楽天グループは5月13日、2021年度第1四半期の決算説明会を開催した。連結業績は、売上収益が3,915億円(前年同期比18.1%増)、営業損益(国際会計基準)は373億円の赤字(前年同期は241億円の赤字)で、純損益は251億円の赤字。楽天市場をはじめとしたECコアビジネスやフィンテック事業が伸びた一方、設備投資などを続けている楽天モバイルの損失が増えた。
楽天モバイルの2021年度第1四半期業績(旧モバイルセグメント)は、売上高が567億2,300万円、営業損益が940億7,300万円の赤字となった。基地局建設を進めた関連費用、およびユーザー増にともなうローミング費用が増加した。
一方で、2020年4月から提供していた、先着300万人向けの基本料金1年無料キャンペーンが終わるユーザーが出てくること、2021年夏頃に4G基地局の建設が一段落すること、自社エリアの拡大でローミング費用が低減することなどの要因から、2021年度第2四半期以降は収益が見込めるとした。楽天モバイルの山田善久代表取締役社長は「今後も顧客基盤の増加を図り、2023年度の黒字化を目指す」とコメントした。
なお収益の見込みに関連し、質疑応答で新料金プランにおける1GB未満の利用者(月額ゼロ円)はどのくらいいるか、との質問が上がった。これに対し山田社長は「1年無料が終わったばかりでデータが集まっていない。現状は非公開」とコメント。楽天モバイル代表取締役会長兼CEOの三木谷浩史氏は「極めて少ない。もっといると思っていたが、かなりのパーセンテージの人が1GB以上使っている。想定よりはるかに少なく、安堵している」と補足した。
楽天モバイルが提供するMNOサービス(現「Rakuten UN-LIMIT VI」)は、5月11日時点の累計申し込み数が410万に達したという。山田社長は「MNPで他社から乗り換える人が多い」とし、加えて契約期間が長くなるにつれ、一人あたりのデータ利用量が上がっていると解説。「『使い放題』の強みがユーザーに浸透してきている」とアピールした。
また、課題となっている自社エリアについては、4Gエリアの人口カバー率80%を達成し、2021年夏までに96%の達成を目指す。総務省から5G用の1.7GHz帯(東名阪以外)電波の追加割り当てを受けたことで、5Gエリアの展開も加速したいとした。5GのSA(スタンドアロン)サービスは2021年第2四半期の導入を予定する。