NECは4月27日、社会インフラや製造業を支える制御システムのセキュリティリスクアセスメントとリスク分析シート作成を自動化する技術を開発したと発表した。これにより、リスク分析および報告書作成にかかる時間を、従来の手作業で行う場合と比較して約4分の1に削減するとともに、攻撃内容を具体的に把握することが可能になるという。
NECは、実システムの構成情報やさまざまなデータをもとに構築した仮想モデル上で攻撃のシミュレーションを行い、攻撃グラフを作成する「サイバー攻撃リスク自動診断技術」を2018年に開発した。
これに加えて、今回同社は、「サイバー攻撃リスク自動診断技術」による攻撃グラフから「××で不正コード実行」などの攻撃パターンを自動で抽出し、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド」に記載されているリスク分析シートの形式で自動的に報告書を作成する技術を開発した。
これによりシステム運用者は、従来は人手で1~2か月間要していた制御システム(機器40~50台規模)のリスク分析と報告書作成を1~2週間で実現できるようになるという。また、悪用される可能性のある脆弱性やプロトコルなどを明確にし、攻撃の根拠や要因を理解しやすい形で客観的に把握できるため、対策の検討や立案につながるとしている。
同社は今後、本技術の事業化に向けて開発を強化し、2021年6月までにリスク診断のサービスとして提供することを目指す方針だ。