指先ほどの大きさのICカード「SIMカード」は、スマートフォンに欠かせない存在です。加入者を特定するための契約者情報や電話番号が記録されており、電話の着信/発信やデータ通信などキャリアが提供するサービスを利用するときには、SIMカードが参照されています。

そのSIMカードは、利用するスマートフォンによって大きさが異なります。小型化が進められてきた経緯があり、スマートフォン出始めの時期は幅15×高さ25mmの「標準SIM(ミニSIM)」でしたが、2010年頃に幅12×高さ15mmの「マイクロSIM」が普及し始め、2021年現在では大半の機種が幅8.8mm×高さ12.3mmの「ナノSIM」を採用しています。

SIMカードはICチップが本体で、それ以外のプラスチックの部分はいわば「額縁」です。チップさえ正しく認識されればSIMカードとして機能するため、額縁部分だけの「SIMカード変換アダプタ」も販売されています。この変換アダプタを利用すれば、もっとも小型のナノSIMをひと回り大きいマイクロSIMとして、さらにはミニSIMとして使うことが可能になります。

この変換アダプタの仕組みを逆手にとったものが、マルチサイズSIMです。利用するスマートフォンのSIMスロットにあわせて切り取れるため、スマートフォンに搭載されているSIMカードスロットの違いにかかわらず利用できます。キャリアにSIMカードを発行してもらうとき、どのサイズにするか事前に調べておく必要はありません。2021年2月現在、auやau回線を利用するMVNO、楽天モバイルがマルチサイズSIMを採用しています。

ただし、切り取ったSIMカードを元の状態に戻すことは困難です。マイクロSIMのスマートフォンで使うつもりのところ誤ってナノSIMとして切り取ってしまっても、カードが詰まる原因になるため、接着剤で元に戻してはいけません。有料となりますが、キャリアに連絡し再発行してもらいましょう。

  • 必要なサイズに切り取れる「マルチサイズSIM」