順次発売する。価格はすべてオープンプライス。55V型の店頭予想価格は、有機ELが38万5,000円前後、ミニLED液晶が30万8,000円前後。

  • 65V型「65X9900L」

  • 65V型「65Z875L」

“誕生、ふたつのレグザの最高峰”をキャッチコピーとして掲げ、有機ELテレビと液晶テレビのハイエンド機種として投入。同社Webサイトのティザーページで5月9日に新しい高画質処理エンジン「レグザエンジン ZR α」搭載テレビの登場を予告しており、今回価格と発売時期、製品の詳細が正式に決まった。

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ラインナップと店頭予想価格、発売時期は以下の通り。

■4K有機ELテレビ「X9900L」シリーズ

  • 65V型「65X9900L」:55万円前後 / 6月中旬発売
  • 55V型「55X9900L」:38万5,000円前後 / 6月下旬発売
  • 55V型「55X9900L」

■4K Mini LED液晶テレビ「Z875L/Z870L」シリーズ

  • 75V型「75Z875L」:55万円前後 / 6月下旬発売
  • 65V型「65Z875L」:41万8,000円前後 / 6月下旬発売
  • 55V型「55Z870L」:30万8,000円前後 / 6月下旬発売
  • 55V型「55Z870L」

  • 75V型「75Z875L」

有機ELのX9900LシリーズとミニLED液晶のZ875Lシリーズは、1月の「CES 2022」で発表したテレビ用高画質処理エンジン「レグザエンジン ZR α」を搭載。ミニLED液晶のZ870Lシリーズ(55Z870L)のみ、「レグザエンジンZR II」を搭載する。

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有機EL X9900Lシリーズの特徴

  • X9900Lシリーズ

X9900Lシリーズは、4K/3,820×2,160ドットの「新世代レグザ専用高コントラスト有機ELパネル」を採用し、65/55V型の2サイズで展開。最新世代の有機ELパネルとメタルバックカバーの間に、新開発の高冷却インナープレートを挟み込むことで放熱性能を高め、従来比で約2割輝度がアップ。「明るく鮮やかで黒の引き締まった新世代の有機EL高画質」を実現した。ピーク輝度は1,000ニトを超え、リビングなどでも明るい映像を楽しめるとしている。

サウンド面では、新たに開発した10個のスピーカーを大出力アンプで駆動する、新開発の「重低音立体音響システムXHR」(出力90W)を搭載。ユニット構成はフルレンジとツイーターからなる2ウェイのバスレフボックスメインスピーカー×2に、サイドツイーター×2、トップツイーター×2、重低音バズーカ(ウーファー)×1を加え、さらに画面自体を振動させるスクリーンスピーカーも組み込んだ。立体音響のDolby Atmosや、ハイレゾオーディオに対応し、ハイレゾロゴも取得している。

ミニLED液晶 Z875L/Z870Lシリーズの特徴

  • Z875L/Z870Lシリーズ

ミニLED液晶のZ875L/Z870Lシリーズは、搭載している映像処理回路やサイズ展開に違いがあり、Z875Lシリーズはレグザエンジン ZR α搭載で75/65V型の2サイズ展開。Z870LシリーズはレグザエンジンZR II搭載で55V型のみとなる。

いずれも4K/3,820×2,160ドットの「Mini LED広色域量子ドット液晶パネル」を採用。新開発の4K倍速液晶パネルに広色域量子ドットシートとミニLEDバックライトを組み合わせたもので、多くの極小LEDを緻密に制御することで輝度を高め、量子ドットによって色鮮やかな高画質を実現。「高コントラストで鮮やかな、液晶最高峰レグザにふさわしい高画質」を追求している。

  • ミニLEDバックライトのデモ展示

上位のZ875Lシリーズでは、「Mini LEDエリアコントロールZRα」と名付けた新たな高画質化技術も採用。仮想細分割エリアで点灯値を算出し、最終的なエリア点灯値を生成することでコントラストを高める技術と、元の映像の階調つぶれを監視しながら、LED点灯にあわせて映像補正を行い、階調再現する高コントラスト映像補正技術を組み合わせたもので、高輝度と引き締まった黒を同時に実現するという。

サウンド面では、両シリーズとも「重低音立体音響システムZP」(出力70W)を搭載し、Dolby Atmosにも対応。ユニット構成はフルレンジとツイーターからなる2ウェイのバスレフボックスメインスピーカー×2に、トップツイーター×2、重低音バズーカ(ウーファー)×1で、計7個のスピーカーを大出力マルチアンプで駆動する。

主な共通機能

前述の通り、有機ELのX9900LシリーズとミニLED液晶のZ875Lシリーズには、レグザエンジン ZR αを搭載している。

約3年かけて開発した映像エンジンで、映像解析を高度化するために、ディープニューラルネットワーク(DNN)アクセラレーターを搭載したハードウェアAIエンジンを採用。高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を盛り込んで、REGZAの哲学やリアリティの再現を突き詰め、「その場にいるかのような臨場感、張り詰めた空気感、手を伸ばせば触れられるかのような質感」を体感できるようにした。

主な高画質技術の名称と働きは以下の通り。

  • AI ナチュラルフォーカステクノロジー(立体感復元超解像技術)
    被写体と遠景を識別して各部分に適した超解像処理を施す
  • 美肌AIフェイストーンZR α
    ドラマなど照明の影響で不自然に映し出されてしまった人物の顔色(肌色)を自然な色に補正しつつ、超解像処理により立体感ある描写を行う
  • ネット動画AIビューティZR α
    ネット動画の特性に合わせて高画質処理を施し、コントラストと精細感の向上、ノイズ抑制に加えて、新たにバンディングノイズの低減も行う
  • 地デジAIビューティZR α
    リアルタイムに複数回の超解像処理を施し、放送波ノイズを低減しつつ、3D広色域復元であざやかな色彩を再現。テロップ検出や顔領域検出機能などでバラエティー番組なども高画質化

なお、レグザエンジン ZR αにはDMP(ディジタルメディアプロフェッショナル)の高精細エッジAIプロセッサ「ZIA DV720」を採用しており、チップの開発当初からTVS REGZAの開発チームと密に連携。

CPU負荷を抑えたリアルタイム処理に最適な制御機構の導入など、高画質処理プロセッサとの協調動作のためのカスタマイズを行い、性能電力面積が最適になるようなハードウェア構成を実現したという。また、ソフトウェア面ではTVS REGZAでのDNNモデル開発が効率的に進むよう、 システムに合わせてOS非依存なソフトウェア開発環境へとカスタマイズを行ったとのこと。

歴代REGZAのユーザーインタフェースを踏襲しつつ、新規設計した“オールニューLinux OS”を2022年モデルのシステムに採用。

ネット動画対応が充実しており、Netflixにも対応(2021年発表のAndroid TV搭載REGZAでは省かれていた)。Amazon Prime Video、Disney+、ABEMA、YouTube、TVer、dTV、U-NEXT、hulu、Net.TVも利用できる。HDR方式は、HDR10、HDR10+ ADAPTIVE、HLG、Dolby Vision IQをサポートする。

付属のリモコンには上記の配信サービスのダイレクトボタンを備え、さらに、好きなネット動画サービスを割り当てて直接起動したり、HDMI接続した外部機器を登録して一発で呼び出す「My. Choice」ボタンを2つ搭載した。

  • 全機種共通の付属リモコン

  • 各種配信サービスのダイレクトボタンや、2つの「My. Choice」ボタンなどを上部に備える

また、新たに「オーディオキャリブレーション」機能を全機種に装備。これは、テレビから発するテストトーンを、テレビリモコンの内蔵マイクで測定し、音響特性を補正するもので、さまざまな環境のリビングで適切なオーディオ設定に自動調整する。

REGZAならではの機能として、見たい番組をすぐに再生できる“全録機能”「タイムシフトマシン」に全機種で対応。別売の外付けHDDを組み合わせることで利用でき、クラウドを活用して好きな番組の自動録画に対応。リモコンに話しかけるだけで、すぐに見たい番組を呼び出せる「レグザボイス」も搭載する。チューナー数はBS/CS4K×2、地デジ×9、BS/110度CS×3で共通だ。

HDMI入力はいずれも4系統装備。4K/120Hzの映像入力や、コンテンツに応じて画質優先/低遅延優先を自動で切り替える「ALLM」、映像のちらつきやカクつきなどを抑える「VRR」、Dolby Atmos/DTS:Xなどのサラウンド音声の伝送が可能な「eARC」にも対応する。

ゲーミング機能では、最新のゲーム機が備えるさまざまな仕様に対応した新しいゲームモード、ゲーム機の出力映像に合わせて自動的に最適な映像を再現する「オートゲームアジャスト」機能を搭載。

1080p/120Hz入力時は、0.83msの低遅延表示も可能。ただし、1080p/60Hz 12bit、1440p/60Hz、4K/60Hz 12bit入力時の映像遅延時間は約9.2msとなる(パネルによる遅延を除く、映像処理による信号遅延)。ほかにも、対応グラフィックスカードとの組み合わせで低遅延とティアリングのない映像を実現する「AMD FreeSync Premium」に対応する。

HDMI以外のインタフェースは、コンポジット映像入力とアナログ音声入力、光デジタル音声出力、ヘッドホン出力、Ethernet端子が各1系統。USB端子は4系統(タイムシフトマシン専用×2/通常録画専用×1/汎用×1)。

  • HDMI入力の設定画面。基本的なUIは歴代REGZAと同じだ