セールスフォース・ドットコムは11月11日から11月12日にかけて、オンラインイベント「Salesforce Success Anywhere World Tour」を開催している。同イベントでは、Salesforceのソリューション群に加わったSlack、Mulesoft、Tableauを含む最新情報が提供されるほか、同社のソリューションの活用事例や企業のあり方と働き方の未来をテーマにしたセッションが開催されている。

初日の11月11日には、電気自動車オーナーと電気を提供するビルやマンションなどの提供者などをつなげることをコンセプトとした、ユビ電の電気自動車充電サービス「WeCharge」のデジタル基盤に、HerokuとSalesforceのCRM(顧客管理)アプリケーションであるService Cloudを活用した事例が紹介された。

「WeCharge」はIoT技術を活用したサービスで、車室やパーキングロットに設置した電気自動車の充電コンセントに貼られたQRコードを「WeChargeアプリ」で読み込むことで充電を行える。また、充電のほか車両登録や支払いもWeChargeアプリだけで完結する。

施設付属の駐車場に複数のコンセントと独自の課金運用コントローラのWeCharge HUBを設置し、コンセントやEV充電器の遠隔制御や充電管理、認証課金などを実現している。ユビ電 代表取締役 博士(システム情報工学)の山口典男氏は、「WeCharge HUBは当社のWeCharge Cloudで接続することで、各ユーザーのアプリと連携している」と説明した。

  • ユビ電 代表取締役 博士(システム情報工学) 山口典男氏

同社では、電気自動車オーナー(ユーザー)と充電スタンドの提供者をつなぐシステムをHerokuで構築し、顧客管理にService Cloudを活用している。

ユーザーが利用するスマホアプリや充電スタンド提供者向けのマイページのバックエンドシステムはHeroku上に構築。Herokuのデータベースに格納された情報は、データベース間のデータ同期サービスを提供するアドオンのHeroku Connectにより、Service Cloudとシームレスに同期する。

また、電気自動車のオーナーと充電スタンドの提供者の情報、充電スタンドの機器情報を管理するシステムはService Cloudを利用してノーコードで開発した。Service Cloudでは、現在のサービスの利用状況や売り上げ情報など、経営に必要な情報をダッシュボードでリアルタイムに確認できる。

現在、WeChargeのサポートやマーケティングの担当者は、スマホアプリや充電スタンドから送信される情報を基に、リアルタイムで利用状況を把握し対応を検討しているという。

セールスフォース・ドットコム ソリューション営業部 Platform 営業部 担当マネージャーの福地洋二郎氏は、「ユビ電社は限られた人員、期間、予算の下、ビジネス構想をシステム化する必要があり、開発のスピード・効率とともに運用の効率化が求められた。プラットフォームの選定にあたっては、インフラ構築の時間とシステムのメンテナンス工数を削減できるかが問われた」と明かした。

  • セールスフォース・ドットコム ソリューション営業部 Platform 営業部 担当マネージャー 福地洋二郎氏

福地氏はHerokuを利用するメリットとして、「自動ビルドシステムによりインフラ構築に工数を割くことなく迅速にサービスをリリースできる」点を、Service Cloudについては、「顧客対応に必要な管理画面や業務システムをアプリケーション開発者が開発することなく、ノーコード/ローコードで開発可能」な点をそれぞれ挙げた。