Avidはデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)「Pro Tools」の新しいサブスクリプション・ラインナップを発表した。「Pro Tools Artist」「Pro Tools Studio」「Pro Tools Flex」の3種で、年間サブスクリプション価格はPro Tools Artistが12,870円、Pro Tools Studioが38,830円、Pro Tools Flexは129,800円となっている。

  • 新しいサブスクリプション・ラインナップが発表となった「Pro Tools」

Pro Tools Artistは音楽制作に取り組みたいクリエイター向きのバージョンで、最大32オーディオ・トラックおよび32インストゥルメント・トラックで音楽制作が行える。最大同時録音は16チャンネルまで。バーチャル・インストゥルメント/プラグインは、新しいPro Tools | GrooveCell とPro Tools | SynthCell を含む、計100種類以上。Core Audio、ASIOおよびWASAPI対応インターフェースをサポートする。

Pro Tools Studioは、より高い完成度を求める音楽クリエイターおよびプロデューサー向きのバージョンで、最大512のオーディオ・トラックが扱える。最大同時録音は64チャンネルまで。サラウンドおよびDolby Atmosミキシングに対応。Pro Tools Artist同様、新たにPro Tools | GrooveCell とPro Tools | SynthCellバーチャル・インストゥルメントが追加されている。Core Audio、ASIOおよびWASAPI対応インターフェースもサポート。

Pro Tools Flexは、オーディオ・ポストならびに、ハイエンド・ミュージック・プロフェッショナルおよびレコーディング・スタジオ向きのプラン。「Pro Tools Ultimate」ソフトウエアに加え、サードパーティ・ライセンスを含んだサブスクリプション・バンドル全構成を入手可能となっており、多くの追加コンテンツも含まれる。扱えるオーディオ・トラックは最大2,048。最大同時録音はCore AudioまたはASIO環境で256、HDX Hybrid EngineおよびHDX Classic環境下で192、HD Nativeで64。Pro Tools Studioと同じく、サラウンドおよびDolby Atmosミキシングに対応する。

既存のPro Toolsサブスクリプションおよび永続版ユーザーは、自動的にPro Tools Studioへ移行し、すべての基本性能強化や該当追加コンテンツを無償で受け取れる。既存のPro Tools Ultimateサブスクリプション・ユーザーは、最新バージョンのPro Tools Ultimateソフトウエアを含む、Pro Tools Flexサブスクリプション・バンドル全構成を入手可能となる。有効なプランを持っているPro Tools Ultimate永続版ユーザーの場合は、Flexに含まれる追加コンテンツは含まれまないが、これまで通り機能強化された最新のPro Tools Ultimateソフトウエアを入手できる。なお、従来ラインナップの「Pro Tools First」は提供を終了する運びとなった。

  • 従来ラインナップと新ラインナップ

Pro Tools永続版を所有しているユーザーで、サポート契約の有効期限が切れている場合、最新バージョンへは、42,570円(Pro Tools Studio)または91,520円(Pro Tools Ultimate)で再加入が可能だ。永続版ライセンスをアップグレードして最新の状態にすることで、すべての新しいソフトウエア機能強化とバーチャル・インストゥルメントに加えて、1年間のソフトウエア・アップデートが得られ、通常どおりサポート契約を更新できる。サブスクリプションを購入し、永続版ライセンスをそのまま保持するオプションも提供する。オプションと価格については、Pro Toolsチャンネル・パートナーまたはこちらから確認できる。

  • 永続版所有のユーザーは引き続き永続版を利用するかサブスクリプションに切り替えるか選択できる

今回登場のPro Tools Artist、Pro Tools Studio、Pro Tools Flexは、新規ユーザーには年間または毎月のサブスクリプションとしてのみ提供されるが、上記のように、既存の永続版ユーザーは、この変更の影響を受けない。なお、Pro Toolsチャンネル・パートナーは既存の永続ライセンス製品を在庫がある限り販売を継続するとのことで、それらを購入すれば、該当する新しい製品モデルの機能やサービスの入手が可能となる。

先述の新しいバーチャル・インストゥルメントである、Pro Tools | GrooveCellとPro Tools | SynthCellについてだが、Pro Tools | GrooveCellは、Pro Tools上でドラムパターンを作成できる新しいシーケンサー機能付きバーチャル・ドラムマシーンである。クラシカルな16パッドレイアウトを中心に、単一のサンプルまたはキット全体を一度に微調整するために必要なすべてのパラメータを備える。付属のサウンドとプリセットの他、独自のサンプル(MP3、.WAV、あるいは.AIFF)をドラムパッドにドラッグ&ドロップしてカスタム・ドラム・キットを設計することもできる。パッドごとに最大3つのサンプルを重ね、ピッチ、エンベロープ、EQ、ディストーションなどを制御し、ドラム・モード・メニューでE-muの「SP-1200」、コルグの「スーパー・パーカッション DDM-220」などのテクスチャー・エミュレーションを行うことで、独特のフィーリングを生み出せる。また、DriveおよびDynamicsのプリセットでサウンドをさらにシェイプ・アップするといったことも行える。

Pro Tools | SynthCellは、Pro Tools上で、レトロなサウンドから現代的なサウンドまで、幅広いシンセ・サウンド・メイキングが行えるバーチャル・シンセサイザーである。 2つのオシレーター、2つのマルチ・モード・フィルター、LFO、エンベロープ、アルペジエーター、各種エフェクトを使用して、サイン波のレベルから、独自のサウンドをゼロからの構築が可能。プリセット・ライブラリの中から、ノブに触れることなく、オーガニック、破壊的、スムース、カオス、アナログといったサウンドを呼び出し、曲中で使用できる機能も装備する。

  • ワークフロー自動化プラットフォーム「SoundFlow」

また、ワークフロー自動化プラットフォーム「SoundFlow」では、マルチ・ステップが必要な複雑なタスクを、1回のキー・ストロークやタッチ・サーフェスの操作で実行できる。Pro Tools Flex年間サブスクリプションに含まれる「SoundFlow Cloud Avid Edition」は、キーボードショートカット、MIDIコントローラー、HIDデバイスによってカスタム割り当て、またはトリガーできるPro Tools用の 1,600を超える構築済みマクロとコマンドにアクセスできる。