多くの人に満足して使ってもらえる高機能で不具合のないアプリは理想ですが、そこへ至る過程にはなかなか厳しいものがあります。未知の不具合はないか、操作の容易さ・内容の理解しやすさは適正か、想定外の操作をしたらどうなるのか、開発者はアプリの完成度を高めるべく、正式公開前に気を揉むものです。

そこで行われる作業が、いわゆる「β(ベータ)テスト」。正式公開前のソフトウェアやサービスサービスをユーザに提供し、実際に利用することで機能や使い勝手に問題がないか評価してもらうことをいいます。かつてiPhoneアプリは、サードパーティー製のβテスト用ツールを活用することで、それらの検証作業を行ってきました。

テストフライト(TestFlight)は、Appleが提供するβ版アプリの配信を行うためのアプリです。Appleが提供するアプリ開発支援ツールの一種で、ユーザが直接操作することはほとんどありませんが、β版アプリで発見した不具合のフィードバックやクラッシュログを開発者へ送信するなど、アプリ開発者とユーザ/テスターをつなぐためのさまざまな機能を提供します。

テストフライトを使うと、最大1万人までテスターを招くことができます。パブリックリンクという形式を利用すると、参加者のメールアドレスと名前を管理する必要がなくなるため、大規模なβテストもわずかな事務負担で実施できます。eメールまたはパブリックリンクを介して受けとったURLにiPhoneからアクセスすれば、すぐにβ版アプリを利用できるようになります。

なお、配布されるβ版アプリには90日のテスト期間が設定されており、経過すると起動できなくなります。β版アプリを削除(アンインストール)するか、開発者側で終了手続きを行うことでも、そのβテストは終了します。

  • 「テストフライト」って何ですか?