9月30日から10月3日までの4日間、「東京ゲームショウ2021 オンライン」が開催されました。
オンラインでの開催は2020年に引き続き2回目。基本的に公式配信の動画が中心ですが、今回はバーチャル空間に特設会場を設けた「TGS VR 2021」やオフライン会場を吉本芸人と回る「オンライン体験ツアー」なども用意。さらに、前回と同様にAmazon特設会場も開設されており、TGSファッションコラボやオーケストラによるゲーム音楽ライブのTOKYO GAME MUSIC FESが行われました。
一方で、2年ぶりに幕張メッセのオフライン会場も開設。例年だと、全11ホールと幕張イベントホール、国際会議場とすべての施設を使用していましたが、今回は7ホールの半分と8ホールを使用する、かなり小規模な会場です。入場できたのはメディアとインフルエンサーのみでした。本稿ではオフライン会場の様子を中心に紹介します。
オフライン会場に参加したメーカーは、カプコンやKONAMI、セガ/アトラス、バンダイナムコエンターテインメント、コーエーテクモゲームスなど30社程度。SIEやスクウェア・エニックスといった、例年大きなブースを出展しているメーカーは不参加です。
一つひとつのブースサイズも小さいものの、思った以上に装飾されており、“ゲームショウ感”を醸し出していました。せっかくなので、いくつかのブースを個別で紹介しましょう。
まずは、セガ/アトラスブースです。『バーチャファイターeスポーツ』『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』『真・女神転生V』を展示。初日には格ゲー芸人Noモーション。の2人と『バーチャファイターeスポーツ』で対戦できました。『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』では、木村拓哉さん演じる主人公・八神隆之の相棒である海藤正治がアテンドする体験コーナーなどがありました。
次にKONAMIブースです。『パワプロクンポケットR』『eFootball2022』『遊戯王マスターデュエル』を展示していました。『パワプロクンポケットR』では戦車を使ったアクションシューティングの「サイバーバルモード」を体験。コンパニオンの3人と一緒に、4人で協力プレイに勤しみました。
カプコンブースでは、Steam版(PC版)『モンスターハンターライズ』を出展。ウルトラワイドモニターの4K表示でプレイを堪能できました。また、フォトスポットとして、ゲーム内に登場する「オトモガルク」のオブジェも用意。大型オブジェはカプコンのTGSの定番なので、感慨深いものがありました。
ほかにも多くのゲームメーカーが参加しており、インディー系ブースや海外ブースも少ないながら参加していました。
また、ゲームメーカー以外での参加も多くありました。特に、初出展で異彩を放っていたのがIKEA。IKEAといえば、組み立て家具がお馴染みですが、今回はゲーミングチェアやゲーミングデスクの出展です。もちろん、価格もIKEAならでは。機能を抑えたモデルは4,999円で販売します。
このIKEAのゲーミング家具は、ASUSのゲーミングブランドROGと提携して作成しており、TGS2021の会場ではブースも隣り合わせ。お互いの製品も展示していました。
また、ゲーミングモニターやプロジェクターを販売するBenQ、スクール系からは日本工学院や日本電子専門学校、愛知工業大学、バンタンゲームアカデミーなどが参加していました。
そして、ゲームイベントでは欠かせないのがエナジードリンク。今回もモンスターエナジーが出展しており、『APEX Legends』コラボ缶を配布していました。
ほかにもAmazon特設会場で販売している東京ゲームショウのオリジナルグッズの展示もありました。
今回は、実験的に行われたオフラインイベントだったので、来場者もかなり少数。そのため、多くのブースに立ち寄ることができました。もちろん、人気ブースは事前予約が必要でしたが、それでも来場者に対して、予約枠は十分に用意されていた印象です。試遊するとノベルティやグッズをもらえた点もTGSらしくてうれしいところ。これも数が絞られた分、いつもよりも良いものをそろえていたように感じました。
オンラインでは、PCブラウザとOculus Quest2を使用して、VRを体験しました。どちらもバーチャル空間に展開した東京ゲームショウ会場の雰囲気が存分に楽しめる作りとなっています。
もちろん、VR機器を使ったほうが一層没入感を得られます。3D酔いしがちな筆者としては、長時間体験が難しかったのですが、それでも十分楽しめました。
バーチャル会場のそれぞれのブースは、基本的に動画の配信が主要コンテンツ。ブースで何かを体験できる展示はあまりありませんでした。巨大なオブジェも迫力はあるものの、動かなかったのが残念です。
一応、宝探し的な要素も用意されていましたが、物足りなさはありました。技術的に難しい点もあるかと思いますが、もっと来場者でごった返した中、さまざまな体験ができると、より“TGSに来た感”を味わえるようになるかもしません。
オンラインもオフラインも、新しい取り組みが多く、これまで行われていた東京ゲームショウとは比較しにくいかもしれません。ですが、前年よりも格段に盛り上がりをみせていたのではないでしょうか。
2022年はコロナ禍が収束して例年通りのイベントが開かれるのか、それともwithコロナとして2020年、2021年の開催をより昇華したイベントになるのかは、誰も予想できません。
しかし、コロナ禍でのオフライン会場の在り方であったり、コロナ禍でなくても遠方者など来場できないファンに向けたオンラインの在り方であったりは、この2年でかなりのノウハウが蓄積できたと感じています。
そういう意味では、2021年まではトライアルの期間と言えるでしょう。例年通りのオフライン開催にしろ、オンラインとのハイブリッドにしろ、2022年も新たな東京ゲームショウをみせてくれることを期待します。そして、期待に応えられるだけの準備はできたと思っています。