MMD研究所は1月25日、2022年1月に実施したスマートフォン決済(非接触)の利用動向に関する調査の結果を発表した。サービスの内容を理解している人は全体の半数を超えるものの、現在利用しているという人は8.7%にとどまるという。もっとも利用されているサービスは「モバイルSuica」で、以下「iD」「楽天Edy」と続く。
この調査は、「タッチ決済」とも呼ばれる、スマートフォンを利用した非接触決済サービスの利用について尋ねたもの。「PayPay」「LINE Pay」などの「QRコード決済」と呼ばれるサービスは対象外。
スマートフォン非接触決済の認知・利用状況
スマートフォン非接触決済というサービス自体の認知・利用状況を尋ねた設問の回答が次のグラフ。
サービス内容を理解しているといえる上から4つの項目(「現在利用している」「利用したことはあるが、現在は利用していない」「利用を検討している(利用したことはない)」「だいたいどんなものかわかるが、利用したことはない」)の合計で50.9%と全体の半分を超えているものの、「現在利用している」という人は8.7%にとどまり、どういうサービスかはわかっているが実際に使うには至らないという人が多いようだ。
さらに、「利用したことはあるが、現在は利用していない」という人が14.9%にのぼり、使ってはみたが使うのをやめたという人も意外に多い。「全く知らない」という人も16.5%。
各サービスの認知・利用状況
各サービスごとの認知・利用状況をまとめたのが次の表だ。
利用者が最も多いのは「モバイルSuica」で8.1%。「iD」7.4%、「楽天Edy」6.4%がそれに続く。「楽天Edy」は「全く知らない」の回答がもっとも27.1%と低く、知名度は高いが、「利用したことはあるが、現在は利用していない」が10.1%と高い。プロモーションキャンペーンの成果で認知度は高く、試しに使ってみた人も多いが、継続して利用するには至らなかった……というところか。
クレジットカードのタッチ決済/コンタクトレス決済については認知度・利用度ともあまり高くない中で「Visaのタッチ決済」の利用度が4.3%と健闘しているが、これはVisaの国内シェアの高さも要因のひとつだろう。その点、Visaに次ぐ国内シェアを持つJCBの認知度・利用度が伸び悩んでいるは気になるところだ。
もっとも利用しているサービス
こちらは、「もっとも利用している」サービスを聞いたもの。順位は先の設問の利用度の順位と変わらない。
利用を検討しているサービス
今後の利用を検討しているサービスを尋ねた設問の回答をまとめたのが次のグラフ。こちらは現在利用しているサービスとはちょっと違った結果となった。
トップは「楽天Edy」で20.1%。「モバイルSuica」が2位と、利用度の順位と1位2位が入れ替わっている。3位は「Visaのタッチ決済」で「モバイルWAON」「nanacoモバイル」が続き、利用度3位の「iD」は6位。
この設問からは「楽天Edy」の新規ユーザー獲得が期待できそうだが、先の設問でうかがえた“一度利用してから利用をやめる比率が高い”という点を改善できるかどうかがシェア拡大にあたっての課題といえる。
スマートフォンの非接触決済サービスの利用開始時期
最後に、現在もっともよく利用しているサービスを使い始めた時期を聞いた設問の結果がこちら。
直近では全体として増加傾向。2020年1月~6月が7.6%とその前後に比べて高い数字となっているのは、コロナ禍で現金の受け渡しを避けるべきであるとされ、キャッシュレス決済が推奨されたためと思われる。
ただ、「覚えていない」「2016年12月以前」を合わせると51.6%で全体の半分を超えており、長く使っているユーザーが多いことがうかがえる。ちなみに、携帯電話端末向けの「モバイルSuica」サービスがはじまったのが2006年1月で、「楽天Edy」が携帯電話端末で利用できるようになったのは2004年7月。このあたりの時期からサービスを利用している人も少なくないと思われる。
調査概要
- 調査内容:2022年1月スマートフォン決済(非接触)利用動向調査
- 調査期間:2022年1月1日~1月5日
- 有効回答:44,727人
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:18歳~69歳の男女