シャオミはFelica、防水対応など日本向けにカスタマイズを加えた5Gスマートフォン、「Redmi Note 10 JE」を発表した。昨年発売された「Mi 10 Lite 5G」に続き、auおよびUQ mobileでの販売となる。両者が取り扱うエントリーモデルの5Gスマートフォンの中では、「最も入手しやすい価格で提供予定」という(auでの価格は28,765円、8月13日発売を予定)。なおUQ mobileでは9月上旬に発売となり、価格は未定だ。
「Japan Edition」を冠した5Gスマホ
「Redmi Note 10 JE」の「JE」は「Japan Edition」の略称。約6.5インチFHD+、リフレッシュレートは90Hzのディプレイに、背面には4800万画素の広角メインカメラ、200万画素のマクロ、200万画素の深度センサーをトリプル搭載する。フロントカメラは800万画素。サイズは約高さ163×幅76×厚さ9.0mm、重さ200gで、バッテリーは4,800mAh。メモリは4GB、ストレージは64GB。カラーはクロームシルバー、グラファイトグレーの2色展開だ。
グローバルモデルで外観やスペックが最も近いのは「Redmi Note 10 5G」だが、チップセットにはQualcommのSnapdragon 480 5Gを採用。さらにFelicaを搭載し、シャオミのスマートフォンでは初めてIP68クラスの防塵防水にも対応するなど、その名の通り日本向けの独自仕様モデルとなっている。
シャオミ 東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏によれば、外観やスペックは「Redmi Note 10 5G」に似ているものの、「内部的なアーキテクチャはすべて新しく設計し直している」とのこと。開発はKDDIとも連携して行われた。コストパフォーマンスの高い端末を投入し、5Gの普及を促進させたいKDDIと、日本のユーザーの防水へのニーズを見極めたいと考えていたシャオミの思惑が合致。「日本において最も使いやすい、エントリーレベルの5Gスマートフォン」を目指して開発に至ったという。
シャオミスマホで初めてIP68に対応
2021年4~6月には、スマートフォンの出荷台数がアップルを抜いて世界第2位(Canalys調査)となるなど、グローバルに成長を続けるシャオミだが、中国以外の市場に向けてここまで大きくカスタマイズを加えた製品を開発、提供するのは実はこれが初めてのケース。そのため、製品名にもはっきりと「JE」と付けられた。前述のようにチップセットやFelicaに加えて、シャオミのスマートフォンでは初めてIPX8、IP6X相当の防水、防塵にも対応した。
「これまでにもFelicaの搭載には取り組んできましたが、日本はエントリークラスのスマートフォンにも防水性能が求められる、世界でも大変ユニークな市場です。だから日本で成功するために、防水についてもいつかはやらなければならないと考えていました。今回KDDI様と取り組めたことで、それが実現できました。ただしこれを実装するのは簡単ではなく、コストもかかります。また我々の強味のひとつはグローバルなサプライチェーンにあるので、必ずしも防水がなければ成功できないと考えているわけではありません。今回防水に対応したことが日本の市場でどう評価されるか、その反響を見て将来の製品に繋げていきたいと考えています」(ワン氏)
目指すのは「最高のエントリースマホ」
日本市場に本格参入してから、まだ2年足らずシャオミだが、昨年にはKDDIが「Mi 10 Lite 5G」を発売。さらに今年に入ってソフトバンクからFelicaを搭載する「Redmi Note 9T」が発売されるなど、異例とも言えるスピードで大手キャリアにスマートフォンが採用されている。今回の「Redmi Note 10 JE」も、auとUQ mobileでの取り扱いとなる。こうしてみると、採用されているのはいずれもなエントリーモデルだ。
「我々が目指しているのは、単に安いだけのエントリーモデルではくて、言うならば『最高のエントリーモデル』。購入されるお客様の中には、まだシャオミのことあまり知らない方も多くいらっしゃるかもしれませんが、実際に使っていただければ、高い品質に満足いただけると思っています。シャオミを知らなかったお客様にも、次に買い替えるときにはシャオミを指名買いしていただける、そういう製品を提供していきたい」(ワン氏)
大手キャリアで、シャオミの高いコストパフォーマンスが評価されているのは間違いないが、一方でシャオミ=エントリーモデルという印象も強くなっている。ハイエンドモデルを日本で発売する予定を問う質問に対し、ワン氏は「導入する計画はある」と答えた。
「ハイエンド、ミドル、エントリーでは作り方も売り方も異なります。エントリーレベルの製品に求められるのは、高い品質と優れたユーザーエクスペリエンス。ミッドレンジでは、フラッグシップで成熟してきたスペックや使い勝手を提供する。これは今年すでにいくつか導入をしています。一方ハイエンドでは、最良かつ新しい技術を提供していくことが重要だと考えています。そういうニーズを満たす製品が出てきたら、もちろん日本でも導入する計画はあります」(ワン氏)
シャオミのハイエンドといえば気になるのは、今春中国で発表されたフォルダブルスマートフォン「Mi MIX FOLD」。だがこちらは残念ながら、「今のところ、中国以外での発売の予定はない」という。日本向けにカスタムされた使いやすいエントリーモデル、グローバルに供給するスケールメリットを活かした高コスパなミドルモデルに加えて、ワクワクできるハイエンドモデルの登場にも期待したい。