アメリカのスピーカーブランド・Sonos(ソノス)が、同ブランド史上最もコンパクトで軽いポータブルワイヤレススピーカー「Sonos Roam(ソノス ローム)」を発表しました。グローバルモデルの価格は169ドル(日本円で約18,500円)。アメリカでは現地時間4月20日から販売を開始し、日本には2021年夏頃に上陸予定。カラーはシャドウブラックとルナホワイトの2色です。

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    Sonos Roamはシャドウブラックとルナホワイトの2色展開。日本には夏頃の上陸予定

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コンパクトでタフなボディ。独自設計の高音質スピーカードライバーを採用

Roamは各コーナーを面取りした三角柱のようなデザインで、グリップ感を高めたポータブルスタイルのWi-Fi/Bluetooth対応スピーカーです。本体サイズは62×60×168mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約430g。片手で持てる500mlペットボトルのサイズ感に近いと思われます。ボディは深さ1mの水中に30分沈めても耐えられるIP67相当の防塵・防滴対応で、独自の品質評価試験による耐落下衝撃性能も確保したタフネス仕様です。

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    本体はIP67の防塵・防滴対応。アウトドアでハードに使い倒せる

IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠で2.4/5GHzデュアルバンド対応の無線LANと、Bluetooth 5.0準拠のワイヤレス接続機能を装備。ホームネットワーク環境下で音楽配信サービスを直接受けて再生できるほか、アップルのAirPlay 2によるストリーミング再生が可能です。スマホやPCなどのデバイスに直接Bluetoothでペアリングして音楽リスニングを楽しむこともできます(対応コーデックは非公開)。

本体の内蔵バッテリーで約10時間の連続音楽再生が可能。スリープモード時には約10日の連続待機を実現します。USB Type-Cケーブルを直接本体に挿して充電ができるほか、別売のQi規格をサポートするワイヤレス充電アダプター(49ドル/約5,300円)に置くだけで簡単にチャージできます。

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    Qi規格に準拠したワイヤレス充電にも対応する(充電アダプターは別売)

ポリカーボネート製のグリルとシリコン素材のエンドキャップで覆われた本体の内部には、独自設計の高域再生用ドーム型ツイーターと、中低域再生を担うネオジウムマグネット搭載の楕円形ウーファーを配置。それぞれを駆動効率の高いClass-Hデジタルアンプでパワフル、かつ繊細にドライブします。ドライバーユニットとグリルの間にはハニカム構造の音響フレームを挟んで、2つのドライバーが再生する音に豊かな広がりを作り出します。

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    Sonos製品のサウンドエクスペリエンスを手がけるGiles Martin氏が、Roamのスピーカー構造を説明

置き場所やコンテンツに合わせた“いい音”に自動調整

本体の天面(側面)には音楽再生の操作ボタンのほかに、ビームフォーミングに対応するマイクユニットを内蔵しています。スピーカーに搭載した音声アシスタントのAmazon Alexaによる音声操作も可能です。

【お詫びと訂正】初出時、ハンズフリー通話をサポートすると説明していましたが、Sonos Roamはハンズフリー通話には非対応のため、該当部を削除しました。お詫びして訂正します(8月20日 18:20)

内蔵マイクは「Automatic Trueplay」と名付けられた、自動音場補正機能と連動します。Automatic Trueplayはユーザーが屋内外で持ち歩いて本機を使うことも想定して設けられた新機能。独自のモバイルアプリ「Sonos S2」から設定をオンにすると、スピーカーの置き場所や向き、再生しているコンテンツが変わったことをスピーカーが内蔵マイクと加速度センサーにより自動検知して、新しい環境やコンテンツに合わせてベストな音質に素早く調整します。

詳細は明かされていませんが、本体に内蔵する高性能なCPUやDSPを統合したスマートオーディオ向けSoCが、さまざまな解析処理をリアルタイムにこなすことにより、ユーザーが持ち運びながら「いつも・どこでもいい音」を楽しめるところがSonos Roamの大きな特徴です。

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    天面(側面)に操作ボタンとマイクを配置。内蔵マイクは自動音場補正機能「Automatic Trueplay」と連動する

iOS/Android対応の「Sonos S2」アプリでは、Automatic TrueplayをはじめとするSonos Roamの本体設定やバッテリー残量のチェックなどが可能です。ほかにもApple MusicやSpotify、Amazon Music、YouTube Musicなど、国内でも使える音楽配信サービスから聴きたい楽曲を検索・再生でき、音楽プレーヤー機能もS2アプリに統合されています。

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    専用の「Sonos S2」アプリで操作できる

Sonos Roamはモノラル再生のワイヤレススピーカーですが、2台そろえればステレオ再生に対応します。またSonosのネットワーク再生に対応するワイヤレススピーカーやサウンドバーなどのオーディオ機器が自宅にあれば、本機も混ぜて複数の部屋でマルチルーム再生が楽しめます。これらのスピーカー設定もS2アプリから簡単にできます。

Sonos Roamで再生中の音楽を、少し離れた場所に置いたSonosのワイヤレススピーカーに素早くハンドオフできる「Sound Swap」という機能も新たに追加されました。操作方法はSonos Roamの天面にある再生/一時停止ボタンを長押しするだけ。最も近くにある電源オンのSonos製デバイスに再生が引き継がれます。

ほかにもSonos Roamをリビングルームから少し離れた部屋や、ベランダや庭など無線LANが使えない場所まで持ち出しながら音楽を聴きたいときのために、音楽再生を無線LAN接続からBluetoothでつながったスマホなどのモバイル機器へシームレスに切り換える「Automatic Switch」を備えています。なお、Sonos Roamには最大6つの無線LANアクセスポイントと、最大6台までのBluetooth接続機器を登録できます。

縦横無尽のポータビリティ、ユーザーインタフェースの出来に期待

Sonos Roamは、2020年に国内でも販売された「Sonos Move」(直販価格51,480円)以来となる、バッテリー内蔵型のポータブルワイヤレススピーカーです。同社CEOのPatrick Spence氏は「2020年から続くCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響を避けるため、多くの人々が自宅にこもって長い時間を過ごしています。自宅で視聴するエンターテインメントをより上質なサウンドで楽しみながら、ユーザーの皆様にリラックスできる一刻を提供することがSonosの使命です。RoamはMoveよりも本体をさらに軽量化しながら可搬性を高めました。Sonosがそろえるスピーカー製品の中でもとりわけ手頃な価格を実現したモデルです。ふたたび家族、友人同士で集まって楽しく過ごせる時間が訪れたとき、皆様に最も近く寄り添えるスピーカーでありたい」と、新製品の発売に向けた抱負を話しています。

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    Sonos Roamのコンセプトを説明する、同社CEOのPatrick Spence氏

インドア・アウトドアを問わず使える可搬性の高いポータブルワイヤレススピーカーは、Sonosの他にもソニーやJBL、ボーズなど強力なライバルが人気製品を発売しています。激戦区の中でライバルと切磋琢磨しながらSonos Roamが存在感を示すためには、そのスタイリッシュなプロダクトデザイン、Automatic Trueplayに代表されるソフトウェアの技術力を活かした便利な機能、そして各種音楽配信サービスとシームレスに連携するSonos S2アプリの快適操作などのアドバンテージを前面に押し出すことが不可欠です。

筆者はまだ本機のサウンドや使い勝手を体験できていませんが、家の中も含めてバッテリーのスタミナを気にすることなく自由自在に持ち歩きながら音楽を聴いたり、ハンズフリー通話にも使える軽量Wi-Fi対応ワイヤレススピーカーがステイ・アット・ホーム生活にピタリとハマる余地は十分にあると思います。

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    スタイリッシュなデザイン、多彩な機能と快適な操作性によりライバルと競い合えるワイヤレススピーカーとなれるのか。発売後の反響に注目