エミライは、FiiO ElectronicsのDAC内蔵ヘッドホンアンプ「KK9 Pro ESS」を4月15日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は12万9,250円前後を見込む。

  • K9 Pro ESS

  • 前面

2021年12月に国内数量限定モデルとして販売した「K9 Pro LTD」の基本コンセプトを踏襲しながら、DACチップをAKMの「AK4499EQ」からESSの「ES9038PRO」デュアル構成に変更した製品。K9 Pro LTDと異なり、限定生産ではない。据え置き型で、付属の縦置き用スタンドを使って縦置きもできる。

  • 縦置き用スタンドで縦置きしたところ

最大384kHz/32bitのPCMと、DSD256(11.2MHz)の再生に対応。また、MQAレンダラー機能も備え、MQAコア・デコードに対応する機器と組み合わせて「CDクオリティーに格納されたハイレゾ・オーディオデータを展開し、MQAの理想とする音質で聴くことができる」としている。

ES9038PROは1基あたり8ch分のDAC回路を搭載しており、左右各チャンネルにデュアル構成で採用することで、本来別々に機能する8ch分の回路をすべて片チャンネルのためだけに使用。高出力を実現しつつ、K9 Pro LTDと比べてSN比は123dBから129dBへ、THD+N(全高調波歪み率+雑音)は0.0003%以下から0.00025%以下へと向上し、「極めて低ノイズかつ歪みのないオーディオ再生を実現する」という。

  • ES9038PROを左右各チャンネルにデュアル構成で採用

ヘッドホンアンプ部には、THXの特許技術を採用した「THX-AAA 788」回路をベースに、FiiOとTHXが共同開発した「THX AAA 788+」回路を採用。左右チャンネルに1基ずつ、計2基搭載している。

オリジナルのTHX AAA-788アンプ回路と比べて出力を50%以上強化しながら、放熱効率も向上。ハイインピーダンス負荷の駆動時は最大52Vppを出力可能で、ローインピーダンス負荷の駆動時は2,100mW(バランス出力時)まで歪みなく出力できるとする。

DAC部からアンプ部に至るまで完全バランス設計となっており、すべてのプロセスで差動信号を通過させることにより、各コンポーネント間の干渉を最小限に抑え、「音楽の繊細さや音圧の強弱の変化を忠実に再現することで、圧倒的な音質を実現する」としている。

最新世代のXMOSチップ「XUF208」を搭載し、デュアルモードのクロック管理技術をサポート。USBとBluetoothのデコーディングでは、アシンクロナス動作のデュアル・フェムトクロックを使い、光デジタル信号と同軸デジタル信号のデコードでは、高精度PLLクロックを使っている。

  • 内部基板

デジタル入力としてUSB Type-CとUSB Bを各1基備え、USB-Cが優先される仕様。光/同軸デジタル入力も装備する。

  • 背面(右)。側面にはUSB Type-C端子(左奥)を備える

クアルコムのBluetooth SoC「QCC5124」を搭載し、Bluetooth受信にも対応。LDACやaptX HD、aptX Adaptiveといった高音質コーデックをサポートする。また、BLE(Bluetooth Low Energy)対応により、Bluetoothモードでないときでもスマホアプリ「Fiio Control App」を使って各種設定が行える。

  • 「Fiio Control App」アプリの利用イメージ(音楽プレーヤーなどは付属しない)

ヘッドホン出力は、本体前面にXLR 4ピンと4.4mmのバランス出力、6.3mmのシングルエンド出力を各1系統装備。出力はバランス、アンバランス共に32Ωで2,100mW以上。300Ωではバランスが1,100mW以上、アンバランスが281mW以上。

音量調整機構にはADCボリュームコントロール方式を採用しており、左右チャンネルの音量バランスの不均等やノイズの発生を抑え、微細な音量調節を可能とする。さらに、高感度イヤホンから低能率ヘッドホンまで最適な音量調整を可能にする、3段階のゲイン切り替え機能を装備。手持ちのヘッドホンに合わせてハイゲイン、ミディアムゲイン、ローゲインの3種類が選べる。

  • 3段階のゲイン切り替え機能を備える

低ノイズ・低歪を徹底したピュアな信号伝達を実現する基板分離レイアウトを採用。また、デジタル部とアナログ部の電源供給も完全分離し、低ノイズで高い安定性と耐久性を実現したセパレート設計電源回路を備える。

本体はオールアルミニウム合金にブラックアルマイト処理とサンドブラスト加工を施しており、前面にボタンを配置。ボリュームノブはステンレススチール製で、周りを囲むRGBインジケーターライトが再生中のサンプリングレートに応じて異なる色で点灯する。

背面には上記のデジタルインタフェースに加えて、4.4mmバランスとRCAのライン入力、XLRバランスとRCAのアナログ出力も装備する。本体サイズは200×224.5×72mm(幅×奥行き×高さ/突起部含む)。重量は2,700g。AC電源ケーブル、USB-A to Bケーブル、6.3mm to 3.5mm変換アダプター、Bluetoothアンテナ、交換用ヒューズなどが付属する。