AirTagを買ったはいいけれど役立っている実感がない、という声を耳にします。確かに、毎日モノをなくすわけでなし、転ばぬ先の杖という役割は理解しているけれど、買ってよかったと自分を納得させたいのは当然ですよね。
納得できるかどうかは取り付ける機器次第ですが、自転車との組み合わせは妙味があります。自転車は移動するものですし、サドル裏などAirTagを忍ばせる空間もあります。覚えにくい場所へ駐輪したときに活躍するのはもちろんのこと、盗難被害にあったときも役立ちます。
ただし、AirTagは盗難防止というより紛失被害を防ぐためのデバイスです。どのようなときに役立つか役立たないか、過剰に期待してはいけないという意味も含め、その特性を理解しておく必要があります。
ひとつは、AirTagを取り付けた自転車が自分(iPhone)から離れて一定時間経過すると通知されること。2021年6月に配布開始されたAirTagのファームウェア(バージョン1.0.276)では、8〜24時間のランダムなタイミングで通知されますが、その間勝手に音が鳴ることはありません。駅付近に駐めて電車で移動する場合も、日帰りであれば音に関する心配は無用です。
2つめは、周囲にiPhoneやMacがないと追跡が難しいこと。AirTagはBluetoothで周囲のiPhoneと通信し、"探す"ネットワーク(iPhoneなど数億台規模のAppleデバイスで形成される位置情報共有サービス)に現在位置を送信することで持ち主が探せるようにします。逆にいえば、iPhoneが少ないエリアでは正確な位置の把握が困難です。
3つめは、持ち主以外のiPhoneと数時間共に移動すると、そのiPhoneに「このAirTagの所有者はあなたの現在地を見ることができます」と通知すること。自転車を盗んだ人物がiPhoneユーザだった場合、自転車にAirTagがあることがバレてしまう可能性大です。
このように万能とはいかないものの、盗難に気付かせることができ、条件次第では追跡できるという点で、AirTagには可能性があります。導入コストも低いため、試してみる価値はありますよ。