Sonosは、ブランド史上最小サイズを謳う、エントリー向けのサウンドバー「Sonos Ray」を国内で2022年秋に発売する。価格は未定だが、直販サイトでは36,800円と表示されている。世界各国では先行して米国時間6月7日から279ドルで発売予定だ。カラーはマット仕上げのブラックとホワイトの2色。
Rayの本体サイズは559×95×71mm(幅×奥行き×高さ)、重さは1.95kgで、Sonosのサウンドバーでは最もコンパクトなサイズ。「(Sonos製品で)トップクラスのシンプルさと多用途性を手ごろな価格で実現した」とする。
初めてのユーザーでも手軽にホームシアターを構築できるようにしており、2台目のサウンドバーとして寝室や書斎などパーソナルスペースへの導入も訴求。55V型までのテレビとの組み合わせを推奨している。
台形の本体に高音域用のツイーターと、中低域を担うミッドウーファーを各2基搭載し、独自の音響構造に合わせてチューニングした4つのクラスDデジタルアンプを装備。
ツイーターは、アシンメトリックウェーブガイドによる壁面反射を利用してサウンドを拡散し、音響処理プロセッサによって正確な空間表現が行えるようにした。エンクロージャーはバスレフ型で、独自の低周波数帯域ポート設計によって歪みを抑え、クリアな低音再生を追求している。再生周波数帯域は非公開。他のSonos製品同様に、ハリウッドの第一線で活躍するサウンドエンジニアがチューニングを担当した。
サウンド面では「セリフがキレイに聴こえ、低域もしっかり出ること」と「全体のバランスが良いこと」に注力して開発。コンパクトなボディに内蔵したドライバーユニットがすべて前方を向いているため、AVラックやキャビネットの中に置いても音響特性が変わりにくいとする。
報道陣向けに開催されたデモ体験のスペースでは65V型のテレビと組み合わせて置かれており、映画や音楽を試聴してみると人の声が聴き取りやすいようにチューニングされ、低域もしっかり出るように作られていることもあって、単体でも特定の帯域を強調しすぎず、クリアなサウンドが楽しめた。
Sonos製品の多くで採用している、iOSデバイスと組み合わせてサウンドを調整する「Trueplay」にも対応。セットアップ時に、SonosアプリをインストールしたiPhoneでRayがある部屋の音響特性を測定することで、どんな部屋においても理想的なサウンド体験を楽しめるようにする。ほかにも、セリフが聞き取りやすくなるスピーチエンハンスメントや、大きな音を抑えて静かな音で再生するナイトサウンドといった音声モードを備える。
音声入力は光デジタル端子のみでHDMIは非搭載だが、エントリーモデルという位置づけながらネットワーク接続に対応。Ethernet端子を備え、IEEE 802.11b/g/n準拠(2.4GHz)の無線LANもサポートし、Sonosアプリから各種音楽ストリーミングサービスの楽曲を直接再生したり、iPhone/iPadなどApple製品からのAirPlay 2によるワイヤレス再生を行ったりできる。マイクは非搭載のため、上位機のような音声操作はできない。
対応する音声フォーマットはステレオPCM、Dolby Digital 5.1、DTSデジタルサラウンド。別売のスマートスピーカー「Sonos One」(直販26,800円)や、サブウーファー「Sonos Sub (Gen 3)」(同94,800円)といったSonos製品を追加すれば、5.1ch対応のホームシアター環境を構築できる。すべてのSonosスピーカーから同じ音を流す、マルチルーム再生にも対応する。
実際に、Sonos Rayにリアスピーカーとして2台のSonos Oneと、サブウーファーのSonos Subを加えた5.1chサラウンドシステムでアクション映画を試聴すると、Ray単体ではテレビの前のみに広がっていた音場が、部屋全体を包み込むようにグッと広がった。音の前後左右の移動感が分かりやすく、衝撃音や爆破音の迫力もあり、それでいて登場人物のセリフは常に聞き取りやすい。
担当者によると、Sonos製品は連携したスピーカー同士でシステムに合わせて音を鳴らすように設計されているとのこと。今回体験したサラウンドシステムでは、Rayが中高域に特化し、Subが低域、Oneが側面や後方の音を担当するようになっていた。
なお、Rayと近い価格帯のサウンドバーはDolby Atmos対応をうたう製品が増えているが、RayはAtmos非対応となる。Sonosのオーディオエンジニアリング シニアディレクターであるクリス・デイビス氏は、「Rayで注力したのはテレビのサウンド品質を上げ、セリフの聴き取りやすさ、スペーシャス(音の広がり)、低音の明瞭さを強化すること。そのためには5.1chの音声入力で十分対応だ」とコメントしている。
本体の天面にタッチコントロールを備え、音楽再生/一時停止や曲戻し、曲送りのタッチ操作に対応。赤外線レシーバーを備え、Rayをテレビのリモコンと同期させて操作することもできる。背面にネジ穴があり、壁掛け設置に対応。付属品は電源ケーブル(長さ2mの)と光デジタル音声ケーブル(長さ1.5m)。パッケージのボックスと保護クッションは古紙再生紙100%を使った、「過去最もサステナブルなデザイン」を採用している。