筆者の環境では未確認だが、Windows 10にも新たなMicrosoft Storeが提供されるという。Microsoft StoreのPrincipal ArchitectであるRudy Huyn氏は、Twitterで「Windows 10 PCに新しいMicrosoft Storeが登場!! この体験はWindows 10 PCユーザー(非インサイダー)向けとして、段階的に展開される。もし今日アップデートが来なくても心配せず。すぐに到着する」と述べている。この投稿は日本時間11月12日金曜日の午前6時に行われているため、週末もしくは週明けに展開されるのだろう。

  • Windows 10のMicrosoft Store

Microsoft StoreはMicrosoftのアプリストア。UWPアプリや動画、音楽、ゲームタイトルなどを配信するプラットフォームとしてWindows 8時代に開始し、現在ではデスクトップアプリの配信もサポートしている。Windows 11用のMicrosoft Storeはデザインを刷新し、WSL(Windows Subsystem for Linux)やWSA(Windows Subsystem for Android)の配信でも注目を集めている。ちなみに、2011年9月の正式発表当時はWindows Storeという名称だったが、Microsoftのブランド再構築戦略から2017年11月に改称した。当時の日本マイクロソフトは改称理由について明確な回答を出さなかったことを覚えている。

  • Windows 11のMicrosoft Store

デバイス内でアプリを入手・購入できるアプリストアは間違いなく便利だが、それはコンテンツ(アプリ)が充実していることが前提だ。Microsoft Storeは2017年10月に楽曲の販売を終了、2019年4月にはデジタル書籍の販売を終了し、現在はアプリやゲームタイトルに加えて、SurfaceなどMicrosoft製デバイスも販売している。また、Microsoft Storeのスタート当初は開発者向けの有償サービスとして提供していたため、万人が参加することはなかった。Microsoft Storeに並ぶアプリも日常的に使用するものが少なく、積極的にMicrosoft Storeを利用するユーザーも多くなかっただろう。

紆余曲折を経てMicrosoftは、2021年6月にアプリ販売の収益を15%、ゲームタイトルは12%に減らすことを発表した。この背景には、Steamに代表される別プラットフォームとの競合や、外部支払いオプションにおける裁判が影響した可能性が高い。

ただ、開発者がMicrosoft Storeを選択するか否かは疑問が残る。Microsoftはアプリ配信プラットフォームとしてWindows Package Manager CLI(winget)を提供中だ。Windowsの操作に慣れており、コマンドラインに抵抗感がなければwingetの使い勝手はすこぶる良好。アプリの登録についても、パッケージマニフェストを作成してMicrosoftに送信、悪意のあるアプリでなければ登録されるだろう。本稿の執筆時点では約3,000パッケージが登録されていた。

  • コマンドラインからアプリをインストールできるwinget

アプリストアの運営には様々な苦労があるのだろうが、MicrosoftがMicrosoft Storeを唯一無二のアプリ・ゲームタイトル配信プラットフォームとするには、個人19ドル(※約1847円)、企業99ドル(※約9,800円)という開発者アカウントの登録費用(1回のみ)をさらに割り引きすべきではないだろうか。AppleのApp StoreやGoogleのGoole Playよりは安いとはいえ、企業はともかく個人の開発者には抵抗感もあるだろう。このままでは今後もMicrosoft Storeに有益なアプリが集まる可能性は高くないと感じている。

※1ドル=約102.47円で計算