アップルが、第5世代のiPad Airを発表しました。新しいiPad Airの特徴や魅力はどこにあるのか、どんな人に最適なiPadに進化したのか、新製品について明らかにされている情報をもとに解説したいと思います。

  • 第5世代の「iPad Air」が登場。従来モデルからどのような点が強化されているか、iPad Proとの違いは何か、どのような人に向くのかなど、気になる点をまとめて解説します

5Gや「センターフレーム」に対応。リモートワークにも最適

iPad Airは、2020年秋に発売された第4世代のモデルから約1年半ぶりに刷新されました。これで無印の第9世代iPadを除く、オールスクリーンデザインのiPadがすべて「5G対応」になりました。

  • 待望の5G対応になった新iPad Air。Sub6の周波数帯域をサポートします

前世代のモデルと価格を比べると、Wi-Fi+Cellularモデルは7,220円、Wi-Fiモデルは5,720円ほど価格が上がっていますが、最新のiPad Proと同じ「Apple M1」チップを搭載してパフォーマンスの向上も図られたことを踏まえれば、依然としてコストパフォーマンスの高さが魅力的なiPad Airだといえそうです。

カラーバリエーションは、第6世代iPad miniの4色(スペースグレイ/スターライト/ピンク/パープル)に加えてブルーも加えた5色展開になりました。ブルーは、第4世代のiPad Airよりも少し濃い青色になったようです。

  • iPadシリーズのなかでもっとも多い5色のカラーバリエーションが揃います

ディスプレイ側のカメラは、12MPの超広角フロントカメラに変更されました。2倍のズームアウト機能と、FaceTimeなどビデオ会議アプリを立ち上げた時に、フロントカメラが人物の姿を常時フレームの中心に入るように追いかけ続ける「センターフレーム」機能を搭載しています。これで、現行モデルのiPadシリーズがすべてセンターフレームに対応しました。

  • フロントカメラが捉えた人物の姿が常時画面の中央に配置されるように、広角カメラとソフトウエアの処理によりフレーミングを調整する「センターフレーム」の機能が追加されました

第4世代のiPad Airに初めて搭載されたトップボタンに内蔵するTouch ID指紋認証センサーは、最新モデルにも継承されました。筆者は、外出する時にiPad Proを持ち出すことがよくあるので、iPad Proの画面ロックもマスクを着けたまま解除できるようになってほしいと常日ごろから思っています。iPad Airは5G対応になり、引き続きアップル純正の別途充電が要らない「Magic Keyboard」や「Smart Keyboard Folio」にも対応していますので、屋外でのリモートワークにも最適な高性能iPadだと感じました。

  • 新しいiPad Airでも、Smart Connectorに接続するアップル純正の「Magic Keyboard」「Smart Keyboard Folio」が利用できます

“プロ並み”の快適さを手頃に楽しめるのがiPad Airのいいところ

新しいiPad Airもまた、10.9インチのオールスクリーンデザインのLiquid Retinaディスプレイを引き継ぎました。チップの性能が肩を並べたことから、11インチのiPad Proとどちらを買うべきか悩ましく感じるかもしれません。

  • 現行のiPadシリーズのラインナップ。iPad AirとiPad Proのどちらを選ぶか悩む人も多いと思います

そもそも現行ラインナップの中で、iPad AirはハイスペックなiPad ProとエントリーモデルのiPadとの間にあるギャップを埋める役割を担っています。M1チップを搭載したことにより、iPad AirもまたApple Pencilによるクリエイティブワークにゲーミングなどさまざまな用途に活用できます。一方で、LiDARスキャナも搭載する高機能カメラ、迫力の4スピーカーオーディオによるサウンド、最大2TBの内蔵ストレージが選べるカスタマイズ性の高さなどでは、やはりiPad Proに軍配が上がります。

加えて、第5世代のiPad Airと11インチのiPad Proとの間では2万円の価格差もあります。従って、プロスペックに迫る快適な使い心地を少しでも手ごろに楽しみたい人には、iPad Airをおすすめします。

iPadの購入を決める前にぜひとも確認しておきたいポイントとして、Apple Pencilによる“書き味”を挙げたいと思います。上位のiPad Proが搭載する120Hz対応のProMotionテクノロジーは、新しいiPad Airにはありません。iPadを本格的なイラストワークに使いたいと考えている人は、ペン先がグッと吸い付いてくるようなiPad ProのApple Pencilによる書き味がより好ましく感じられるでしょう。ディスプレイに貼るフィルムの選択によっても書き味は変わるものですが、できればApple Storeに展示されている実機で基本的な書き味の違いを比べてみるとよいでしょう。

  • iPad AirとiPad Proは、ともに第2世代Apple Pencilに対応しますが、肝心の書き味は両者でやや異なります

新しいiPad Airは、とても魅力的な進化を遂げたと思います。ただ、今回の発表会で、筆者がiPad Airについてひとつ物足りなく感じたこともあります。それは、本体背面のSmart Connectorに対応するアップル純正の「iPad専用アクセサリー」に、新しい製品が加わる動きが見えなかったこと。iPhoneは、MagSafe対応アクセサリーが続々と増えているのに、iPadの機能を拡張できる便利なアイテムもそろそろ欲しいですよね。引き続き期待して待ちましょう。

M1チップの搭載により向上したパフォーマンスについては、改めて実機によるレビューをお届けしたいと思います。ぜひご期待ください!

  • M1チップの性能がどれほど体感にも表れるのか気になるところです