ボールドライトは9月21日、計158のサービスが掲載されたMaaS業界カオスマップの2021年度版を公開した。カオスマップは「配車」「決済」「乗換案内」など、ジャンルごとに各サービスが分類されている。さらに「統合型アプリ」のジャンルでは、企業間の提携が図示され、その関係性が一目で分かるようになっている。

  • 公開されたMaaS業界のカオスマップ

2020年版のMaaS業界と比較して、2021年版は「混雑情報配信」「統合型アプリ」などが増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響が見られたという。また、自治体や民間の新プレイヤーの参入も増加したとのことだ。

2021年は新型コロナウイルス対策のため、リアルタイムに混雑情報を配信する実証実験が増加している。訪問者が事前に安全性を確認することで過密状態を回避できるだけでなく、店舗や施設にとっては閑散時と混雑時どちらにおいても適切な人数の集客が可能となる。過密を回避するための、人の分散や移動を促進する人流制御機能の強化は今後さらに必要になると予測されている。

コロナ禍においては、遠距離の移動が制限されて遠方への旅行からマイクロツーリズムと呼ばれる居住地近隣の観光にシフトした。移動需要の変化を受けて観光型MaaSは特に近距離へのサービス展開を重視している。そこで同社は、各サービスの近距離移動や移動自粛に対する機能強化に関して、ワクチン接種の普及や変異型ウイルスの感染拡大など、コロナウイルスの状況次第と見ている。

また、各MaaSプラットフォームにおける「検索、予約、決済」機能の完成度の高まりを受けて、徐々に移動の理由となる「目的」を開発するための魅力的な観光施設や飲食店などのコンテンツ配信が進んでいるという。プラットフォームの完成度がさらに高まる今後においては、事業社単体ではできないコンテンツ拡充が加速すると見られ、プラットフォーマー・自治体・コンテンツ事業者などの業者間連携において、どのようなコンテンツをどのように配信していくかを協議していく必要性があるとのことだ。

スーパーシティおよびスマートシティの基礎ともなるMaaSは、自治体によるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の柱として位置づけられ、2019年前後から官民連携のMaaS組織が矢継ぎ早に立ち上がっている。先行する海外のMaaSプラットフォームでは、グローバルや国内全体で利用できる大規模な共通プラットフォームが多く見受けられるが、日本国内では、過疎化により医療福祉やラストワンマイルに課題を持つエリアや観光目的の回遊重視のエリアなど、各地域特性の課題からサービスの内容や質が市場ごとに異なるため、地域ごとのサービス開発が進められている。 MaaSプラットフォーム事業者は今後、必須の共通基盤と各地域ニーズに対応可能な柔軟性の高いプラットフォーム構築が覇権争いの要になるとのことだ。