時計事業が大幅伸長、G-SHOCKのカスタム＆レストアサービスも - カシオ2022年3月期第1四半期決算発表

カシオ計算機は8月3日、2022年3月期第1四半期の決算発表をライブ配信した。新型コロナウイルス感染症による業績への影響は依然として残るものの、前期赤字だった営業利益・経常利益・技術純利益は黒字に転換し、前年同期に比べ売上高は48％の増収となった。今回は時計事業を中心にその業績の回復ぶり、そして新たに発表されたG-SHOCKのサービスプログラムも合わせて紹介する。

売上高がビフォーコロナの水準に肉迫！

2022年3月期第1四半期の業績を大きく牽引したのは、やはり時計事業だ。売上高が370億円、利益率は20％を確保。コロナの影響を受けていない前々年のビフォーコロナとの対比でも、売上高ベースで93％の水準まで回復した。

前期赤字だった営業利益、経常利益、技術純利益は黒字に転換した

時計とコンシューマ事業が強い。コンシューマ事業には楽器や電卓、電子辞書などが含まれ、コロナ禍の中でも大きく伸張。海外で関数電卓が好調のほか、巣ごもり需要を受けて世界中で楽器が伸びている

業績回復の理由についてカシオは、「世界の全地域で前年のコロナ禍から大幅回復」「G-SHOCKの中でも特にメタル外装のシリーズが前年比2.3倍と大幅拡大」「EC売上は日米欧での自社ECが好調、および中国でのECイベント販売好調により、前年比1.4倍と拡大」したことを挙げている。

その言葉通り、G-SHOCKは対ビフォーコロナでも2％の増収を達成。樹脂モデルにおいても8角形ケースの「GA-2100」やスポーツライン「G-SQUAD」シリーズの健闘が大きく影響したと見ている。なお、マルチスポーツ対応の機能を備えたG-SQUAD PRO「GSW-H1000」やワークアウトに最適なG-SQUAD「GBD-H1000」は世界の全地域で好調に推移しているという。

フルメタルのスクエアモデル「GMW-B5000」シリーズは日本でも大人気。写真はGMW-B5000シリーズ初のチタン外装モデル「GMW-B5000TB」

左下のグラフからは、G-SHOCK以外のブランドも回復基調にあることがわかる。腕時計の写真にも注目

エリア別では、前年比＋38％および前々年比でも＋25％と相変わらずの伸びを見せる中国をはじめ、ワクチン接種の拡大によって経済活動を再開した北米（前年比＋71％、前々年比＋27％）や、ロックダウンなどの影響がありながらも数値的には伸びている欧州（前年比＋34％、前々年比－10％）が好調。日本も前年比＋48％、前々年比－30％とやや遅れは取るものの、市場規模の大きさもあってG-SHOCK人気を力強く支えた。

左下のグラフから、中国展開にはEC戦略がいかに重要かわかるだろう

今期（2022年3月期第2四半期）の時計事業戦略としてカシオが掲げるのは、「G-SHOCKロイヤルファンの拡大（Gブランド売上構成比向上と自社EC比率向上）」「成長ポテンシャル大の中国市場への注力」「スポーツ・健康ジャンル、ユースおよび女性市場の拡大」の3本柱だ。これにより、第1四半期で実に約230万個を売り上げたG-SHOCKのさらなる販売数拡大を目指す。

今期時計事業の3本柱。個人的には3本目に注目

ECの充実とストアスタッフとのコミュニケーションをどう両立させるかは大きな課題。「STAFF START」は時計業界以外からも注目されそうだ

なお、G-SHOCKロイヤルファンの拡大戦略のひとつとして、カスタマイズG-SHOCKサービス「MY G-SHOCK」を10月に日本からスタートすることが明らかになった。これはマスターピースである「5600」モデルをベースに好みのカラーの各種パーツを組み合わせ、自分だけのオリジナルG-SHOCKを作れるサービス。パーツの組み合わせは400万通りで「自分で着けたい」「誰かにプレゼントしたい」、世界でひとつだけのオリジナルG-SHOCKを提供できるとする。

液晶色を含めて真っ黒とか真っ白のモデルを作りたい！

また、思い入れのある1本、大事に使っている1本を復活させる「レストアサービス」を10月～1月の期間限定で、日本にて開始予定。現在のところ1990年代初頭までに発売された8機種を予定しているが、具体的な機種は未発表だ。ほかにも限定ライフスタイルグッズを2022年4月から販売するなど、ファンとG-SHOCKの結び付きをより強くする企画が検討・用意されるという。