JR東日本は11月9日、10月から電気・軌道総合検測車(「East-i」)が搭載するカメラおよびセンサーで取得した画像などのデータによる架線設備検査「架線設備モニタリング」の本格導入を開始し、11月からは画像のデータからAIを活用して設備状態の良否を自動判定するシステムの試行を開始したと発表した。
同社は今年4月から、検査の省力化と品質向上、働き方改革の推進を目指し、「架線設備モニタリング」の導入を進めてきた。East-i搭載のセンサーによるトロリ線の摩耗、高さ、偏位測定に加え、新たに搭載したカメラにより架線設備を撮影し、電線や架線金具の状態を確認するシステムが、首都圏線区以外の在来線38線区、約5,500キロメートルで導入された。
「架線設備モニタリング」により、検査の大幅な省力化(導入線区における検査業務の約1割を削減)を図るとともに、多頻度な設備確認を実現したという。
首都圏線区は輸送密度が高く、トロリ線を通過する列車本数が地方線区と比べて多いため、トロリ線測定の頻度や精度の検証を進め、カメラ撮影も含めたモニタリングの早期導入を目指す。
11月からは、「モニタリングセンター」のオペレーターによる画像スクリーニング業務の効率化を目指し、数量が多く検査に時間を要するハンガ、コネクタなどの架線金具の判定にディープラーニングを用いたAIによる自動判定を導入。今後は架線設備モニタリングのさらなる導入エリア拡大を目指し、AIの判定精度向上に継続して取り組む。