コンテナ - AWSのコンテナ体験を自社のデータセンターで可能に

コンテナに関して、Jassy氏は「他のクラウドサービスプロバイダーは1種類のコンテナしか提供していないが、われわれは3種類提供している」と語った。3種類のコンテナとは、マネージド型のコンテナオーケストレーションサービス「Amazon ECS」、マネージド型のKubernetesサービス「Amazon EKS」、Amazon ECSとAmazon EKSの両方で動作する、コンテナ向けサーバーレスコンピューティングエンジン「Amazon FARGATE」だ。AWS Fargateはホストマシンの管理・運用が不要なため、コンテナを初めて利用する際は、ここから始めるユーザーが多いそうだ。

  • AWSのコンテナに関する3つのサービス

    AWSのコンテナに関する3つのサービス

今回、「Amazon ECS Anywhere」「Amazon EKS Anywhere」「AWS Proton」が新サービスとして紹介された。

「Amazon ECS Anywhere」は、Amazon ECSを自分のデータセンターで稼働させることを可能にするサービスだ。クラウドとデータセンターの双方で、クラスタ管理、ワークロードスケジューリング、モニタリングにおいて同じ体験を提供する。2021年前半のリリースが予定されている。

「Amazon EKS Anywhere」は、Amazon EKSと同じユーザー体験をユーザーのデータセンターで可能にするサービス。ベアメタル、VMware vSphere、クラウド仮想マシンで動作し、OS、コンテナレジストリ、ロギング、モニタリング、ネットワーキング、ストレージのデフォルト構成でクラスタのインストールを簡素化するように最適化されたKubernetes管理ツールを提供する。Amazon EKSで使われているオープンソースのKubernetesディストリビューショ「Amazon EKS Distro」を利用している。

「AWS Proton」はコンテナおよびサーバーレスのデプロイの自動管理を行うサービス。コンピューティング、ネットワーキング、コードパイプライン、セキュリティ、監視など、サービスのプロビジョニング・展開・監視に必要な要素を定義する「スタック」を作成して管理する。

  • 「AWS Proton」はコンテナおよびサーバーレスのデプロイの自動管理を行う

    「AWS Proton」はコンテナおよびサーバーレスのデプロイの自動管理を行う

データベース - OracleやMicrosoftの世界から解放

Jassy氏は、データベースについて「RDBMSはいまだにオンプレミスで使われている。しかし、ユーザーはOracleやMicrosoftに不満を持っている。彼らのライセンスの条件はひどく、すぐに追加のコストが必要となる」と語った。

こうした状況を踏まえ、クラウドデータベース「Amazon Aurora」を構築したとJassy氏は述べた。「AuroraはMy SQLやPostgreSQLよりも処理スピードが速く、OracleやMicrosoftのデータベースの10分の1のコストで済む。さらに、Auroraは5秒から50秒で環境を構築できる」(Jassy氏)

Auroraに関しては、新サービスとして「Amazon Aurora Serverless v2」が発表された。同サービスは数十万のトランザクションに対して、数秒でキャパシティを拡張することができる。消費したキャパシティに対して課金されるため、ピーク負荷に合わせてプロビジョンしておく場合と比較して最大90%のコスト削減が期待できるという。Jassy氏は「Amazon Aurora Serverless v2によって、われわれはゲームチェンジャーになった」と語っていた。

また、SQL ServerアプリケーションをAurora PostgreSQLで簡単に動作させるようにする「Babelfish for Aurora PostgreSQL」も新サービスだ。Babelfishによって、Aurora PostgreSQLはMicrosoft SQL Server独自のT-SQLを理解して同じ通信プロトコルをサポートするため、コードの変更を抑えた形でAuroraにおいて動かすことを可能にする。

そして、BabelfishによるSQL Serverの移行促進をオープンソースのSQL Serverにまで広げるため、「Babelfish for PostgreSQL」というオープンソースプロジェクトが2021年に公開される。このプロジェクトは、Apache 2.0のライセンスの下、Microsoft SQL Server互換のエンドポイントをPostgreSQLに追加して、PostgreSQLデータベースがSQLServerワイヤプロトコルと一般的に使用されるSQL Serverコマンドを理解できるようにする。

Babelfish for PostgreSQLを利用すると、SQL Server用に構築されたアプリケーションは、コードをほぼ変更することなくPostgreSQLと直接連携することが可能になる。Babelfish for PostgreSQLは、2021年にGitHubで公開される予定。

なお、Jassy氏は、機械学習に関して、「今年初めて単独で基調講演が行われるので、期待してほしい」と述べ、同社が機械学習に注力していることをアピールした。本誌でも、追って、Vice Presidentを務めるSwami Sivasubramanian氏による「Machine Learning Keynote」の模様をお届けする。