日立製作所(日立)は9月28日、米国子会社であるGlobalLogic(グローバルロジック)と日本市場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための協創を開始したと発表した。日立の協創拠点「Lumada Innovation Hub Tokyo」を活用し、グローバルロジックとLumadaのケイパビリティを融合した取り組みを開始し、同社の日本市場参入を実現する。
グローバルロジックは、2021年7月に日立が約96億ドル(約1兆368億円)で買収した。デジタルエンジニアリングサービスを手掛けており、戦略、エクスペリエンスデザイン力、Chip-to-Cloud(チップからクラウドまで)のソフトウェアエンジニアリング技術などのケイパビリティを有しており、通信、金融サービス、自動車、ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジーなど幅広い業界で400社を超える顧客基盤を持っている。
また、同社の2021年度の売上高は、前年比19%超の約12億米ドル(約1296億円)で、調整後EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値)の比率は20%を超える見込みだ。
今回の協創により、グローバルロジックが世界各地に有するデザインスタジオやエンジニアリングセンターと「Lumada Innovation Hub Tokyo」を接続し、両社の技術とケイパビリティを融合し、DXを加速するプロジェクトを実施していく。
具体的には、「Lumada Innovation Hub Tokyo」のデザインシンカー(デザイン思考を活用し、企業の本質的な課題を発見しDXを提案できるデジタル人財)が、日立のビジネス関係者とグローバルロジックのデザイナーやソリューションアーキテクトとともに経営課題の抽出を行い、グローバルロジックの課題解決アプローチの下でDX戦略を策定する。2022年度に日本の顧客向けにサービス提供を開始する予定だ。
日立製作所 理事 日立グローバルデジタルホールディングス社 Deputy CEO 兼 CSO 日立ヴァンタラ社CSOの熊崎裕之氏は説明会で、「課題が明らかになったら即座に、グローバルロジックのエンジニアが実装をイメージしながら、解決策となるプロトタイプを提供できるようになる」と強調し、その結果、価値検証と実装のスピードが向上できると述べた。
両社は協創の第一弾として、日立のストレージ事業を対象にワークショップを開催し、クラウド対応を強化するアーキテクチャーについて活発な議論を行った。今後、グローバルロジックのデジタルエンジニアリングサービスを活用し、日立ストレージ事業の「as a Service」ビジネスモデルの強化を図るとともに、同事業以外のワークショップも開催していく。
「グローバルロジックのスピード感に驚いた。小回りの利くアジャイル形式で議論を進めることで、ミッションクリティカルな事業を行う当社に『まずやってみる』という精神がいい意味で働いている」と、Lumada Innovation Hub シニアプリンシパルの加治慶光氏は説明した。
今後、「Lumada Innovation Hub Tokyo」を通じ、グローバルロジックの2万2000人以上のデザインとソフトウェアエンジニアリングの人財と、日立の3万5000人のデジタル人財が連携し、日本市場を含むグローバルな顧客や社会が抱える課題を、デジタル技術を活用して解決する社会イノベーション事業を推進していく方針だ。