米Googleは5月18日(現地時間)、Google I/O 2021(5月18日〜20日)のキーノートで、今秋に正式版をリリースする予定の「Android 12」のベータ版をリリース、新たなデザイン言語「Material You」を発表した。

  • アクティブデバイス数がマイルストーン到達

    世界で使用されているアクティブAndroidデバイスが30億台を突破したと発表

Material Youはこれまでに以上にパーソナライズしたデザインを可能にする。色、形、光、モーションといった全ての要素を見直し、ダイナミックで表現力豊かなデザインを実現。操作性や生産性を向上させる。GoogleはMaterial Youを「Android史上最大のデザイン変更」とアピールしている。

パーソナリゼーションは、ユーザーが壁紙を設定すると、その壁紙に使われている色をシステムが分析し、それにマッチするカラーパレットを使ってOS全体のカラーを自動的に整える。Googleはこれをカラーエクストラクション(色抽出)と呼んでいる。ユーザーが撮影した写真やオリジナルのイラストでも、OSに用意されている壁紙のように絶妙な色の組み合わせと統一感になる。

  • Material Youのパーソナライゼーション

    写真の色を分析し(上)、それにあった色の組み合わせでシステム全体の色を設定。様々な色が入っている写真でも絶妙にマッチした組み合わせになっている

タップ、スワイプ、スクロールなどユーザーのあらゆる操作に、Material Youは滑らかなモーションとアニメーションできびきびと反応する。例えば、ロックスクリーンで全ての通知を消した時、左上に表示されていたデジタル時計が中央に移動して大きな表示になり、ユーザーは全ての通知を確認したことをすぐに把握できる。

そうした動きのあるデザインが全体に用いられているとシステムへの負荷が心配になるが、Android 12ではコアシステムサービスに必要なCPU時間を最大22%削減、システムサーバーによるビッグコアの使用が最大15%削減されている。それよって電力効率が向上してバッテリー動作時間が延び、またアニメーションや動きを多用したデザインがスムースに動作するという。

通知シェード、クイック設定、電源ボタンといったシステム関連のUIも、ユーザーがすばやく目的の操作を完了できるようにデザインが見直された。Android 12では、プライバシー保護とセキュリティのさらなる強化が行われており、新たに用意されるプライバシーダッシュボードを通じて、パーミッションの設定、データにアクセスしたアプリとその回数などを一カ所で確認できる。アプリによるマイクやカメラの使用を示すインジケータがステータスバーに追加され、カメラやセンサーへのアクセスの許可を取り消すのもクイック設定から簡単に行える。

  • プライバシー保護機能

    アプリがカメラを使用していることをインジケータで表示(左)、クイック設定から簡単にアクセスをブロックできる

ウイジェットも刷新されており、デザインが新しくなって、チェックボックスやスイッチ、ラジオボタンなどインタラクティブなコントロールが導入された。ウイジェットはAndroidが先行していた機能だが、それゆえにアップデートが途絶えて久しいウイジェットが増えている問題があった。今回のデザイン変更でアップデートが進めば、Androidのウイジェットが洗練されて使いやすくなると期待できる。

Material Youは大きなパーツを使って、全体的に余裕を持たせたデザインになっている。発表後の開発者やユーザーの反応は、操作しやすそうなデザインを多くが歓迎している一方で、中には情報密度の高いデザインを求める声も見られる。

Android 12のベータ版は、Pixel 3シリーズ以降のPixelスマートフォンのほか、ASUS、OnePlus、OPPO、realme、シャープ、TECNO、TCL、Vivo、Xiaomi、ZTEなどのパートナーメーカーの端末で利用できる。Material Youは、今秋にGoogle Pixelスマートフォンで利用できるようになる。他のAndroidスマートフォンにも順次拡大されると思われるが、しばらくはPixel端末に限定した提供になりそうで、その意図が開発者やAndroidユーザーの間で話題になっている。Material Designと同様、Googleは数年をかけてMaterial Youを同社の製品およびエコシステム全体に浸透させる。