設定アプリでモバイル通信設定を見直していたところ、「IPアドレスのトラッキングを制限」というスイッチが。既視感を覚えてWi-Fi設定を確認すれば、そこにも「IPアドレスのトラッキングを制限」スイッチが。なぜ同じ名前のスイッチが別の設定画面にあるのでしょう?
このスイッチは、iCloudプライベートリレーの機能をオン/オフするときに利用します。iCloudプライベートリレーとは、iCloud+のサブスクリプション(有料プラン契約時)に含まれる機能で、有効にするとSafariとメールアプリについて通信内容が暗号化されます。外部からそのiPhoneのIPアドレスが見えなくなり、誰も行動を把握できなくなるのです。
ところで、TCP/IPネットワークでは通信インターフェイスに一意のIPアドレスを割り当てることが原則です。iPhoneの場合、直接インターネットに接続できる通信インターフェイスは、モバイル通信回線とWi-Fi回線がありますから、それぞれにIPアドレスが必要ということになります。だから「IPアドレスのトラッキングを制限」スイッチは、モバイル回線とWi-Fiのそれぞれに設けられているのです。
しかもWi-Fiの場合、アクセスポイントごとに接続経路(上流のインターネットサービスプロバイダなど)が異なる可能性があります。そのため「IPアドレスのトラッキングを制限」スイッチはWi-Fiの設定全般を行う画面ではなく、「i」ボタンをタップしてWi-Fiアクセスポイント個別の設定画面に設けられているのです。デュアルSIMを利用している場合も同様に、通信回線ごとにスイッチをオン/オフできます。
なお、一括して「IPアドレスのトラッキングを制限」スイッチをオフにする場合は、『設定』→「Apple ID(自分の名前)」→「iCloud」→「プライベートリレー」の順に画面を開き、プライベートリレーを無効化します。スイッチは表示されたままですが、以降すべての回線でIPアドレスのトラッキング制限は行われなくなります。