ガートナージャパンは6月10日、日本企業におけるデータ利活用の現状に関する調査結果を発表した。同社が2020年11月に実施した調査によると、回答者の6割がデータ利活用に対して課題意識を持っており、そのうち2割が組織全体の課題として認識していることが分かった。
一方で、ビジネス成果を「十分に得ている」もしくは「ある程度得ている」という回答の割合は、2018年以降3年間の推移を見ても一進一退で、大きな変化が見られなかったとしている。
同社は、ビジネス成果獲得の成功要因と阻害要因を、選択式でそれぞれ3つの回答を集めた。成功要因として挙げられたのは、「活用できるデータの種類・量・品質」(59%) が一番多く、「データ分析のスキル」(41%)、「ビジネス部門の理解や協力」(35%)と続いた。
同社のアナリストでディレクターの一志達也氏は、「データを利活用してビジネス成果を得たくても、肝心のデータや利活用できる環境がなかったり、不備が多かったりするのでは取り組みようがない」と指摘している。
一方で、阻害要因として挙げられたのは、「スキルや人員の不足」と「データ・リテラシーの不足」が58%で一番多く、そのほか「予算不足」(29%)や「関係者の理解不足」(29%)が挙げられた。
同社がグローバルで実施した調査でも、データ・リテラシーは成功の阻害要因として挙げられており、データ・ドリブンな組織文化を根付かせるためにも、データ・リテラシー向上への投資は優先すべできあるとしている。
一志氏は、「初期段階からスキルやリテラシーの大幅な向上を目指すのではなく、一部の人員のみに専門的な分析スキルを先行的に獲得させることを目指すのがよい」と述べている。