私事で恐縮だが、3歳の息子の好奇心が爆発しだして、いろいろなものに興味を持ちだしたので、習い事の案内パンフレットなどを物色する傍ら、入門用のパソコンを探している。GIGAスクール構想が進んで、小学校からICTを学べるようになるので、未就学のうちからパソコンの扱いに慣れさせておくのもアリなんだろうと思う。
さて、実際にパソコンを探してみると、今まで散々コンピュータをいじってきた身からしても、これが意外と難しかった。子供なりにモノの扱いが雑なので、丈夫さ、耐久性は非常に重要だ。そもそも直感的に操作できないと使えないだろうから、低性能で動作が極端に遅くても困るし、タッチパネルは必須。遊んだり学習アプリを使うくらいならAndroidやiOSでもいいのだが、使い道を広くとるなら基本はWindowsだろうという考えもある。もちろん、使いこなせず埃を被っても惜しくない程度の価格だと尚良い。
そんなこんなで結局、僕の考えた最強の○○みたいな「ちょうど良い」パソコンは見つからなかったわけだ。それでは読者の皆さん、また来年、良いお年を、息子4歳までお待ちいただきたい……と思いきや、年末になって、とても良い1台を見つけることができた。
それが、マウスコンピューターの10.1型2in1「mouse E10」だ。当時はスタディパソコンなどと呼んで発売していた気がする。もともとがGIGAスクール向けで、マインクラフトのバンドルパッケージなんかも販売していた由緒正しいICT教育用パソコンなので、我が家のニーズにはうってつけなのだが、今回決め手となったのは"価格"である。
mouse E10の価格は、2020年の発表当時は5万円を超えていたし(学割で税別49,800円とかだった)、件のmouse E10のマイクラバンドルパッケージも5万円台中盤くらいで売られていた。ところが今現在、mouse E10の同社直販での販売価格は税込22,000円と半額以下に。そういえば、今年の11月にCPUを変更して値下げしたという記事を掲載した記憶がある。こうなると任天堂の携帯ゲーム機を買い与えるくらいの感覚である。GIGAスクール用に作りすぎちゃったのかなぁ、と余計な心配をしつつも、これなら気軽に試せる。
改めて、mouse E10のスペックも確認しておこう。本体は10.1型のタブレットPCで、これに付属のマグネット着脱式キーボード(本体カバー兼用)を組み合わせることで、2in1 PCとして利用できる。CPUはIntel Celeron N4000(2コア2スレッド)、メモリは4GB(LPDDR4-2400)、ストレージは64GB(eMMC)で、10.1型の液晶画面の解像度は1,280×800ドット、10点マルチタッチとMPP準拠ペン入力に対応している。重量は約980gで、キーボードと合体させると約1.28kg。OSはWindows 10 Proで、制限無しのWindows OSが入っている。
■mouse E10の主な仕様 | |
OS | Windows 10 Pro 64ビット |
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オフィスソフトウェア | KINGSOFT WPS Office 2 Standard ダウンロード版 (ワープロ/表計算/プレゼンテーション/PDF閲覧) |
CPU | Intel Celeron N4000 |
グラフィックス | Intel UHD 600 |
メモリ容量 | 4GB (オンボード) |
ストレージ容量 | 64GB (eMMC) |
パネル | 10.1型 グレア (LEDバックライト)、10点マルチタッチ対応、静電容量方式、硬度6H、MPP準拠ペン対応 |
無線 | IEEE 802.11ac/ a/ b/ g/ n (最大433Mbps対応) + Bluetooth 5モジュール内蔵 |
WEBカメライン | 200万画素 (スライドシャッター付き)/ アウト:200万画素 |
動作時間 | 最大で約12.0時間 |
本体重量 | 本体約980g、キーボードカバー約300g |
保証期間 | 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート |
Celeron N4000はGemini Lake(開発コード名)、いわゆる省電力なIntel Atom系のCPUなので、バッテリ駆動は公称12時間に近い時間を確保できるし、ベンチマークテストをしてもそれなりに使えそうなスコアを出す(参考までに以下にWindows 10標準のWinSATの性能テスト結果を掲載しておく)。ただ、ベンチマークテストではそれなりに見えても、体感では、Atom系にありがちな動作が引っかかる感じの遅さが出ることもあるので、「子供用だけど、あわよくば自分用でもたまに使いたい」用途なら、子供用+家族のネットサーフィン用くらいを想定しておくのがよい。
■Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)の結果 | |
プロセッサ | 7.8 |
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メモリ | 5.9 |
グラフィックス | 4.3 |
ストレージ | 7.1 |
"あわよくば"を割り切れば、子供用なら申し分ない。スタディパソコンというだけあり、細部まで配慮が行き届いている。MIL規格(MIL-STD-810G)準拠という耐久性は、高さ約76cmからの落下テストをクリアしているといい、USBなどのインタフェースのコネクタ類はラバーのカバーので覆うことができる防塵防滴仕様だ。mouse E10の外観上の特徴にもなっている本体一体型のキックスタンドは、180度回転して持ち運びハンドルにもなる。付属のスタイラスペンは筆圧感知もしてくれるので、文字の手書きはもちろん、「お絵かき」でも十分活躍してくれる。カメラもイン/アウト両方備えているので、写真を撮って遊ぶのにうってつけだし、インカメラについては物理的にカメラを塞いでくれるシャッターもついていた。
我が家の息子は特にペンやタッチ入力で遊ぶのが面白いらしく、ペイントソフトで思うままにお絵かきを楽しんでいるようだ。途中でペンの色を変えてあげたりすると喜ぶ。普段、筆者の仕事用キーボードをカチャカチャさせて原稿に「jhgじゃなおあmこお」とか入力するのが好きな息子なので、キーボード入力でも遊んでくれるかなと期待したものの、付属のキーボードは打ち味こそ問題ないが、打鍵音の小ささに満足できないのだろう、ペンとタッチで操作するのがメインになっている。
まだパソコンは難しいかとも思ったが、渡せば子供なりに楽しんでくれるのは本当に意外だった。現在のところ、最大のキラーコンテンツはYoutubeになっている。「○○が観たい」などの要望に応じて、とりあえずYoutubeにアクセス、最初の動画を選ぶところまで手伝ってあげれば、レコメンドの関連動画に切り替えたりしながら色んな動画を楽しんでいる。タッチ系の操作は少し教えてあげればすぐに覚えてしまうので、一人で遊べるようになり、夜更かしが増えて困ってしまっている。少なくとも、息子にとってすでにコンピュータはおもちゃと同列で、抵抗感のようなものはほとんどないだろう。
難点としては、これはWindows OSの機能についてだが、ペアレンタルコントロールの設定が少々面倒なところだ。まぁ、Windows 10のペアレンタルコントロール設定はそこまで難しいものとは言えないのだが、例えばAmazonのKindle Fire キッズモデルあたりと比較してしまうとちょっと面倒に感じる。親目線では、あちらの方がアカウント紐づけがわかりやすいし、楽に細かく設定できる。あちらはAmazon Kids+を契約してしまえば本当に苦労が少ないのだ。
といっても、こちらはフル機能のWindowsマシンである。まだYoutubeやお絵かきだが、もう少し成長したらマインクラフトをインストールして遊ばせてあげたい。今はプレステのドラゴンクエストビルダーズのプレイを見るのが好きな子供なので、きっとハマるだろう。そのあとは、写真を撮ったり、大好きなYoutubeに今度は自分で動画を上げてみたり、ちょっとしたプログラミングで遊んでみたり、出来ることはどんどん広がっていきそうだ。そうなると気になるのは64GBしかないストレージ容量か。これの拡張手段は早々に考えておく必要がありそう。しかしながら、ペンもキーボードもタッチ入力もあって、丈夫なWindows PCが22,000円というのはやはり破格だ。今回のmouse E10は入門用としてはかなりオススメな1台だと思う。