DJIは3月2日、ドローンの新製品「DJI FPV」を発表した。FPVドローンの没入感あふれる飛行体験、FPVレーシングドローンの飛行性能、そして従来の空撮用ドローンの安定性や安全性を兼ね備える。初心者から熟練パイロットまで、幅広いニーズに応える新しいタイプのFPVドローンだ。FPV飛行をすぐに楽しめるようにゴーグルやコントローラをまとめたフルセット「DJI FPVコンボ」で販売を開始、価格は154,000円。

FPVは「First Person View」、ドローンのカメラが捉える一人称視点を意味し、ゴーグルを使って操作すると、ドローンのコクピットに乗って操縦しているような没入感のある飛行体験を味わえる。ただし、地上から飛行しているドローンを見て操作するのに対して、ゴーグルを装着したFPV飛行では周囲の状況や障害物を把握しにくく、衝突や墜落のリスクが高まる。これまでFPV飛行にはある程度の操縦スキルが求められていた。

DJI FPVは航空力学に基づいた機能的で耐風性を備えたデザインになっており、レーシング向けのモーターとの組み合わせで140km/h(39m/s)の最大速度を実現している。加速到達時間(0〜100km/h)は2.0秒。自由に思いっきり飛ばせて、アクロバティックな飛行も可能。機体にはモジュラー構造を採用し、損傷させてもジンバル、ランディングギア、トップシェルはユーザーが簡単に交換できる。

熟練者も満足させる飛行性能を備えたFPVドローンだが、飛行モードとして以下の3つがあり、Nモードに設定すれば、初心者でも安全・簡単にFPVドローンを楽しめる。

  • Mモード:完全なマニュアル操作で、パラメータをユーザーが調整することも可能。最高速度は39m/s。
  • Nモード:安全かつ簡単操作での飛行を可能にする初心者向けモード。DJIの既存のドローンと同じような制御方法で没入型飛行を体験できる。最大速度は15m/sに制限される。
  • Sモード:NモードとMモードのハイブリッドで、マニュアル飛行の自由度とスピード、従来の制御を効かせた飛行を兼ね備えたフライトモード。最大速度は27m/s。

GNSS、デュアルビジョンセンサー、TOF、底部補助ライトなどを搭載。前方および下方の障害物検知(Nモードでのみ利用可能)、ボタン一つでドローンが自動的にホームポイントに戻ってくるスマートRTH(Return-to-Home)といった安全機能を備える。「緊急ブレーキ&ホバリング」機能が用意されており、飛行が不安定になった時、高速飛行中であってもコントローラのボタンを押すだけで、飛行中の機体が数秒以内に安定したホバリングに移行する。

カメラは一軸ジンバル(チルト)にマウントされており、カメラセンサーは12メガピクセルの1/2.3インチCMOSセンサー。FOVは150度。4K/60p、ビットレート120Mbpsでの撮影が可能。4倍スローモーション撮影もサポートする。電子ぶれ補正RockSteadyが映像をなめらかにし、歪みを低減する。

バッテリーには2000mAインテリジェントバッテリーを採用、最大飛行時間は20分(無風40km/hの速度で飛行時)。

  • DJI FPVコンボ

    DJI FPV、ゴーグル、コントローラ、バッテリー、予備プロペラなどFPV飛行に必要な全てをパッケージにした「DJI FPVコンボ」

  • DJIモーションコントローラー

    片手で直感的に操作できるコンパクトなコントローラ「DJIモーションコントローラー」(別売)

DJI FPVコンボに同梱されるゴーグルは「FPV Goggles V2」。ディスプレイは2インチ×2、リフッシュレートは144Hz。日本における伝送範囲は6km(MIC)。1800mAhのFPV Gogglesバッテリーを使用し、バッテリー駆動時間は約110分(最大輝度レベルで使用時)。

  • 日本国内において屋外でゴーグルを使用しての飛行は目視外飛行に該当し、航空局からの飛行の許可・承認が必要。また飛行安全性を確保するため、原則的に補助者による飛行環境の監視が求められている