デルから、同社ゲーミングブランド「Alienware」を冠する最新ゲーミングデスクトップPC「Alienware Aurora R13」が登場しました。Alder Lakeこと第12世代Intel Coreプロセッサの搭載で構成を刷新し、水冷クーラーを採用して高い冷却性能を実現しています。今回はこの新製品を眺めつつ、性能をチェックしてみました。
圧倒的に他とは違う個性
ゲーミングデスクトップPCにもいろいろありますが、各メーカーから販売されているBTO PCは割と似たようなものになりがち。というものマザーボードやグラフィックスカード、ケースに汎用品が用いられていることが多いため、外見や構成で差別化しにくいという事情があります。
しかし、このAurora R13は違います。ケースはひと目見て「AlienwareのゲーミングPCだ」とわかる特徴的な外観で、カラーは「ルナライト」と「ダークサイドオブザムーン」の2色で展開。直方体然とした一般的なPCとは異なり、シルエットにはグラマラスな曲線が多数用いられています。
-
やってきた「Alienware Aurora R13」の巨大なパッケージ。一般的なデスクトップPCの梱包よりもかなり大きく、さらにグラフィックがあしらわれたスタイリッシュな出で立ちです
-
参考までにGeForce RTX 3070やAMD Ryzen 5のパッケージと並べてみました
-
開封! 外箱は大きい面がガバリと開き、中身にアプローチしやすいタイプ。高密度スポンジで固定されたPCが出てきます
-
取り出した本体をパッケージと並べたところ
-
本体の様子。今回は白いボディを採用した「ルナライト」を借りています。サイドパネルは中身が透けて見えるクリア仕様
-
前面。宇宙船を思わせるような楕円形のシルエットです
-
フロントの端子部。上からオーディオジャック、USB Type-A×3、USB Type-C×1
-
電源ボタンはもちろんこのエンブレムです
-
向かって右側面はクリアパーツではありません
-
上部に巨大な排気口を備えた背面部。オプションにはケーブルカバーも用意しており、背面が映りがちになるeスポーツシーンでもスタイリッシュに設置できるとのこと
-
マザーボードの端子部。映像出力端子がなく、間違えて接続することもなさそう
-
ディスプレイとの接続にはこちらを使いましょう。映像出力端子はHDMI×1、DisplayPort×3
ちなみにこのケース、なんとアピールポイントとして「前モデルからの大型化」を掲げており、内部容積が50%増加しているとのこと。冷却性は高まりそうですが、前モデルからの置き換えでは設置スペースを確認しておいたほうが良さそうです。
ケースのデザインも極めて特徴的ですが、他のデスクトップPCと特に違うのはマザーボードに汎用品ではなくオリジナルの専用品を採用している点です。設計においてはエアフローを特に考慮したとしており、一般的なATXやMicro ATXとは全く互換性のない独特な形状になっています。これによってケースのスペースを有効活用しつつ、フロントコネクタへのケーブル配線を削減。電源ケーブルを上下に分散し、エアフローを高めたとしています。
ケースは内部にアクセスしやすい仕様で、背面のプラスネジを1本外すだけでサイドパネルを取り外せます。さっそくサイドパネルを取り外し、専用品のマザーボードを眺めてみました。
-
内部へのアクセスはとてもかんたん。背面にあるネジを取り外して…
-
手で引くとツメが外れ、サイドパネルのロックが開放されます
-
サイドパネルを取り外したところ
-
サイドパネルの下からは注意書きが現れました。上部のライトバーは持ち手ではないので気をつけて取り扱いましょう
-
電源ユニットの外し方についてもグラフィックでわかりやすく示されています
-
CPU周りを俯瞰で。CPUへの電源供給を担当し、発熱が大きくなるVRMには大ぶりのヒートシンクがあしらわれています
-
Alienware印の水冷クーラー。専用品だけあり、チューブの長さは完璧です
-
16GB×2の32GBを搭載するDDR5メモリ。左から2番目と4番目に据え付けられており、2スロット空いています
-
メモリの横には「2」とかかれたM.2スロットが空いています
-
マザーボードの形状はかなり独特で、フロントの端子部まで基板そのものが伸びています。小型のM.2スロットにはIntel Killer AX1675を搭載し、Wi-Fi 6Eをサポート
-
おそらく「1」であろうM.2スロットはCPU下部にありました
-
アップで撮影したところ、Western DigitalのSN810シリーズを搭載していることがわかりました(上下を反転しています)
-
レビュー機材ではグラフィックスにNVIDIA GeForce RTX 3070を搭載しています。補助電源は8pin×1で、厚みは2スロットに収まっているコンパクト仕様。重みを支えるステーが装着されており、おそらくこれも専用品だと思います
-
グラフィックスカードもツールレスで取り外せます
-
レバーを引くだけで拡張スロットが開放されます
-
底部にはストレージ搭載エリアもあります
ケース、マザーボード、クーラーにそれぞれ専用品が用いられており、適当にパーツを集めて組んだ自作PCのようなちぐはぐ感は皆無。汎用品ではありえない短さのチューブが水冷クーラーに用いられており、ぴったりと据え付けられている様子は壮観です。ちなみに、電源ユニットには極めて変換効率が高い80PLUS PLATINUM認証の750Wモデルが搭載されています。
また、もちろん“ゲーミングPC”なので光ります。“AlienFX”と名付けられたイルミネーションは巧妙な配置でケース内にあしらわれており、鮮やかな間接照明となってゲーミング環境を彩ります。光り方やカラーはいろいろ選べますが、個人的にはAlienwareならデフォルトの水色がマッチしていて格好良いと思いました。
-
電源を投入すると、ファンとケース、CPUクーラーにあしらわれた光源が一斉に点灯。グラフィックスカード側面にも「GEFORCE RTX」の文字が浮かび上がります
-
ちょっと寄ってみたところ。本当にかなり格好いいです
-
もちろんカラーは任意に変えられます
-
フロントのライティングも一切抜かりがありません。複雑なハニカムパターンが光の中に現れ、一般的なケースよりも段違いにスタイリッシュ。このライティングがかなり格好良く、個人的にとても気に入りました
性能もチェック。ファンが爆音!?
外観をすみずみまで眺めたところで、性能もチェックしましょう。おさらいしておくと、今回扱っている「Alienware Aurora R13」では第12世代Intel Coreプロセッサを採用し、高速なDDR5メモリを組み合わせて搭載。グラフィックスはNVIDIA GeForce GTX 1660 Tiや、RTX 3060~3090まで幅広く選択できます。レビュー機の仕様は以下の通りです。
OS | Windows 11 Home |
---|---|
プロセッサ | Intel Core i7-12700KF |
メモリ | DDR5 4400MHz 32GB |
ストレージ | M.2 NVMe 1,024GB SSD(PCIe 4.0)、2TB HDD |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 3070 |
起動すると「My Alienware」なるユーティリティが立ち上がり、ここでドライバのアップデートやファンの動作、ライティングの設定などを行えます。今回はあらゆる設定をパフォーマンス重視にした状態で評価しています。
以下の通り、各種テストの結果を列挙します。第12世代Intel Coreプロセッサでは高性能なPコアと高効率なEコアを組み合わせており、Windows 11が搭載する「Intel Thread Director」機能によって高いパフォーマンスを実現。PCIe 4.0に対応するM.2 NVMe SSDはとても高速で、GeForce RTX 3070によってゲーミング性能も抜群。3DMarkのテストでは、『Apex Legends』換算で140FPS以上が確保されているとありました。
-
CINEBENCH R23「Multi:20,904pt、Single:1,874pts」
-
CrystalDiskMark 8.0.4
-
PCMark 10 Extended「10466」
-
3DMark Fire Strike Extreme「15598」
-
3DMark TimeSpy「13309」
-
3DMark Wild Life Extreme「27289」
-
暁月のフィナーレ ベンチマーク - ファイナルファンタジーXIV「22775」
驚いたのは、ファンの回転が全開になったときの騒音です。「えっ、こんなに!?」というほど全開時のファンノイズは猛烈で、例えるなら180度で動作中のオーブンレンジみたいなレベル。FF14ベンチマークテストのような軽いテストで全開になることはありませんでしたが、CINEBENCHやTime Spyでは猛烈な“全開モード”になることもありました(ずっとというわけではなかったです)。テストではユーティリティでファンを「パフォーマンス」に設定していたので、高負荷なタイトルで長時間のゲームに挑む場合は、「静音」などもう少しおとなしめに設定したほうが良さそうです。
メーカー製デスクトップPCのあり方を突き詰めたマスターピース
ここまで「Alienware Aurora R13」についてお伝えしてきました。汎用品で構成されるゲーミングデスクトップPCが多い中、専用品のケースとマザーボード、クーラーを採用することで独自路線を追求。特に外観では大きな差別化に成功しており、プロダクトとしての仕上がりは頭一つ抜けている印象です。
ケースは前モデルからちょっと大きくなりましたが、マザーボードを傾けて配置する独特なデザインとスタイリッシュなイルミネーションがかなり好感触。でもファンの騒音にはちょっと驚かされたので、実際に使っていくにはファン設定の見直しは必要になりそうだと思いました。
しかし、最新パーツの採用で性能はお墨付き。第12世代Intel CoreプロセッサとDDR5メモリ、NVIDIA GeForce RTX 3000シリーズの採用で高い性能を実現しています。ちなみに、AMD Ryzen 5000シリーズを採用する「Alienware Aurora R14」も販売中。どちらも直販ページではCPUやGPUの仕様を詳細に選択できるので、用途と予算に応じた幅広いカスタマイズも行えます。Alienware Aurora R13なら、きっと性能だけでなくPCそのものへの所有感も大きなものになりそうです。