iCloudはAppleが提供するクラウドサービス全体を指していう言葉ですから、支払いが発生するサービスについていうなら「iCloudストレージ」が適当な表現ですね。しかし、それも間もなく変わります。

WWDC21で発表された「iCloud+(アイクラウド・プラス)」では、新しいサービスが提供されます。これまでのiCloudストレージは領域を有償で追加できるものの、無償の5GBのまま使うユーザと利用できる機能に違いはありませんでしたが、iCloud+は料金据え置きで有償ユーザ専用の機能が追加されます。これからのiCloudは、無償ユーザと有償ユーザでは利用できる機能/サービスに差が設けられるのです。

そのひとつが「プライベートリレー」。一種のプライバシー機能で、WEBブラウザの閲覧履歴を誰にも追跡されなくなります。IPアドレスの匿名化と通信内容の暗号化によるものですが、通信経路に含まれるAppleのサーバですら閲覧の痕跡は残りません。対応するWEBブラウザはSafariに限定されますが、プライバシー重視のユーザにとっては他にないサービスといえます。

通販サイトなどでアカウント登録するときに使うメールアドレスをランダムに生成する「ハイド・マイ・Eメール」も、iCloud+に含まれます。「Appleでサインイン」に利用されている「メールを非公開」と似ていますが、どのアプリ/WEBサイトでも使える点が特長です。

詳細は明らかにされていませんが、自分が突然この世を去ったときアクセス権を誰かに託せる「デジタル・レガシー・プログラム」も提供される予定です。さらに、HomeKit対応ビデオカメラの映像を通知してくれる「HomeKitセキュアビデオ」も利用できます。

なお、2021年6月時点でiCloudストレージは月間プランしか提供されていません。過去には年間プランも存在しましたが、現在新規購入はできない状況です。iCloud+の機能欲しさに契約するなら、サービス開始を待って申し込むのが合理的といえるでしょう。

  • iCloudストレージの価格は変わりませんが、今後有償ユーザには「+α」の機能が提供されます