ノート向けに「NVIDIA GeForce RTX 3050」が登場してから遅れることおよそ半年。デスクトップPC向けにも、ついにGeForce RTX 3050を搭載するグラフィックスカードの登場が発表されました。
気になる性能は超詳細なレビュー「GeForce RTX 3050を試す - 性能と消費電力は優秀な末っ子RTX、カギは実勢価格か」をご確認いただくとしまして、この記事ではPalitから投入予定の「Palit GeForce RTX 3050 Dual OC」をチェック。おそらく、国内の主要BTO PCメーカーからこのグラフィックスカードを搭載するゲーミングPCが多数発売されると思います。
デュアルファンを搭載、2スロット厚でコンパクト
さっそく製品の外観からチェックしていきましょう。今回レビューする「Palit GeForce RTX 3050 Dual OC」は、90mmファンを2つ搭載するデュアルファン仕様のグラフィックスカード。冷却機構は2スロット厚に収まるコンパクトサイズで、さらにエントリークラスの製品ながらバックプレートも搭載している点がポイントです。
外装はいたってシンプルで、光る部分も最小限。とはいえバックプレートを備えており、エアフローが通り抜ける機構の採用で冷却性能は高そうです。また、電源回路やGPUメモリがしっかりヒートシンクが接触している点は好印象。補助電源には8pin×1を要求するので、「GeForce GTX 1650」からの置き換えでは電力消費の増加が予想されます。
性能はそれなり。でもNVIDIA DLSSが使える!
負荷の小さいGPU向けベンチマークテストを用い、かんたんに性能をチェックしてみました。今回使用したのは『3DMark』各種と、『FF14ベンチマークテスト 暁月のフィナーレ』です。仕様における注目点としては、バスインタフェースがPCIe 4.0 x8であること、エントリークラスながらRTコアやTensorコアを備えている点でしょうか。CUDAコアは2,560基で、GDDR6 8GBのGPUメモリを搭載しています。
軽いテストはなめらかに描画されていましたが、重めのFire Strike以降のテストはかなり厳しそうでした。フレームレートは30前後まで落ち込んでおり、実際のゲームプレイでは最新タイトルの強烈な要求性能には届かないかもしれません。軽めの『FF14ベンチマーク(フルHD、最高設定)』では割となめらかに動作していましたが、どうしてもコマ落ちするシーンも見受けられます。
とはいえ、エントリー向けながらRTコアとTensorコアを搭載し、DLSSを利用できる点がポイント。これを有効化することで、NVIDIA DLSS feature testではフレームレートを1.5倍以上高めることに成功しています。
個人的に、GeForce RTX 3050はゲーミングよりも、豊富な映像出力端子を生かした画面表示や、NVENC / NVDECを利用したエンコード / デコード用アクセラレーター、RTコアやTensorコアを用いた配信用サブマシンなどの用途に向きそうな気がします。
NVIDIA RTXシリーズだけが使える「NVIDIA Broadcast」機能は、配信ツール「OBS Studio」などにも統合されており、高度なノイズリダクションやクロマキー処理を行えます。ちょっとゲーム用としてはパワー不足でも、縁の下の力持ちとしては幅広く活躍できそうだと思いました。
冷却性能は余裕あり、静かで快適
ベンチマークテスト中の動作はいたって静かで、ケースに組み込めばほとんど気にならないレベル。大きなヒートシンクとデュアルファンを搭載し、エアフローが貫通する仕様が活きていそうです。Palitからはさらに長さを切り詰めたシングルファンモデル「GeForce RTX 3050 StormX」も投入されるので、用途に応じて好みのモデルを選択してみてはいかがでしょうか。