CentOSプロジェクトは12月8日(米国時間)、公式ブログのエントリ「CentOS Project shifts focus to CentOS Stream」において重大な開発方針の変更を発表した。これによると、現行のCentOS Linux 8は2021年末をもって開発を終了し、今後はアップストリームである「CentOS Stream」の開発に注力していくという。
現在のCentOS Linuxは有償プロダクトであるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の再構築版という位置付けにある。CentOSはコミュニティによってサポートされる無料のLinuxディストリビューションだが、RHELと高い互換性を持つため、エンタープライズ用途でも高いシェアを持つ。
しかし、今回方針の変更によってその事情は大きく変わることになるだろう。CentOS Linux 8はRHEL 8の再構築としての役割を担ってきたが、2021年末に開発が終了すれば、その役割を担う公式プロダクトがなくなることになる。
CentOS Streamというのは、RHELのアップストリームとして開発されているブランチである。Red Hat系のディストリビューションの開発では、実験的なものを含む最新の機能はまずオープンソースのFedoraで実装が進められ、その後に安定版としてRHELに導入されるという流れがある。CentOS Streamの位置付けはFedoraとRHELの中間にあり、RHELの開発ブランチとしての役割を果たしている。
CentOS Streamでは、RHELの次期バージョンに導入される予定の機能をいち早く使えるというメリットはあるが、CentOS Linuxのような再構築版ではないため、あくまでもその役割は明確に異なっている。CentOSプロジェクトの発表では、CentOS Linux 8の終了後はCentOS Stream 8に移行することを勧めているが、代替として適切と言えるのかは疑問が残る。なお、もし本番環境でCentOS Linux 8を使用しておりCentOS Streamが要件を満たさない懸念がある場合は、Red Hatに相談するように提案されている。
なお、CentOS Linux 7については、これまで通りRHEL 7のライフサイクルに合わせて公開を続けるとのことである。