矢野経済研究所が6月22日に発表した調査結果によると、2021年度の国内インシュアテック市場規模は、参入事業者売上高ベースで2020年度と比べて45.7%増の1880億円となる見込みであり、2023年度には同2800億円に拡大するという。

  • 国内インシュアテック市場規模の推移と予測

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インシュアテックとは保険と技術を掛け合わせた造語であり、従来の生命保険会社では提供できなかった新たな保険商品・サービスの開発や業務の効率化・高度化などにおいてIT技術を使用して提供する生命保険関連サービスを指す。

同調査が対象とする生命保険領域におけるインシュアテックは、パーソナライズ化した(健康増進型)保険商品・サービスの開発や、疾病管理プログラム、AI(人工知能)などを使用する保険相談/保険営業支援サービスなどの8領域。

2021年度の同市場では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、営業活動の高度化や非対面チャネルの強化に加え、契約手続や支払請求など事務手続きの電子化・自動化が急速に進んでいる。

保険商品の開発においても、医療ビッグデータを収集・利用して個人向けの健康増進型保険や疾病管理プログラムが充実しつつあるとのこと。加えて、団体保険の分野でも2019年頃から徐々に健康増進から早期発見、介入に至るまでカバーした保険商品・サービスを手掛ける動きが現れていると同社は見る。

同市場では、クラウド化や外部連携に向けたFISCのシステム基準の整備、金融庁内における「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」の設置などの支援環境が整う中で、大手生命保険会社を中心にクラウド化が進み、またデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた基盤の構築が始まっている。これに伴い、より一層スタートアップなどとの協業が進むと同社は見ている。加えて、支払査定における不正検知や、アンダーライティング(引受査定)などの効率化・高度化を目的としたAIの導入が進んでいるという。

今後、クラウド化の浸透により、生命保険業界でもAPIの公開に向けた議論が高まる見込みとのこと。特に生命保険会社にとって、APIの公開に伴う外部企業との協業はタッチポイント(顧客との接点)の増加に繋がるため、推進していく必要があると同社は考える。