西日本電信電話(NTT西日本)、東日本電信電話(NTT東日本)、大日本印刷(DNP)は10月5日、共同出資を行い新会社として「NTT EDX(エヌ・ティ・ティ エディックス)」を10月8日に設立することを発表した。

具体的な事業内容としては、電子教科書および電子教材の配信を中心に、出版社向けの電子教科書の取次ぎおよび流通の支援サービスや、大学などの高等教育機関に向けたオリジナル教材の開発支援に取り組むとのことだ。

  • 事業内容の概要図

NTT EDXの代表取締役社長として就任する金山直博氏は、設立に先立って開催された記者会見で、「高等教育機関向けの教科書市場は、プラットフォームなど関連市場も含めると500億円規模の流通量があると試算している。教科書事業から派生する各種サービスにはより多くのニーズがあると想定しており、その中で高等教育機関の持つ課題に応えるためにも、中期的には100億円超程度の流通を支えていきたい」とコメントした。

  • NTT EDX 代表取締役社長  金山直博氏

同社は教育を受ける学生が得られる価値について、学修のしやすさと内容理解の深化の実現と設定している。学びたい内容に合致した履修登録や、電子教科書のオンライン購入および即時利用が可能になるため、環境にとらわれないシームレスな連携や学修効果の向上が期待できるとのことだ。

また、同社によって教員が得られる価値は授業準備のしやすさと質の高い指導の実現だという。同社のサービスを利用することで、学修効果の高い教材の準備や学生の取り組み状況に応じた細やかな講義、定量的な学修データによりパーソナライズされた個別指導が可能になるとしている。

さらに、出版業界が得られる価値については、オンライン営業やデータに基づいたマーケティングの実現とのことである。書類の電子化によって献本などの発送業務が削減できることに加えて、教科書や教材の情報を一元管理することで、個々の教員へのオンライン営業やログデータを用いたマーケティングとコンテンツ内容を改善できる。

金山氏は同社の今後の展望について「まずはステップ1として電子教科書の配信サービスを軸に、高等教育機関におけるオンラインやリモート環境の構築を実現する。その後はステップ2として、オリジナル教材の開発支援や学修データの利活用サービスを展開していく。将来的には、ステップ3として高等教育機関卒業後の社会人を対象とした、リカレント教育などへも事業の展開を目指す」と述べた。

  • NTT EDXが見据える将来の3ステップ

  • NTT EDXの設立に関する記者発表会にて。左から、NTT東日本 代表取締役副社長 矢野信二氏、NTT西日本 代表取締役社長 小林充佳氏、NTT EDX 代表取締役社長 金山直博氏、DNP 代表取締役社長 北島義斉氏