2021年12月にキオクシアの個人向けブランド「EXCERIA」から、ポータブルSSD「EXCERIA PLUS ポータブルSSD」が発売された。容量は500GB、1TB、2TBの3種類。最大リード1,050MB/秒、ライト1,000MB/秒と高速なデータ転送速度を実現している。

今回は1TBモデルを試用する機会を得たので、PC接続でのデータ転送速度をはじめ、高負荷時の表面温度、PS5、PS4使用時におけるゲームの起動、ロード時間も確かめてみることにした。

  • 「EXCERIA PLUS ポータブルSSD」。実売価格は2TBが30,500円前後、1TBが17,500円前後、500GBが9,000円前後

    「EXCERIA PLUS ポータブルSSD」。実売価格は2TBが30,500円前後、1TBが17,500円前後、500GBが9,000円前後

小さくても高速、キオクシアの新型ポータブルSSD

EXCERIA PLUS ポータブルSSDの魅力は、高速なデータ転送速度に加えて、小型かつ頑丈であること。全容量共通でサイズは幅105mm×奥行き45mm×高さ14.7mm、重さは76gで、筆者の実測では75gだった。122cmの高さから鉄筋コンクリート上の鋼板表面に落とすという米国MIL規格の落下試験に準拠とタフなボディとなっており、安心して持ち運べる。

  • まさに手のひらサイズの小ささ。適度な曲線があり、持ちやすいのも特徴だ

  • 重量は筆者の実測で75g

データ転送速度もすべての容量で最大リード1,050MB/秒、ライト1,000MB/秒を実現している。インタフェースはType-C(USB 3.2 Gen2)で、付属のケーブルは両端がType-Cの「USB Type-C to C ケーブル」と片方がType-Aになる「USB Type-C to A ケーブル」を付属するので、どのデバイスにも接続しやすい。長さはどちらも30cmだ。対応するデバイスはWindows PC、Mac、iPad、Android、PS4、PS5、Xbox Series S|Xと幅広い。保証は3年間だ。

  • 付属のケーブルは両端がType-C形状と片側がType-A形状の2種類を付属

実際の転送速度と動作温度をテスト

ここからは実際の速度をチェックしてみよう。テストにはCrystalDiskMark 8.0.4を利用する。テスト環境は以下の通りだ。

■テスト環境
CPU Intel Core i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボード MSI MPG Z690 CARBON WIFI(Intel Z690)
メモリ Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5 CMT32GX5M2B5200C38(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2)
ビデオカード NVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition
システムSSD WESTERN DIGITAL WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB]
CPUクーラー Corsair iCUE H115i RGB PRO XT(簡易水冷、28cmクラス)
電源 Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OS Windows 11 Pro
  • 標準のファイルシステムはexFATだった

  • マザーボードのUSB 3.2 Gen2x2ポートに取り付けて測定

  • CrystalDiskMark 8.0.4の結果

シーケンシャルリードは1,078.5MB/秒、シーケンシャルライトは1,033.09MB/秒と公称スペックを若干だが上回るスピードを見せた。これだけの速度があれば、外付けSSDではあるがゲームのインストール先として使うのもアリだろう。

次に温度をチェックしてみたい。EXCERIA PLUS ポータブルSSDはアルミ製筐体を採用し、負荷のかかる使用でも効果的な放熱が可能としている。そこでCrystalDiskMark 8.0.4を3回連続で実行とかなり高負荷な処理を実行した直後の温度をサーモグラフィーの「FLIR」で確かめた。

  • CrystalDiskMark 8.0.4を3回連続で実行した直後。最大で44.1℃、最小で38.7℃とほんのり温かい程度だ

中央部分の温度を見たが、最大44.1℃、最小38.7℃、平均43.1℃をちょっと温かいという程度に収まっている。これなら大容量のデータをコピーしても安心と言えそうだ。

プレステ5で利用時の性能も検証

続いてPS5とPS4の拡張ストレージとして接続した場合のゲームの起動とロード時間がどう変わるかチェックしてみたい。ゲームはどちらも、PS4版の「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を使用した。起動とロードをストップウォッチで3回測定したときの平均を掲載している。

まずはPS5(CFI-1100A)から。PS5はUSB接続の外付けストレージにゲームをインストール可能だが、プレイできるのはPS4対応のゲームのみ。PS5対応のゲームは保存が可能というだけで、プレイするには本体の内蔵SSDか増設したPCI Express 4.0対応のM.2 SSDにゲームを保存する必要がある。

  • PS5の外付けSSDとして使用する。前面のType-Cポート(10Gbps)に接続した

  • PS5の拡張ストレージとしてフォーマットし、モンスターハンターワールド:アイスボーンをインストールして起動とロード時間を測定した

  • PS5の拡張ストレージとして接続した場合

PS5の前面にあるType-CポートはUSB 3.2 Gen2(10Gbps)仕様なので、EXCERIA PLUS ポータブルSSDの速度を十分活かせる。PS5の内蔵SSDは、PCI Express 4.0接続の高速なタイプだが、PS4のゲーム起動とロードに関してはほぼ同じ結果になった。ちなみに、内蔵SSDから外付けSSDのEXCERIA PLUS ポータブルSSDにモンスターハンターワールド:アイスボーン(59.74GB)移動させるのに、約2分47秒必要だった。

薄型プレステ4でも十分な効果を確認

次は薄型PS4(CUH-2100)。前面にあるUSB 3.0(5Gbsp)のポートに接続してテストを行った。

  • PS4の外付けSSDとして使用する。前面のUSB 3.0ポート(5Gbps)に接続した

  • PS4の拡張ストレージとしてフォーマットし、モンスターハンターワールド:アイスボーンをインストールして起動とロード時間を測定した

  • PS4の拡張ストレージとして接続した場合

本体内蔵のストレージはデータ転送速度の遅いHDDということもあって、起動とロードに時間がかかる。そのため外付けSSDにインストールすると起動、ロード時間ともに短縮。とくにロード時間は1分以上も短くなった。薄型PS4のUSBポートは、USB 3.0(5Gbps)なので、EXCERIA PLUS ポータブルSSDの速度を活かしきれないが、それでも十分な効果がある。ちなみに、内蔵HDDから外付けSSDのEXCERIA PLUS ポータブルSSDにモンスターハンターワールド:アイスボーン(59.74GB)移動させるのに、約18分59秒必要だった。

コンパクトで高速、頑丈、放熱性にも優れると非常に使いやすいポータブルSSDだ。PC用として大容量データの持ち運び用として便利なのはもちろん、PS5やPS4のゲーム機用外付けストレージとしても場所を取らずに使えるのが素晴らしい。ポータブルSSDを求めているならぜひともチェックしてほしい。