紛失防止デバイス「AirTag(エアタグ)」が発表されました。1つ3,800円となかなかの値段ですが、行方がわからない鍵やアクセサリの捜索に費やす時間を考えれば安いものかも...U1チップを搭載する11以降のiPhoneであれば、「正確な場所を見つける(Precision Finding)」機能で幸せになれそうです。

ご質問の「ランダム化」とは、U1チップが空間認識のために用いる超広帯域無線(UWB)において、トラッキング防止/プライバシー保護をおもな目的として使う一種のセキュリティ機能です。iOS 14以降、Wi-FiについてはネットワークICに割り当てられた固有の値を意味するMACアドレスと、Wi-Fiフレームのシーケンス番号のランダム化が行われていますが、U1チップが扱う信号も同様にランダム化が行われるのです。

UWBを利用した測位精度はかなり高く、誤差は10〜20cm程度といわれています。測位する場所が自宅などプライベートな場所に限定されるのならともかく、AirTagは10億台以上のApple製デバイスにより構成される「『探す』ネットワーク」経由で捜索されることもあり、プライバシーの保護は極めて重要です。そこで、情報発信元を特定されないよう、UWBにおいてもランダム化が行われます。

iOSにおけるMACアドレスのランダム化は、『設定』→「Wi-Fi」→対象のWi-Fiアクセスポイントの「i」ボタンの順に画面を開き、「プライベートアドレス」スイッチをオフにすれば無効化できますが、U1チップ/UWBのランダム化は無効化できずつねに有効な状態です。

なお、付近にある端末の位置/動きをほぼリアルタイムに相互把握できるiOS 14の新機能「Nearby Interaction」でも、利用するたびにランダムな識別子を生成します。プラバシー保護については、安心してよさそうですよ。

  • U1チップによるUWB経由で扱う情報も、しっかりランダム化されています