シャープは9日、2022年夏モデル「AQUOS R7」を発表しました。ライカ監修のズミクロンレンズを搭載しており、AFは2倍に高速化。また5G通信では下り4.9Gbps/上り1.1Gbpsを実現しました。NTTドコモ版、ソフトバンク版は7月に発売を予定、SIMフリー版については「ニーズや市場動向を踏まえながら検討していきたい」としています。このほか「AQUOS wish2」も6月下旬以降に発売予定です。

  • AQUOS R7

    シャープが2022年夏モデルのフラッグシップ機「AQUOS R7」を発表

全画素Octa PD AF対応、高級デジカメのような「AQUOS R7」

AQUOS R7は、昨年(2021年)6月に発売した「AQUOS R6」の後継機という位置づけ。約6.6インチのPro IGZO OLED(1,260×2,730ドット、WUXGA+)を搭載するモデルです。背面のメインカメラには、焦点距離19mm、F値1.9のズミクロンレンズを採用。集光量が従来機比で約1.8倍に向上しており、ハイレゾモードでは最大約4,720万画素の高精細な写真撮影が可能となりました。

  • AQUOS R7のカメラ部

    背面にズミクロンレンズを採用したAQUOS R7。ブランド名の”LEITZ”の刻印が目を引きます

発表会に登壇した通信事業本部の楠田晃嗣氏は、「新型の1インチイメージセンサー搭載により、さらに明るく高解像度に撮影できます」と向上したカメラ機能を紹介しました。

そして大きなトピックとして、「広範囲で」「高速に」フォーカスを合わせる全画素Octa PD AF方式を採用したことを挙げます。「ビニング画素あたり8つのフォーカス用位相差画素が入っているうえに、それらがイメージセンサー全面に配置されています。これによりファインダーの広い範囲で、すぐにフォーカスを合わせることができます」と楠田氏。具体的には、従来機に比べて2倍も高速にオートフォーカスが当たるようになりました。動き回る小さな子ども、また愛犬や愛猫などペットを撮影するときに、的確にフォーカスが当たるのは心強い限りです。

  • 全画素Octa PD AF

    全画素Octa PD AF方式により、広範囲で高速にオートフォーカスできるようになりました

AIによる人物・顔・瞳検出の機能もブラッシュアップされました。AI処理速度は1.5倍に向上。「高級デジカメのような撮影をスマートフォンで行いたい、というお客様にもオススメできる商品になりました」としています。

  • AIによる高速な検出

    AIの処理速度も1.5倍に向上。リアルタイムに、全身、顔、瞳を検出します。マスクをしていても横顔でも、素早くフォーカスできるのが強みです

  • UI最適化

    UIも最適化されました

このほか、紹介されたカメラ機能は以下のようなものです。

  • ズーム機能

    ズーム撮影も高精細。自動的に4倍高精細なリモザイクモードに切り替わるほか、AIによる超解像ズームとの組み合わせで解像感を維持します

  • Face Beauty

    Face Beautyでは髪の毛、眉、目、肌、口元などを分解、それぞれが自然になるようビューティ処理を行います

  • HDR撮影

    RAWデータを合成するHDR撮影にも対応。従来のHDR処理と比べて、色情報を失わないメリットがあり、逆光、薄暗い場所でも綺麗に撮影できます

  • 8K動画撮影

    従来比で9倍も明るく8K動画を撮影できるように。動画の中からAIが人物を特定して自動で拡大するフォーカス再生にも対応しました

続いて通信事業本部の小林繁氏が登壇。Pro IGZO OLEDとリッチテクノロジーモバイルによって「息を飲むほど美しい画質、滑らかな表示が可能になりました」とディスプレイの進化について説明します。

  • アウトドアビューに対応したディスプレイ

    ディスプレイの進化。日光下でも画面が見やすいアウトドアビューにも対応

  • 240Hz対応

    リフレッシュレートは240Hz駆動に対応

そして大きな進化点である5G通信について説明しました。通信速度は、驚異の下り最大4.9Gbps/上り最大1.1Gbpsを実現すると言います。たとえば30分のアニメ動画シリーズ20話分なら、わずか10秒以内で一気にダウンロードすることが可能。小林氏は「5Gがどんどん高速化しています。無線通信の速度が、固定回線の速度に近づいています」とアピールしました。

  • 通信速度

    5Gについては、Sub6/ミリ波に加え、Sub6とミリ波を束ねるDual Connectivityにも対応

このほか発表会では特に言及はありませんでしたが、5,000mAhの大容量バッテリーを搭載しており、非接触充電も対応、防水はIPX5・IPX8、防塵はIP6Xをサポートしており、生体認証については顔認証および大型3D超音波指紋センサー「Qualcomm R 3D Sonic Max」に対応、おサイフケータイも使えるということで、日常使いにも便利なモデルに仕上がっています。

  • AQUOS R7の特徴まとめ

    AQUOS R7の特徴

「AQUOS wish2」もアップグレードされて登場

このあと「シンプルで飾らない、ソーシャルグッドなスマホの第2弾」(小林氏)として、AQUOS wish2も紹介がありました。従来機AQUOS wishは2021年12月に発表、2022年1月に発売されたばかり。新モデルでは、チップセットがSnapdragon 695 5Gにアップグレードされ、より快適な使い勝手になっています。

  • AQUOS wish2

    AQUOS wish2のシャープによるカラー展開はオリーブグリーン/アイボリー/チャコールの3色。なお同日に本機の取り扱いを発表しているNTTドコモでは、独自のカラー展開を行っています

  • AQUOS wish2の特徴まとめ

    AQUOS wish2の特徴

各キャリアごとの違いは? ライカカメラとの協業は2年目で理解が進んだ

メディアからの質問には、小林氏と楠田氏が回答しました。

「ソフトバンク版のAQUOS R7でも、NTTドコモが5Gに使用している周波数(n79:4.5GHz帯など)に対応しているようだが、ドコモ版のAQUOS R7とソフトバンク版のAQUOS R7で対応する周波数に違いはあるのか」という質問に小林氏は「差異はありません。基本的には、全バンドに対応しています。ただメーカーとしては、やみくもに全てのバンドに対応させるという考え方ではなくて、経済合理性の範囲内で最適に判断している状況です」と回答しました。

ライカカメラ社との協業については楠田氏が「基本的には昨年と同様に、カメラ画質を監修いただきました。協業内容としては大きく変わっておりません」と回答。ちなみに、ライカ社との関係も2年目ということで「AQUOS R6における協業時には、彼らの言っていることを理解するのが難しかった部分もありますが、いまでは彼らの思想も理解しています。今回はスムーズにコミュニケーションできており、彼らの思想をくみとった画質調整ができたのかな、と思っています」と話していました。なおハードウェアに依存しない一部のカメラ機能については今後、AQUOS R6でもアップデートにより利用可能になる可能性があるとのことでした。

  • 小林繁氏と楠田晃嗣氏

    シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏(左)と、同 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の楠田晃嗣氏(右)