ソフトバンクから、まさかのスマートフォンが発表されました。ドイツの老舗カメラメーカーであるライカ社の「LEITZ PHONE 1」(ライツフォンワン)をソフトバンクが独占販売します。

ライカらしさあふれるスマートなデザインに、スマホでは最大級となる1インチの高性能イメージセンサーを搭載しているのが特徴です。発売時期は7月下旬、端末価格は187,920円。オンライン発表会でその詳細が明かされました。

  • LEITZ PHONE 1

    ライカ初のスマホ「LEITZ PHONE 1」が発表されました

LEITZ PHONE 1の特徴は?

これまで極秘に開発が進んできた同製品。まさかのライカ謹製スマートフォンの発表に、メディア関係者からも驚きの声が聞かれました。ソフトバンクの担当者は「ライカ社がハードウェア、ソフトウェアをトータルで監修した、史上初めての製品です」と強調します。

  • LEITZ PHONE 1

    ライカ謹製のLEITZ PHONE 1。背面カメラの右上にはライカのロゴが配置されている。カラーは、ライカシルバーの1色展開

メディア向けのオンライン説明会に登壇した、ライカカメラジャパン 代表取締役社長の福家一哲氏は「弊社では職人を自社に抱え、高いレベルの職人技を軸に、最高品質の製品をつくることを企業哲学にしています。100年もの長い間、さまざまな光学技術、機械工学の技術革新を生み出し、世の中のカメラファンをうならせてきました。そんなライカ社の歴史に、新たな1ページが加わります」と意気込みます。

  • LEITZ PHONE 1

    ライカカメラジャパン 代表取締役社長の福家一哲氏

それでは端末のスペックを紹介しましょう。ディスプレイには、自然な色を再現する約6.6インチのPro IGZO OLEDを採用。リフレッシュレート1Hz~240Hzで駆動し、撮影した写真や動画を忠実に再現します。

メインカメラは有効画素数約2,020万画素。F値1.9、焦点距離19mmの7枚構成レンズと最大6倍のデジタルズームを組み合わせたレンズテクノロジーを採用しており、RAWおよびJPEG形式で保存できます。大判プリントでも、ディテールまで鮮やかに高品質に印刷できるそう。試してみたいですね。

プロセッサには「Qualcomm Snapdragon 888G 5G」を採用。12GBのRAM、256GBのROMを搭載しており、外部ストレージとして最大1TBのmicro SDカードに対応します。ネットワークは5G(Sub 6)に対応。バッテリーは5,000mAhと大容量なほか、IP68級の防水防塵をサポートします。

  • LEITZ PHONE 1

    背面の様子。F値1.9のレンズを採用。暗所でも明るく、速い動きにも強く、自然な色味で撮影できる

  • LEITZ PHONE 1

    主なスペック(ソフトバンクのホームページから)。おサイフケータイにも対応している。端末の製造はシャープ

ライカ社からは、担当者がビデオメッセージを寄せました。「ライカ社では2016年ごろから携帯電話のカメラ開発の動向を注視してきました」と切り出したのは、ライカ社主のアンドレアス・カウフマン氏。ソフトバンクとは2019年ごろからスマホ開発について議論を開始したそう。「ライカの伝統、ノウハウ、技術を結集してLEITZ PHONE 1の開発を進めてきました」と明かします。

また、ライカカメラ・デザインのマーク・シェパード氏は「シンプルさ、本物であること、品質への強いこだわり」こそが、ライカが大切にしている価値だと説明。そして「LEITZ PHONE 1では、正統のライカルックと触感的な使い心地を実現しました。LEITZ PHONE 1の表面処理にはライカカメラの表面処理と同じ方法を用いています」と続けました。

購入すれば数十万円~100万円超は当たり前というライカカメラの、あの手触りをLEITZ PHONE 1の背面カバーでも味わえるという話。それだけでもファンにはたまらない魅力でしょう。

最後に登壇したプロダクト・マネージャーのヘンドリック・クルーゲ氏は「スマートフォンとしては最大級の1インチサイズのセンサーを搭載しました。ここにライカの光学、イメージエンジニアリングの技術が加われば、これまで見たことがないほど高いクオリティの写真撮影が可能になります」と説明します。

一般的なスマートフォンに搭載のセンサーと比較すると55%も大きいので、それだけ多くの光を取り込め、細やかなディテールの写真が撮れるとヘンドリック氏。結果として「ライカの名に相応しい最高の画像品質が得られる」とアピールしました。

  • LEITZ PHONE 1

    センサーサイズが大きいので、階調表現も豊かになり、暗所でもノイズを抑えられる

  • LEITZ PHONE 1

    実際の作例をもとに「撮った写真はディテールまで楽しめる」と説明

もちろんUI / UXもライカ社が手がけています。詳細は不明ですが、シンプルで機能美の感じられるものになっていることが予想されます。なお、カメラ撮影時に「Leitz Looks」モードを利用すれば、ライカの世界観を再現した美しいモノクロ写真も撮影できるとのことでした。

最後に、福家氏は「ライカが大切にしている最高品質へのこだわり、ディテールの追求、デザイン性の高さへの情熱などがLEITZ PHONE 1には詰まっています。日常生活の小さなストーリー、見たもの、経験したことを写真に撮ってシェアすることは、人間の本質的な行動とも言えます。貴重な日常のひととき、美しい光景、ビジュアル、思い出を記録に残すことは尊いですね。LEITZ PHONE 1により日々の写真のクオリティが高まり、喜び、感動がさらに高まることを信じています」とまとめました。

ライカストア、ソフトバンクショップにデモ機を設置

ソフトバンク常務執行役員の菅野圭吾氏は「LEITZ PHONE 1はソフトバンクの独占販売となります。このスマートフォンを手に取れるのは日本だけ、ソフトバンクだけです」と胸を張ります。企画の経緯について、菅野氏は2019年7月に(ビデオメッセージにも登場した)Dr.カウフマンと直接会って、スマートフォンを開発する熱意を受け取ったと説明。その後、製造メーカーとしてシャープが加わり、ライカ、ソフトバンク、シャープの3社で企画を進めてきたと明かしました。

  • LEITZ PHONE 1

    ソフトバンク常務執行役員の菅野圭吾氏

製品の発売にあわせ、ライカファンの心をくすぐるアクセサリーも発表されています。ライカブランドのロゴ入りの専用スマホケースにレンズキャップです。スマホの背面にレンズキャップをかぶせるというのは、これまでにない発想ですね。マグネットで簡単に着脱できるとの説明でした。

  • LEITZ PHONE 1

    専用スマホケース、レンズキャップが用意されている

菅野氏は「LEITZ PHONE 1は、ライカ社が隅々まで磨き上げた製品。全国のライカストア、ソフトバンクショップにはデモ機を置いていますので、ぜひ、多くの方に体験してもらえたら」と説明します。なおソフトバンクでは、LEITZ PHONE 1をお得に購入できる「トクするサポート+」も提供していくと話していました。

  • LEITZ PHONE 1

    全国のライカストア、ソフトバンクショップでデモ機を体験できる

発表会の最後に、製品のアンバサダーを務める写真家の安珠さんが登壇。「あのライカがスマートフォンを発売すると聞いて衝撃を受けました」と笑顔を見せます。

普段、仕事でライカカメラを使うときも、必ず緊張するという安珠さん。「それがポケットに入るわけです。ライカカメラを日常的に持ち歩けるということが、初めは想像できませんでした」と話します。

  • LEITZ PHONE 1

    写真家の安珠さん

実際に旅先で撮影した作例を紹介しながら「影と光のバランスがライカならでは。普通のカメラでは白飛びしてしまう朝日も、綺麗に撮影できました。LEITZ PHONE 1なら誰でも素敵な作品を撮ることができます。日常の中に芸術を作り出せる力を感じました」と説明。そして「ライカはハイブランドで男性ファンが多くいらっしゃいますが、ボディの黒の感じも柔らかく、これなら女性にも使用できます。ぜひ、手にとってトライしてほしい」と話していました。

  • LEITZ PHONE 1

    安珠さんが旅先で撮影した作例