三菱電機は、冷蔵庫「置けるスマート大容量・冷凍室が真ん中」シリーズの新製品「WXD/WXシリーズ」を4月23日に発売します。センター開きタイプの6ドアモデルで、定格容量は、WXDシリーズは700LのMR-WXD70G、600LのMR-WXD60G、512LのMR-WXD52G。WXシリーズは、600LのMR-WX60G、517LのMR-WX52G、470LのMR-WX47Gと、本体の高さが低めのMR-WX47LGを用意します。

価格はオープン、推定市場価格はMR-WXD70が495,000円前後、MR-WXD60Gが440,000円前後、MR-WXD52Gが396,000円前後、WXシリーズのMR-WX60Gが418,000円前後、MR-WX52Gが374,000円前後、MR-WX47Gが363,000円前後、MR-WX47LGが360,000円前後。メディア向けのオンラインセミナーから詳細をお届けします。

  • 三菱電機の冷蔵庫「置けるスマート大容量・冷凍室が真ん中」シリーズ、新製品となる「WXD/WXシリーズ」

    三菱電機の冷蔵庫「置けるスマート大容量・冷凍室が真ん中」シリーズ、新製品となる「WXD/WXシリーズ」

三菱の冷蔵庫は以前から「全室独立構造」

新製品の特徴を説明する前に、まず三菱の冷蔵庫の特徴をおさらいしましょう。三菱の冷蔵庫は「全室独立構造」を採用しています。これは、冷蔵室、野菜室、冷凍室といった冷蔵庫の全室が断熱材で仕切られている構造のこと。

  • 部屋と部屋の間が断熱材を備えています

  • 赤い線が断熱材の配置を示しています

冷蔵庫は、それぞれの部屋で温度が異なります。一番低い冷凍室は約-18℃、一番高い野菜室は約6℃です。それぞれの部屋を独立させて断熱材でしっかり仕切っていることで冷気がもれず、たとえば冷凍室や冷蔵室に入れた食品のニオイが製氷室の氷にうつる心配がありません。さらに、それぞれの部屋に温度センサーと扉開閉センサーを配置して、細かい温度制御ができるというわけです。

これによって実現したのが「切れちゃう瞬冷凍」です。約-7℃で凍らせて、使うときには解凍不要、必要な分だけ食材を切ったりすくったりできます。時短になるとして人気の機能の1つです。もう少し詳しく言うと、切れちゃう瞬冷凍は過冷却という現象を使った冷凍技術。食材をゆっくり冷やし、凍結温度になっても凍らせずに温度のみ下げ、そこから刺激を与えることで瞬時に凍らせます。

通常の冷凍だと氷の結晶が徐々に大きくなるため、食材の細胞にダメージを与えてしまいますが、瞬冷凍は一瞬で凍るため細胞の破壊を抑えられ、うまみをキープします。これには細かい温度制御が不可欠なのですが、冷蔵庫の全室が独立で仕切られていて他の部屋から温度の影響を受けないからこそ、実現できたのです。ちなみに、2019年からAIで制御するようになり、「切れちゃう瞬冷凍A.I」という名前になりました。

  • それぞれの部屋で温度が異なります

  • 冷蔵室と大きな冷蔵室に間に配置されている引き出しが「瞬冷凍室」

  • 三菱の冷蔵庫は食材のうまみをキープしながら凍らせます

  • 全室に温度センサーと開閉センサーを搭載

新製品は全室AI制御になって使い勝手が向上

こうした三菱ならではの特徴を生かした機能が「全室独立おまかせ A.I.」です。これは2021年2月に発売した「置けるスマート大容量・野菜室が真ん中」MXDシリーズも搭載しています。

本体の「おまかせ A.I.自動」ボタンを押すと、各部屋の扉ごとに開閉データを収集。AIが各家庭の利用データや生活パターン(活動時間と非活動時間)を分析し、冷蔵庫の運転を適切に制御します。効率的に運転するため、ムダな電気を使わず省エネです。加えて、食品の保存や使い勝手も向上しました。

AI制御のポイントを細かく見ていきましょう。まずは三菱独自の機能である「氷点下ストッカーD A.I.」と「切れちゃう瞬冷凍 A.I.」のAI制御について。

  • 簡単にいうと、過冷却状態の食品を凍らせるのが「切れちゃう瞬冷凍 A.I.」、凍らせないで生の状態で保存するのが「氷点下ストッカーD A.I.」です

「氷点下ストッカーD A.I.」は、過冷却現象を応用した機能です。冷蔵室内のチルド下に備えられている食品ケース「氷点下ストッカールーム」を使って、チルドや冷蔵室よりもさらに低い約-3~0℃で肉や魚を保存します。冷凍せずに生のままおいしく保存できる点が特徴です。

AIでユーザーの生活パターンを学習・分析し、深夜など氷点下ストッカールーム内の温度が安定する非活動時間に温度を下げることで、食品の保存期間を延ばします。たとえば牛や豚のかたまり肉なら約10日間保存できるというので、予定が変わって食材を使い忘れても安心です。ちなみに「氷点下ストッカーD A.I.」のAI制御自体は2020年モデルからです。

  • 低温にすることでより長く保存できます

「氷点下ストッカーD A.I.」と同じく、「切れちゃう瞬冷凍 A.I.」もAIがユーザーの生活パターンを学習・分析。非活動時間にしっかり冷やすことで食品を長持ちさせています。また、扉の開閉に合わせて自動で「切れちゃう瞬冷凍 A.I.」をスタートさせるため、以前は必要だったボタン操作が不要です。

今回のオンラインセミナーでは、「瞬冷凍室」に熱いご飯を入れる実演が行われました。三菱の冷蔵庫は以前から、熱いご飯を保存する「熱いまま瞬冷凍」という機能を備えていましたが、これもボタン操作が必要でした。新製品は自動で冷やすため、ボタン操作が不要になりました。

  • 瞬冷凍室をサーモカメラで映した画像。ご飯のところが赤や黄色で色がついています(熱い部分)。右上に濃い青色の場所がありますが、ここがファンの位置。熱い食品が入ったことを検知して冷気を送っています

新たに「自動急速製氷」と「霜ガード」を搭載

さて、各部屋の扉ごとの開閉データをAIで細かく分析・学習することで、新たに搭載できた機能が「自動急速製氷」と「霜ガード」の2つです。

まずは製氷室。AIがユーザーの生活パターンをもとに氷をよく使うタイミングを学習。氷を使う量やタイミングを予測して、自動で急速製氷し氷をたっぷりストックします。

  • 夏場など氷をよく使う時期にうれしい機能です

続いて、真ん中にあるのが冷凍室。食材につく霜を抑制する新搭載の「霜ガード」機能も、「全室独立おまかせ A.I.」による新機能です。

肉などを冷凍室に保存すると、食品に霜がつくことがありますよね。庫内の温度変化が大きいと食材の水分が抜けてしまい、それが再び凍ることで霜になるわけです。冷凍室の扉(引き出し)を開けたときに温度変化が起きやすいのですが、AIが扉の開閉が多い時間帯を学習し、事前によく冷やして温度変化を抑えるという制御を行います。扉の開閉センサー、温度センサー、そしてAIを組み合わせた「全室独立おまかせ A.I.」の合わせ技です。

  • 食材の霜を抑制するので、食材の水分も保てます

  • 冷凍室は、真ん中の取り出しやすい位置

このほか一番下の野菜室は、従来モデルと同様に3色LEDで葉物野菜のビタミンCを増やして緑化を促進。見た目からおいしくするという機能を備えています。AIが生活パターンを予測し、野菜室を一定期間使っていないと判断した場合は、3色LEDの照射を止めて、より省エネになるよう運転を制御します。これも以前から搭載している機能です。

  • 野菜室には大きさが違う野菜を整理しやすいよう、トレーを備えています

スマートフォン専用アプリに対応。食品保存のコツなどを紹介

三菱独自のスマホ専用アプリ「MyMU」にも対応しました。アプリでは、冷蔵庫の使い方、食品を保存するコツなどを紹介するそうです。野菜や食材などをどこに保存すればよいのか困ったり、冷蔵庫の使い方で迷ったら、アプリをチェックすればよさそうです。

  • スマホアプリを使って、冷蔵庫の上手な使い方を

食材のおいしい保存と省エネは冷蔵庫に任せる時代

「氷を切らさないように補充する」「肉や魚に霜がつかないように小分けして冷凍する」「ご飯をしっかり冷ましてから冷凍する」など、毎日の生活の中では細かい家事が存在します。筆者も正直面倒だなと思うのですが、この手間を省くと、ぬるい飲み物を飲むことになったり、霜がついてパサパサのお肉を冷凍室から発見したりと、ちょっと悲しい思いをするため、それなりの手間をかけている人も多いとのではないでしょうか。

今回の新製品は、AIによる学習・分析・制御によって、細かい家事の手間を省ける冷蔵庫といえます。しかも、省エネにも貢献するのだからうれしいですね。冷凍室が真ん中にあるタイプを検討している人は、ぜひチェックしてください。