DJIは11月5日、民生用ドローンの最上位機「Mavic 3」を発表した。広角・望遠レンズを採用したデュアルカメラシステムを搭載し、飛行時間も最大46分まで伸ばしたのが大きな特徴で、公式オンラインストアでの販売価格は「Mavic 3 標準版」が25万3,000円。

  • DJI Mavic 3

さらに、バッテリー3個やNDフィルターセットなど各種アクセサリを同梱した「Fly Moreコンボ」(34万1,000円)と、1TB SSD内蔵でProRes 422 HQ録画機能も備えたMavic 3 Cineを含む「Cine Premiumコンボ」(58万3,000円)も用意する。

  • 左からMavic 3、Mavic 3 Cine

広角なハッセルブラッドカメラ+最大28倍ズームの望遠カメラ搭載

ドローン本体に、新たなデュアルカメラシステムを搭載。ひとつはハッセルブラッドとの協業による特別設計の「L2D-20c空撮カメラ」で、2,000万画素の4/3型CMOSセンサーと焦点距離24mm(35mm判換算)の広角レンズを組み合わせており、12bit RAWフォーマットでの静止画撮影や、5.1K/50fps、4K/120fpsでの動画撮影を実現した。レンズはF2.8~F11の絞り調整が可能だ。

もうひとつのカメラは、1/2型CMOSセンサーと焦点距離162mm(35mm判換算)の望遠レンズを組み合わせており、28倍ハイブリッドズーム(デジタル+光学)を装備。遠くにある被写体も確認でき、ダイナミックでクリエティブな映像を離れたところから撮影できるとする。絞り値はF4.4。

  • デュアルカメラシステムを搭載

ハッセルブラッドカメラには大型イメージセンサーを採用したことで、高い動画解像度と幅広いダイナミックレンジを実現。低照度環境下で発生するノイズも低減させたという。12.8ストップのネイティブダイナミックレンジに対応するため、明暗部どちらも細部まで詳細情報を保持でき、プロレベルの撮影品質を実現したとする。

フォーカス速度を最適化するため、複数のビジョンセンサーと連携して距離データを取得する「ビジョン検知オートフォーカス技術」(VDAF)を採用。また、ハッセルブラッド ナチュラルカラー ソリューション(HNCS)によって忠実な色合いを再現できるとする。10bit D-Logカラープロファイルで最大10億色を記録でき、後処理工程での柔軟な編集を可能にした。

Mavic 3のストレージの容量は8GB。さらに最大2TBまでのSDXCカード、またはUHS-I microSDカード(いずれも別売)が使える。

なお、「Cine Premiumコンボ」に含まれるMavic 3 Cineは、Apple ProRes 422 HQコーデックに対応し、最大ビットレート3,772Mbpsで撮影可能。ProResコーデックやハイフレームレート動画といった大容量データを扱えるよう、1TB SSDを内蔵する。また、DJI 10Gbps 高速データ転送ケーブルも同梱する。

最大46分飛べるように。飛行速度・障害物検知・航行システムも強化

Mavic 3は飛行性能と電力消費に関わるさまざまな要素を再設計しており、モーターとプロペラをエネルギー効率の高いものへ改善し、バッテリー容量も増強した。これにより、理想的な環境下で最大46分と飛行時間を大幅に延長し、ダイナミックなシーンの撮影にも十分時間をかけられるとする。

また、ドローンの骨組みや部品の重量を軽減し、アームやボディ、ジンバルの形状には航空力学の原理を取り入れ、合理的な設計を施した。風胴試験の結果では、風圧抵抗性能は前モデルと比べて35%向上し、飛行速度も大幅に改善されたという。

アップグレードした障害物検知機能や航行システムも搭載。魚眼レンズを使った6つのビジョンセンサーと広角レンズを使用した2つのセンサーを組み合わせ、複雑な環境下でも全方向の障害物をスムーズかつ継続的に検知する「APAS 5.0」と、被写体の前後左右、斜めの動きに合わせたトラッキングや、動いている被写体の側面や周りを飛行しながらのトラッキングも可能な追尾機能「ActiveTrack 5.0」を備える。

GPS、GLONASS、BeiDouの衛星信号を使ってホバリング精度を向上。従来よりも早く、複数の衛星から信号を受信でき、測位精度も向上させた。長時間露光での撮影やタイムラプス撮影中に、空中でのドリフト飛行が減り、高い安定性を実現したとする。

ドローンが自動でホームポイントまで帰還するReturn-To-Home (RTH)機能も強化した。計測した風速とRTH経路をもとに、帰還に必要となる電力をリアルタイムで計算し、最短で安全性とエネルギー効率が最も高い飛行ルートを自動で計画できるようになり、撮影に多くの時間を割けるようになるという。

進化した伝送システム「DJI O3+」も採用し、強い信号干渉がある環境など厳しい条件下でも、安定した滑らかでクリアな映像を伝送できるという。DJIドローンで初めて、1080p/60fpsのライブ映像のハイフレームレート伝送を実現しており、カメラビューで表示される映像の画質を、実際のカメラで録画している映像に近づけたとする。O3+の最大制御範囲は15km(障害物や電波干渉がなく、FCCに準拠している場合。日本国内では最大8km)。

ドローンの本体サイズは、折りたたみ時(プロペラなし)で221×96.3×90.3mm(縦×横×高さ)、展開時(プロペラなし)で347.5×283×107.7mm(同)。重さはMavic 3が895g、Mavic 3 Cineが899g。

さまざまな新アクセサリーも発売。このうち、Cine Premiumコンボに同梱しているスマート送信機「DJI RC Pro」はアンテナ性能が向上し、スムーズな操作体験を実現するという。ディスプレイは1,000nitの高輝度で視認性を高めた。また、送信機のバッテリー持ちも最大3時間まで伸ばしている。