XS以降のiPhone(SEを除く)やAirPodsなどのApple製品で楽しめる「空間オーディオ」。Dolby ATMOS対応のAndroidスマートフォンでも利用できるほか、この8月にはNetflixアプリでもサポートされるなど、活用範囲は広がっています。

空間オーディオは、Dolby ATMOSで収録されたオーディオデータを2chのスピーカーでも立体的に聞こえるよう変換/再構成する技術を意味しますが、それだけではありません。空間オーディオは、音楽や映画/ドラマに含まれる立体的な再生情報を持つオーディオデータ(Dolby ATMOSフォーマット)を再生する技術にくわえ、頭の動きを捕捉し、音場を固定する技術「ダイナミック・ヘッドトラッキング」も包含しているのです。

このダイナミック・ヘッドトラッキングは、AirPods Proなどジャイロセンサーを搭載した空間オーディオ対応製品から頭の動き/向きを推定します。それにあわせて音が出る方向を調整すれば、どこを向いても同じ場所から音が聞こえる(ように感じられる)再生が可能になります。

iOS 14ではCoremotion APIが拡張され(CMHeadphoneMotionManagerクラスの追加)、サードパーティーもダイナミック・ヘッドトラッキングに対応したアプリの開発が可能となりました。対応アプリの本格的な普及には時間がかかりそうですが、VR/ARやゲームへの応用が期待されます。

ところで、Appleは2021年秋からApple Musicにおける空間オーディオのダイナミックヘッドトラッキング対応を予告しています(リンク)。空間オーディオの没入感がさらに高まるとのことですから、ダイナミックヘッドトラッキングをサポートしたイヤホン/ヘッドホン(AirPods Pro/AirPods Max)のオーナーは楽しみに待ちましょう。

  • 「空間オーディオ」は音楽再生だけの機能ではありません