2021年はシステムのダイバーシティ化が重要
--2021年の抱負を教えてください。
山口氏:先ほどの話の延長となりますが、DXで異業種間企業や行政系などのシステムがつながることで、日本のITプラットフォームが構築される基礎になると考えています。
具体的には、これまで業務開発はSOA(Service Oriented Architecture)ベースだったものがコンテナべースに、運用はマニュアルまたはツールだったものがAIに、アプリケーションは個別に構築していたものがas a serviceに、セキュリティは個別にセキュリティ対応していたものが企業レベル、もしくは地域レベルに変わるというものです。
これにより、ビフォーアフターが明確になることから、アフターのイメージを日本IBM全社員が共有し、お客さまと接していきます。かみ砕いて言えば、1人1人の社員すべてがお客さまの“真のパートナー”になることです。当社としては、昨年にやるべきことを整理しつつ、テクノロジーのゴールも理解できたため、全社員で共有した上でお客さまに提供し、変革を支援していきたいと考えています。
私自身も社内研修やテストを受けることで自己研鑽を積んでいます。例えば、クラウド関連で新しいテクノロジーを活用したサービスが提供される際は、どのような価値があるのかというテストをグローバルの役員全員が受けることになっています。
と言うのも、製品に対する知識・理解がなければ、お客さまに興味を持ってもらえませんし、社員も付いてきません。そのため自分のスキル、自分自身をアップデートすることは必要です。
お客さまもスキルを身に着ける必要があり、企業のIT部門やIT子会社の位置づけが変化していくと思います。これまではハードウェアやミドルウェアを導入し、部門ごとのニーズを踏まえたアプリケーションを実装し、SIerやベンダーと共同で取り組んでいました。
しかしDXが浸透する中で、IT部門やIT子会社の位置づけがより重要になってきています。ビジネス=アプリケーションであり、いち早くコンテナ技術を用いて構築できるものや、データを活用することが求められます。日本はその感覚が他国と比べると遅れています。
このようなことから、ハイブリッド/マルチクラウドをはじめとした新しいプラットフォームが出てくる中でシステムのダイバーシティが重要となるのです。
当社は量子コンピュータやセキュリティ、ブロックチェーン、AI、クラウドといった製品・ソリューションの提供に加え、これらのテクノロジーを活用し、コンサルティング、開発、保守・運用までを提供しています。多様なテクノロジーのメリットを尊重することが2021年です。
そのため、当社としてはテクノロジーをベースに量子コンピュータやAIを含め、従来より高機能化を図ったものを市場に提供するとともに、ITアーキテクチャ、DXの戦略コンサルティングとして、2~3年後を想定した全体像を描けるパートナーを目指します。