パソコンやスマートフォンで「検索」といえば対象は「テキスト」、ファイルやWEBに綴られた文章です。キーボードや音声入力を通じて入力でき、いわゆるテキストデータとして扱えるもの、WEBページやメールなどに長々と書かれている文字の集合体が検索という行為のターゲットとされます。たまたま写真に文字が写り込んでいても、テキストデータではなく画像データですから、通常それは検索対象になりません。
iOS 15の新機能「テキスト認識表示(Live Text)」は、写真に写り込んだ文字を作業対象にする一種のOCR機能です。写真ライブラリに保存された写真、WEBページなどオンライン上の写真の中にある文字を検出し、テキストとして扱えるようにしてくれます。人間の目には文字として認識できてもテキストデータとしては扱えなかったものが、iOS 15からは範囲指定してコピーすることも可能になるのです。
この機能はiOSがサポートする言語と密接な関係があるため、すべての文字で機能するわけではありません。2021年9月現在、対応するiPhoneはXS/XR以降、サポートされる言語は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に限られ、残念ながら日本語は非対応です。だから日本語が含まれる文書や風景を撮影しても、カメラアプリが反応することはありません。
ただし、iPhoneで使用する言語を英語などテキスト認識表示がサポートする言語種に変更すると、その言語/文字が自動検出されるようになります。たとえば、『設定』→「一般」→「言語と地域」→「iPhoneの使用言語」の順に画面を開き、言語を「繁體中文」に変更すると、写真に含まれる漢字(繁體字)が検出されるようになります。
もっとも、対象が英語/アルファベットだけであれば、日本語環境のままでもスポットライト検索によりiPhoneで撮影した写真に写り込んだ文字を検索できます。検出された文字を選択/コピーするというテキスト認識表示ならではの使いかたはできませんが、「Apple」や「SONY」など製品写真に写り込んだ社名をたよりに写真を探す、といった便利な使いかたもできますよ。