「iPhone 12シリーズの背面にくっつけるだけで充電できるMagSafe対応のモバイルバッテリー」、いくつかのメーカーが製品を投入していますが、先日ついにアップルが純正品を発表しました。しかし、お値段は11,800円とかなりお高めなのが気になります。

この手のMagSafe対応モバイルバッテリーの元祖といえるのが、モバイルバッテリーで定評のあるAnker(アンカー・ジャパン)が4月に発売した「Anker PowerCore Magnetic 5000」(以下、PowerCore Magnetic)。3,990円と価格はお手ごろながら、性能、サイズ、デザイン、使い勝手のバランスに優れると感じました。

  • アンカー・ジャパンのMagSafe対応モバイルバッテリー「Anker PowerCore Magnetic 5000」。iPhone 12シリーズの背面にくっつけるだけで充電できるのが特徴だ

充電しながらでもケーブルにジャマされることなくiPhoneが使える

PowerCore Magneticを手にしてまず感じたのが、とてもコンパクトに仕上がっていること。バッテリー容量は5,000mAhと少なめですが、本体はクレジットカードをひとまわり大きくした程度で、容易に携帯できるサイズに仕上げられています。専用のソフトケース類が付属していないのは残念といえます。

  • 妙な装飾のないシンプルなデザインが魅力。容量違いの製品は存在せず、5,000mAhの製品のみ用意する

  • 本体は手のひらサイズでコンパクト。滑りにくい塗装が施されている

本製品のポイントとなるのが、背面に搭載したMagSafe対応のワイヤレス充電器。磁石が2カ所に内蔵されており、MagSafeに対応したiPhone12シリーズを近づけるだけでピタッとくっつき、側面のボタンを押せばワイヤレス充電が始まる仕組みです。MagSafeの磁力でiPhoneが最適な位置に吸い寄せられるため、ワイヤレス充電につきものの面倒な位置合わせは必要ありません。

  • 背面にはMagSafe対応のワイヤレス充電部を搭載。円形とバー状の部分に磁石が内蔵されている

  • 左からiPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxに装着したところ。iPhone 12 miniへの装着時も、超広角カメラがケラレずに済むよううまく設計されている

iPhoneとくっついて容易には落ちないので、充電しながらiPhoneを自由に使えるのが便利だと感じました。一般的なモバイルバッテリーからの充電と違ってわずらわしいケーブルにジャマされることがなく、充電中も電話やカメラがストレスなく利用できます。このフットワークの軽さが何より魅力的です。

  • iPhoneの背面にくっつけたまま持ちながら使える。充電中でもわずらわしいケーブルが存在しないのは快適だ

ケーブル接続の必要なく充電できるので、うっかりケーブルを忘れて充電できなかった…という失敗ともおさらばできます。ケーブルの抜き差しがなくなることで、iPhoneのLightning端子の劣化や故障を抑えられるメリットもあります。

  • モバイルバッテリーからの充電の際にケーブルが必要ないので、見た目も使い勝手もスマート。iPhoneのLightning端子の劣化や故障も抑えられる

ワイヤレス充電時の出力は5Wと小さいため、充電自体は遅さを感じます。Ankerによると、フル充電には約3時間ほどかかるとのこと。側面のUSB Type-C端子からケーブルで接続すれば約2倍の10Wで充電できるので、急いで充電したい場合はワイヤレス充電ではなくケーブルをつなげばOK。状況に応じて「身軽なワイヤレス充電」と「ケーブルを用いた急速充電」が使い分けられます。

ちなみに、ワイヤレス充電対応のAirPodsシリーズも充電できました。こちらはMagSafeに対応していないので、充電部の中心に合わせて置く必要はありますが、置くだけで充電できるのはやはり便利です。

  • 位置を自分で合わせる必要はあるが、ワイヤレス充電対応のAirPodsシリーズも充電できる

気になったのは、iPhoneをくっつけたあとにモバイルバッテリー本体のボタンを押さないと充電が始まらないこと。安全性を重視したためだと思われますが、iPhoneをくっつけたのにボタンを押し忘れていたので充電できていなかった…といううっかりミスも考えられます。ちなみに、充電時にボタンを2回押すと充電が止まります。

  • PowerCore Magneticの充電と外部機器への充電は、ともにUSB Type-C端子を利用する。左端にあるのが充電開始ボタンだ

便利なのが、PowerCore MagneticをUSB Type-C経由で充電しながらiPhoneをワイヤレスで充電できること。自宅や会社などで、ふだんはUSB Type-CケーブルをつなげてPowerCore Magneticを充電しながら据え置きのワイヤレス充電器代わりに使い、外出時は必要な時にiPhoneにくっつけて充電する、という“二刀流”の使い方ができます。

  • PowerCore Magneticを充電しながらiPhoneをワイヤレスで充電できる。旅行や出張などでLightningケーブルを忘れても安心だ

アップルのMagSafeバッテリーパックは、電源に接続したiPhone経由でMagSafeバッテリーパックがワイヤレスで充電できるとしています。つまり、iPhoneからの“逆充電”に対応しているわけです。PowerCore Magneticで同じことができるかを試してみましたが、残念ながらiPhoneからの充電はできませんでした。このあたりは、アップル独自のノウハウやテクノロジーが必要なようです。

PowerCore Magneticのバッテリー容量は5,000mAhあるものの、Ankerによるとフル充電状態でもiPhone 12シリーズを1回満充電にできるかどうか、としています。ワイヤレスで充電している際、iPhoneやPowerCore Magneticが熱を持つので、ロスがある程度発生していると考えられます。iPhoneのバッテリーを充電したあとは、こまめにPowerCore Magneticを充電したほうがよさそうです。

PowerCore Magneticは、わずらわしいケーブル接続の手間がなくiPhoneが充電でき、充電しながらでもiPhoneが使える点が魅力だと感じます。ワイヤレス充電が5Wなので充電が遅いのは気になりますが、Ankerブランドの信頼性を重視するならば納得できるでしょう。サイズがコンパクトなうえに価格も手ごろで、iPhone 12シリーズやAirPodsシリーズを使っている人は持っていると日々の生活が便利になりそうです。