バッファローは6月3日、Wi-Fi事業戦略と新商品の発表会を開催し、同社のWi-Fi 6対応ルーターとWi-Fi 6対応中継機で、Wi-Fi Allianceの標準規格「Wi-Fi EasyMesh」をサポートすることを発表した。発表会では、Wi-Fi 6対応ルーターの新製品「WSR-5400AX6S」「WSR-1500AX2S」の両シリーズも発表された。新製品の詳細については、新製品発表のニュース記事を掲載しているので、そちらをご覧いただきたい。

  • Wi-Fi EasyMesh対応製品群

    Wi-Fi EasyMesh対応製品のラインナップ

メッシュネットワークで「家庭内のどこからでもつながる」を促進

発表会では、まず同社事業本部 コンシューママーケティング部長の中村智仁氏から、Wi-Fiルーターの市場状況と事業戦略についての発表が行われた。

  • 中村智仁氏

    事業本部 コンシューママーケティング部長 中村智仁氏

現在のWi-Fiルーター市場はWi-Fi 6へのシフトが進んでおり、同社の調査によれば4月時点でWi-Fi 6対応製品の比率は32.0%。この比率が2021年末までには5割を超えると予測している。そしてゲーム機・スマートフォンの普及などにより、家庭内のあらゆる場所でWi-Fiに接続できることが求められ、商品選択時にも電波到達範囲の広さが重視されている。また2020年のWi-Fi中継機の販売台数は前年の2倍近くに伸びているとのことで、家庭内でネットワークにつながらない場所があるという状況を改善することへのニーズが高まっているという。

  • Wi-Fiルーター市場状況について
  • 商品選択時の重視ポイント
  • WiーFi 6へのシフトが進む市場状況。ユーザーが重視するのは電波到達範囲だという

  • Wi-Fiルーター市場状況について
  • 商品選択時の重視ポイント
  • 家庭では、各個室でネットワークが利用されるようになり、中継機のニーズも伸びている

その状況の改善策がメッシュネットワークの利用ということになるのだが、Wi-Fiルーター市場でメッシュ対応製品の構成比は15.7%にとどまる。Wi-Fi中継機ではメッシュ対応製品が36.1%にのぼるものの、メッシュネットワーク対応の中継機を認知しているユーザーはWi-Fi中継機を認知しているユーザーの約半分。こういった状況を改善しメッシュネットワークの利用を促進するための施策が、Wi-Fi Allianceの認定規格である「Wi-Fi EasyMesh」のサポートとなる。

  • メッシュ対応Wi-Fiルーターの普及状況
  • メッシュ対応中継器の普及状況
  • ルーター市場ではメッシュ対応製品のシェアは15.7%、中継機では36.1%

  • Wi-Fi中継器の認知状況

    Wi-Fi中継機の認知度は60%にのぼるが、メッシュネットワーク対応機の認知度はその半分

具体的な戦略として、2019年以降に同社から発売されたWi-Fi 6ルーターをファームウェアアップデートによりWi-Fi EasyMeshに対応させ、2021年中にWi-Fi EasyMeshに対応したWi-Fi 6ルーター/中継機の新製品を投入していく。さらにメッシュネットワークにおけるセキュリティ向上のため、今後発売する製品にはセキュリティ機能を標準搭載していくとした。

  • Wi-Fi EasyMesh
  • Wi-Fi EasyMeshを推進していく
  • ここまで紹介したような状況に対して、「Wi-Fi EasyMesh」を積極的に推進していくという

Wi-Fiルーター+中継機という環境の課題をメッシュで解決

詳細については、同社事業本部 ネットワーク開発部部長の田村信弘氏と事業本部 コンシューママーケティング部 BBSマーケティング課課長の下村洋平氏が説明した。

  • 事業本部 ネットワーク開発部部長 田村信弘氏

    事業本部 ネットワーク開発部部長 田村信弘氏

  • 事業本部 コンシューママーケティング部 BBSマーケティング課課長 下村洋平氏

    事業本部 コンシューママーケティング部 BBSマーケティング課課長 下村洋平氏

両氏は、テレワーク時のネットワークに対する不満として「利用しているときに途切れることがある」「電波到達範囲が狭い」「電波強度が不安定」といった声を紹介した。これは、テレワークやオンライン学習で家屋内の個々の部屋でWi-Fiを利用するシーンが生まれ、1台のWi-Fiルーターでは電波の死角が生じることがあるため。その対策として中継機を利用する場合も、「親機・中継機間の経路が最適化されない」「適切な接続先へ切り替わらない場合がある」「無線では中継できない場合がある」といった課題が残るという。

  • オンライン学習・テレワーク時のネットワーク利用
  • Wi-Fi中継機の課題
  • 家庭でのネットワーク利用ニーズが拡大する中、中継機には課題が残る

その課題を解消するのが、Wi-Fi EasyMeshとなる。メッシュネットワークの導入は非メッシュのWi-Fiルーター+中継機という環境と比較して、接続先の最適化/自動選択や有線LANの併用といったメリットがある。加えて、これまで各社が独自規格で導入していたメッシュ機能に対し、Wi-Fi Allianceの認定規格であるWi-Fi EasyMeshを採用することで、機器選択の幅が広がるため、導入・拡張に際してのコストを抑制できるというわけだ。

  • 非メッシュ環境、独自メッシュ環境、Wi-Fi EasyMeshの比較
  • Wi-Fi中継機の課題
  • 非メッシュ環境/独自メッシュ環境と比較したWi-Fi EasyMeshのメリット。バッファロー製品が対応するのは、Wi-Fi EasyMeshのRelease 2だ

Wi-Fi EasyMeshには、基本部分のみを定義したRelease 1と広い範囲を含むRelease 2という2つのリリースバージョンがあるが、バッファローが準拠するのはRelease 2。干渉情報に基づく経路選択のほか、Release 2ではオプション機能とされている高速ローミングも利用でき、対応デバイスでは接続先のルーター/中継機の切り替わりが生じても途切れを意識することなく快適に通信を利用できるという。同社製品は2.4GHz/5GHzの両バンドを利用でき、状況に応じて通信環境のよいバンドを選択する機能も搭載する。

  • Wi-Fi EasyMeshの特徴1
  • Wi-Fi EasyMeshの特徴2
  • Wi-Fi EasyMeshの特徴3
  • バッファロー製品のアドバンテージ
  • Wi-Fi EasyMeshの主なメリットは最適な通信経路の自動選択、高速ローミングによるシームレスな切り替え、有線接続を組み込んだネットワーク構成の3つだ。加えて同社製品では、2.4GHz帯/5GHz帯の両バンドの切り替えが行える

現行製品もファームウェアアップデートでWi-Fi EasyMesh対応に

製品の対応については、2021年の6月以降、出荷済みの製品へのファームウェア提供も含めて、順次進めていく予定だ。

  • Wi-Fi 6ルーターのラインナップ

    Wi-Fi 6ルーターのラインナップ

Wi-Fi 6対応ルーターは、現行4シリーズに、この発表会でアナウンスされた「WSR-5400AX6S」(6月発売予定)、「WSR-1500AS2S」(9月発売予定)を加えた6ライン。このうち、現行4シリーズと「WSR-5400AX6S」は2021年6月から8月にかけてファームウェアアップデートによりWi-Fi EasyMeshに順次対応し、「WSR-1500AS2S」はWi-Fi EasyMeshに対応した状態での発売となる。

また、販売終了品の「WSR-1800AX4」「WSR-5400AX6」「WXR-5950AX12」についても、ファームウェアのアップデートが提供される。Wi-Fi中継機「WEX-1800AX4EA」「WEX-1800AX4」も、2021年6月上旬に対応する予定とのことだった。

  • 製品の対応スケジュール

    製品の対応スケジュール

  • WSR-5400AX4S
  • WSR-1500AX2S
  • 新製品は2シリーズ。プレミアムモデルの「WSR-5400AX4S」は6月発売、エントリーモデルの「WSR-1500AX2S」は9月発売の予定