2021年は、ServiceNowにとってどんな1年になりますか。

村瀬:2021年は、コロナが沈静化したのちの働き方を決める元年になるといえます。社会や企業、個人のパーパスが問われるようになり、人との接点をどうするか、毎日オフィスには出社しないことが前提となるなかで、どんな働き方をするのか、新たな価値観のなかでどんな生活を送るのかといったことを探ることになります。その結果、ソフトウェアで構成される21世紀の新たな企業像が定義される1年になると思っています。システム同士が連携し、ユーザーエクスペリエンスを変え、人は人でしかできない仕事をするということが、より求められるようになります。

日本はもともと対面が中心の文化であり、リモート化という点では、世界中で最も大きな変化が課せられた国だったといえるでしょう。しかし、多くの人たちがオンラインで働くようになりました。社会全体でデジタル変革が進み、これまでの生産性向上という要素に加えて、安全性を確保するためにデジタル変革に取り組むという動きも増えてきています。デジタル変革は、文化、組織、考え方を変えるものであり、システムをクラウドに置き換えたら済むというものではありません。多くの企業でデジタル変革に取り組む準備が本格的に進むなかで、ServiceNowは、エコシステムによってこうした動きを支援していきたいですね。

2021年はどんな点を強化しますか。

村瀬:日本における売上げ構成比を変えたいと考えています。ひとつは、まだ直販ビジネスが多いのですが、パートナーを通じたビジネスを大きく拡大していきたいですね。私たちのリソースの関係から、カバーできる領域がまだ限られていますし、パートナー各社でServiceNowの専門部隊を発足するといった動きもありますから、パートナーとの連携によって、より広いお客様にアプローチをしていきたいと思っています。

そうしたなかで、重点業種にフォーカスした取り組みも本格化したいですね。これまではhorizontal(ホリゾンタル:水平)な観点でのビジネスが多かったのですが、すでにスタートしている業種特化型の営業体制に加えて、今後は、業種の専門知識を持った社員を増やしたり、業種ノウハウを持つパートナーとの連携も強化することになります。

どんな業種に力を注ぎますか。

村瀬:ひとつは、通信とサービスプロバイダです。サービスをベースにした業種では、ServiceNowの強みが発揮しやすいといえます。いままではモノを中心に展開してきた企業も、モノ売りからコト売りへと変化したり、サービスをデジタル化して提供したりといった動きが出ています。サービスシフトする領域での提案を進めたいですね。また、金融分野においてもデジタルサービス化が進んでいますし、すでにアフラック生命保険での成果も出ていますから、こうした実績をもとに提案をしていきたいと思っています。もうひとつが製造業です。日本は製造業の国ですし、採用が進んでいる大手企業以外にも、さらに多くの企業にアプローチをしていきたいと考えています。

また、Now Platformのバージョンアップとともに、業種に最適化した機能が強化されています。これにあわせた形で、業種別の取り組みを強化していくつもりです。

2021年は、新型コロナウイルスのワクチン接種が広がることになりますが、これにあわせて、ワクチン管理が重要になってきます。日本においても同様で、ServiceNowはこの部分もお手伝いしたいと考えています。たとえば、ワクチン管理は認可と生産、配送、接種までをモニタリングし、さらに、ワクチンのバージョン管理もしなくてはならないといったことも想定されます。また、接種の予約や在庫管理、あるいは高齢者をはじめとした接種する人の優先づけ、運搬、備蓄の管理、安全性の監視、医療従事者の業務管理も必要です。こうしたバリューチェーン全体の管理は、ServiceNowか得意な分野です。

  • ワクチンの輸送

従来のカスタマサービスのソリューションなどを活用することで、在庫管理、割当/物流、ケース管理、AIチャットボット、対面式サポート、セルフサービス/スケジューリング、正常化といったワークロフーに対するコンポーネントを提供することができます。

また、2020年12月に発表したデジタルワークフローとIoTデータを統合する「ServiceNow Connected Operations」では、温度センサーから発信される情報を管理して、一貫してマイナス70度の環境でワクチンが輸送されたことを証明したり、温度に変化が起きそうであれば、それを察知してアラートを出し、安定した温度環境で輸送、管理ができるようにしたりといったことが可能になります。これまで他の分野で利用していたソリューションが、ワクチン分野でも利用できると考えています。

このように、世の中の環境変化において、ServiceNowがお役に立てる部分が増えてきたと言えます。

21世紀のソフトウェアで構成された企業像を定義する1年において、ソフトウェアで企業が構成され、人は人ができる仕事だけをやることといったことがもっと増えるでしょう。そこに、ServiceNowの強みを発揮したいと考えています。