ARM版Windows(Windows on ARM)向けのx64エミュレーションがGA(General Available:正式版)になった。ただし、同機能の利用について、Microsoftは「Windows 11 on Armが動作するPC」を要件としており、ARM版Windows 10には提供されない可能性が出てきた。

2017年に登場したARM版Windows 10では、ARMネイティブの32bit版/64bit版アプリケーションのほか、x86向けに書かれたアプリケーションをエミュレーションする機能があり、IntelやAMDのCPU向けに作られたx86版のアプリケーションがそのまま動作する。ただし、x86アプリケーションのエミュレーションには32bit版のみという制限があり、例えばAdobeのアプリケーションの多くなど64bit版のソフトが動作しなかった。

x86-64(x64)アプリケーションを利用できないからARMベースのWindows 10デバイスをユーザーが避け、ユーザーが避けるから開発者の対応も進まないというマイナス循環に陥る可能性がある。ARM版Windows 10の互換性の問題を解決すべく、Microsoftは昨年10月にx64エミュレーションの開発を発表。昨年12月にWindows Insiderでのプレビューを開始した。

今年6月にWindows 11を発表し、プレビュー版にx64エミュレーションが搭載されていたので、同機能の正式版がARM版Windows 11に含まれるのは予想されていた。しかし、Windows 10の機能として開発が始まったx64エミュレーションの利用が「Windows 11 on Arm is required」になったのは想定外で、Microsoftはその理由に言及していない。同社はWindows 11への移行を推進する一方で、2025年までWindows 10のサポートを継続する。