【8】NTTドコモが大規模通信障害を発生、IoTが新たな障害発生源に

ネットワークを巡っては、NTTドコモが10月14日に発生させた通信障害が大きな注目を集めました。3Gに至っては完全回復までに1日以上を費やしており、その影響範囲も全国に及んだことから、影響を受けた人も少なくないのではないでしょうか。

しかも通信障害の発生原因がスマートフォンではなく、IoT向けの通信サービスであったというのにも驚きががありました。

これは主に電気やガス、タクシーなどのメーターに設置され、使用量や売上など小容量のデータを送るために使われているのですが、通信量自体は少ないものの通信する端末の数が多いことが影響し、これまでにない形での障害を引き起こすこととなったのです。

  • 10月に発生したNTTドコモの通信障害は、IoT向け通信サービス用の設備入れ替え中に問題が発生し、元の設備に戻そうとした所、IoT端末からの情報登録が多数発生し大規模障害へと発展した

とりわけ5G時代には、現在以上に多数のIoTデバイスで通信を利用するようになると見られていることから、障害が発生するとスマートフォンで通信できないだけにとどまらず、社会全体に大きな影響を与える可能性が高まってきます。この障害はそうした将来への警告と見ることもできるのではないでしょうか。

【9】NTTが総務省幹部に高額接待、遅れたNTTグループの再編

短期間のうちに携帯電話業界に甚大な影響を与えた菅前政権ですが、2021年はその菅前政権と総務省、そして通信業界を巡る大きな問題も発生しています。

それは2月に、菅氏の長男が務めていた東北新社による総務省幹部への高額接待問題に端を発し、日本電信電話(NTT)による総務省幹部への高額接待までもが明らかになったことであり、その影響から通信行政を主導してきた総務省幹部が相次いで退任する事態に至っています。

とりわけNTTと政権を巡っては、従来NTT分離・分割を進めてきた政府の方針を一転させてNTTによるNTTドコモの完全子会社化を認めたり、メインブランドの料金プランとしては不自然な内容だったahamoを菅氏が絶賛するかのようなコメントを残すなど、ここ最近両者の関係の良さを示す出来事が目立っていました。それだけに一連の高額接待問題の影響で、NTTは当初目論んでいたNTTグループの再編を思うように進められなくなってしまいました。

最終的に総務省の調査でも、高額接待がNTTの優遇にはつながっていないとの判断がなされたようで、それを受ける形で10月にようやくグループ再編を発表。NTTドコモがNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアの子会社化を打ち出すに至っています。

ですがNTTのグループ再編を巡っては競合他社からの反発が根強くあるだけに、NTTグループには今後も透明性を高める取り組みが求められる所でしょう。

  • NTTドコモがNTTコミュニケーションズらを子会社化するというNTTグループの再編は、当初夏頃が予定されていたが、総務省幹部に対する高額接待問題の調査の影響で発表が10月にまでずれ込んだ

【10】菅前首相がついに退任、料金競争はいち段落

菅前政権は先の接待問題だけでなく、新型コロナウイルスや東京五輪の開催を巡る対応などで国民の支持を大きく落としたようで、その影響もあってか自民党総裁選への不出馬を表明。当初の任期通り9月末をもって首相を退任するに至っています。

菅前政権下で非常に短期間のうちに大幅な携帯料金引き下げがなされたのは確かですが、その一方で携帯各社の業績は大幅に悪化。またルール整備より政治的圧力で引き下げを迫ったことで、MVNOが苦境に立たされるなど多くの混乱も生じており、ポジティブに評価できる内容ではない面もあったのが正直なところです。

10月には岸田文雄氏が新たな内閣総理大臣に就任、菅氏の影響力が低下したことで料金を巡る動きはひと段落したといえるでしょう。

一方で岸田氏は「デジタル田園都市国家構想」を打ち出し、地方での5Gネットワーク整備を重視する方針を示していることから、2022年は5Gのエリア展開に関する政策が注目されることになるかもしれません。

  • 総務省が2022年4~5月頃の割り当てを予定している2.3GHz帯の免許審査では、岸田政権が打ち出す「デジタル田園都市国家構想」を重視し、遅れている地方の5Gエリア整備を高く評価する方針案が示されている